トーシャ・シルバー
「私を変えて下さい」より
トーシャの友人のアリンクスは
マッサージ師とミステリー作家という
二つの仕事を掛け持ちしていた。
ある時、大勢のマッサージの仕事でヘトヘトになったところに
気も狂わんばかりの声で電話がかかってきた。
新規のお客で、背中を痛めたのですぐにと、施術を依頼してきた。
その施術は過酷できつい二時間となった。
いざ支払いとなった時 そのお客は財布を開けてこう言った。
「しまった、小切手を忘れた! 一番近いATMはどこにある?」
アリンクスは丁寧に道順を教えた。
そして二度と、そのお客の姿を見ることはなかった。
アリンクスは言った。
「そのおそまつな一件のせいで悲しくなったわ。でも、色んな目に遭ってようやく、自分はいつも充分に持ってるって信用するようになったの。大抵はその後に何かか入ってくるもの。 あのお客は必要なものが全然手にはいらないってずっとブツブツ言ってたわ。あんな行いをしているようじゃ、似たようなことを呼ぶだけね」
その二日後、アリンクスの作家としての原稿が、大手出版社に選ばれたのだった。
最愛の神よ、私を変えてください。
どうか喪失を恐れたり、獲得にこだわったりしませんように。
あなただけが最も意外な形で私にもたらすと知って、私を傷つけた全員をゆるせますように。
ひどい客だな。
とっ捕まえて警察につき出してやりたいな!
でも、神は全部お見通しってことだ。
全開にすべて委ねれば、
別の形で与えてられるようになっているんだ。
神を相手に踏み倒せないってことだ。