『生き残り錬金術師は街で静かに暮らしたい』と『アトリエ』シリーズ | ボクとその周辺

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主にゲームやアニメのこととか書きます。あと、映画とか音楽のこととか書きます。
あと、日常のこととか、気が向いたら心理学関連も書くかもです。

ちょこちょこ書いてましたが、最近Kindleを手に入れて、新しい小説とかはそっちで買ってます。

そして、少し気になっていた『生き残り錬金術師は街で静かに暮らしたい』を買ってハマり、2巻まで一気に読んでしまいました。



著者は「小説家になろう」から出てきた人ですが、世界観は非常にしっかりしてます。


中世ヨーロッパ風でスキルとか魔法とかありますが、『ウィッチャー3』のように実際の中世の暗い部分まで描かれています。

貧民街が描かれたり、奴隷制があったりします。
奴隷の使われ方もだいぶえげつない感じで、他のラノベとは一線を画します。


スキルや魔法、戦闘能力などにレベルはなく、定性的に技術の優劣があるだけです。

また、魔法石という電池的なものにより、現在の冷蔵庫やミキサーみたいな電気機器に当たるものもあったりします。


その街は魔物の棲む魔の森に囲まれ、山岳地帯をヤギのような動物で移動するか、強力な武力で森を突っ切るしか、外との往来の方法がありません。

そして、街の中心部には、地下迷宮が存在します。
この迷宮は、各階ごとに気候が違い、基本的に下に行くほど魔物が強くなります。

そんな状態になったのは200年前に起こった大災害が原因で、それ以前は魔の森も街よりもっと離れていたし、迷宮の場所には王城がありました。



主人公、錬金術師の少女マリエラは、その災害を避けるために、地下室で〈仮死の魔法陣〉で生命反応を消したのですが、ちょっとした手違いで、地下室の扉が崩壊する200年後まで眠り続けていました。

そして目覚めると、高い回復力をもつアイテム、ポーションをこの地で作れるのが自分だけになっていました。


録画したBlu-rayの『エスカとロジーのアトリエ』引っ張り出してきて見てた最中だったので、主人公のほんわかした性格やドジっぽいところとかが、読んでてエスカの姿形で思い浮かべることしか出来ません。

登場人物も、師匠の人格がロロナの師匠そっくりだったり、名前も姿も性格もハゲルそっくりのハーゲイなる人物が登場したり、かなり『アトリエ』、主に『アーランド』シリーズの影響が見られます。


しかし錬金釜はなく、錬金・調合はスキルで行います。

スキルは、職人の直観のようなものだったり、ある職業に関連する魔法的なものだったりします。
学べば低位なものは誰でも使える、魔法よりも才能に左右される感じです。


錬金術師のスキルは、空間内に槽のようなものを作り出し、乾燥したり、高温高湿槽にしたりできます。
この乾燥後の材料に含まれる水分や、温度や湿度の精度は、スキルの高さに関連します。

何かの粉とかをこねたりするのは地味に手作業だったりします。


少女マリエラが、誰も知り合いがいない200年後の世界で、知り合いを増やし、生活基盤を築いてゆく、まさに『アトリエ』的な、「ファンタジー世界の日常」です。

『アトリエ』の雰囲気や調合作業が、上手い具合に、少々リアルめに描かれた中世ヨーロッパ的な世界に落とし込まれてます。



しかし、次の巻を買うかは微妙ですね。

1巻は確かに「ファンタジー世界の日常」です。

2巻もそのままな感じですが、迷宮探索部隊の激戦が描かれたり、国の暗部が描かれたりする部分も増えてきます。
でも、マリエラの周囲は日常が保たれています。

そして、楽しみで見てみた次やその次の巻の解説文を読むに、迷宮攻略する方向性のようです。
すごくレビューはいいのですが。


ちょっと望んだ方向とは違う感じですね。

個人的に、街の真ん中に迷宮とか、いらなかったです。
装甲馬車の輸送隊とそんなに深い関係にならなくて良かったです。
特別な錬金術師だとバレるのはもっと遅くて良かったです。
自分のお店がパッと持てなくて良かったです。お店を持つために、いろいろがんばって欲しかったです。


それで個人的にいろいろ調べた結果、
錬金術なり魔術なりのファンタジーなら『パラケルススの娘』、
ファンタジー世界の日常なら『本好きの下剋上』でしょうか。


単に自分の意に沿わないだけで、良い作品だとは思うんですがね-。