行定監督の新作「つやのよる」一足お先に。
伊豆大島でかけおちした女性と暮らしていた松生。
その女性・艶は間もなく死を迎えようとしている。
艶は松生に出会う前も出会った後も奔放に幾人もの男性と
関係を持っていた。
艶の死が近いことを松生は過去に艶と関係を持っていた男性たちに伝えていく。
伝えられた男たちの周りにはやはり女性がいる。
伝えられたとき男たちはどう動き
女はどう感じるか。
世の中男と女しかいない。
女は男にもう一人の女の存在を感じたとき
様々な感情を抱く。
男も同じ気がするけれど今回は女性の目で
描かれている。
松生を中心としていくつものストーリーとして描かれる。
死んだ女の話を葬式で集まった男性たちが話していたストーリーが
ふと頭をよぎり、誰の作品だっけとその話を思い出してみたら
なんてことはない、行定監督の「ひまわり」だった。
あの話と似ているようで違う。
男性が話している「艶」という女性を直接的にではなく
間接的に作り上げる。
しかし「艶」はあくまで話題のきっかけであり、
出てくる女性たちの愛や性が描かれる。
生々しく、人間らしく。
松生が愛した「艶」という女。
どこまでも思い続けるとは果たして愛か自己満足か。
主演の阿部さんの「艶」を見る目に注目。
劇中のCobaさんの音楽や挿入歌、クレイジーケンバンドの曲が
非常にいい味を出しています。
(エンディングの曲の作詞は行定監督。このタイトルがなるほどって感じで。→タイトル「ま、いいや」)
夫の女性事情を知って気持ちをむき出しにする女性、
男性がいないと生きていけない女性
時間が動きだした女性
夫が駆け落ちしても怒らない女性
…複雑な思いが男女にはある。
それはその二人にしかわからない。
蛇行する坂道をかけおり、かけ登り。
男や女が様々な出来事を経て見出す結論とは。
ベテラン女性陣
(小泉今日子さん、荻野目慶子さん、風吹ジュンさん、大竹しのぶさん)の
芝居は圧巻。
そしてベテラン男優陣も。(岸谷さん、羽場さん、いっけいさん)
彼らがいなければこの映画は成り立ちません。
「つやのよる」は来年1月23日公開