聖書の言葉です。1/2 | 牧師剣士     (堺育麦キリスト教会牧師)

牧師剣士     (堺育麦キリスト教会牧師)

48歳から28年ぶりに剣道再開。
すっかりはまってしまいました。
57歳で五段をいただきました。長年クリスチャン剣士でしたが、2010年11月に牧師になりました。これからも神と人に仕える者となっていきたいと願っています。剣道修業も続けていきます。

2015年9月13日


おはようございます。

ゴールデンウィークに対抗してのシルバーウィークがもうすぐですね。

皆様、体調はいかがでしょうか?


9月13日 今日は何の日カレンダーから

陸軍大将・乃木希典夫妻が明治天皇に殉死(1912)


明治天皇が亡くなられた時。国をあげての大喪の儀の当日。

乃木希典(まれすけ)大将夫妻が、静かにご自宅で明治天皇を覚え乍ら自殺されました。

殉死と言う事です。

殉死と言うのは、主君などの死を追って部下などが後を追い死ぬ事です。


日本では江戸時代 徳川綱吉の頃からは禁止になっていました。


ところが明治天皇が亡くなられた時、乃木将軍夫妻が殉死された事により、脚光を浴びました。

本来それは、禁止されている事でありましたが、乃木将軍の明治天皇を慕う、忠義の心が称賛されて、また時代の空気もあり、乃木将軍は英雄視されました。


日本各地に乃木神社ができました。乃木将軍は神格化されました。


乃木坂46(女子の音楽グループ・AKB48の姉妹ユニット)の発祥地にも乃木神社があります。


私が学校を出て初めて赴任した場所は、下関市長府でした。

そこは乃木将軍の出生地とゆかりがあり、乃木神社がありました。その当時は良く知らなかったので乃木神社はそこだけと思っていましたら、かなりの数が日本中にはあります。


明治と言う時代の中で、日露戦争の英雄。乃木大将。

世界の大国であったロシアに極東の小さな島国が勝利した。その前線で活躍し、二人の息子を戦死させた乃木大将。

古い唄で「水師営の会見」をご存知の方もあるかと思います。

♪旅順開城約成りて 敵の将軍ステッセル 乃木大将と会見の 所はいずこ水師営♪

という出だしです。

日露戦争の英雄。しかも戦闘の中で二人の息子の戦死

退役後は、皇族方の教育のため 学習院の院長も務められました。

当時の日本の中で最も尊敬されていた人の内の一人であったでしょう。


乃木将軍は明治天皇に非常な恩義を感じていました。

若い頃、西南戦争の時に、自分の指揮する軍旗を敵に奪われると言う大失態をしました。

もう生きてはいられないと言う思いの中でいた時に、明治天皇に温かい声をかけていただき、死をとどまりました。

それ以後、自分の命は明治天皇に預けたと言う思いで、働きを続けて来られました。


そして明治天皇の死の時、自分の役目は終わったと・・・・殉死をしたのです。


それはマスコミの非難を受けることなく、美談として日本中に報じられました。


天皇をそれほど大切に思い、天皇のために、自分の人生をかけて生きる・・・。

そんな模範として、時代に用いられたのではないでしょうか。


乃木将軍は立派な人!!!!

この意識は定着していました。


後に司馬遼太郎は、「殉死」と言う本や「坂の上の雲」と言う中で乃木将軍の事を書いています。

その内容は、乃木将軍の人間としての素晴らしさを讃えつつも、乃木将軍の軍人としての無能さを浮き彫りにし、その無能によっていかに多くの兵士たちが無残に死んで行ったか・・・。特に203高地の戦いが、乃木将軍の無能さによって多くの流さなくてもよい血を流し、人命を失ったか・・・。無駄死にをさせたかと言う事が書かれています。


この本によって乃木将軍の評価と言うものに大きな疑問を発表したのです。


司馬遼太郎はこの本を書く時、ものすごい抗議があったと述懐しています。

歴史小説を書く時、ある程度の期間がいる。

まだその関係者。生きていた時を知っているお孫さんや、親戚がいる時などは、客観的に歴史を書く事は難しい。まだ生臭いうちは歴史を書く事は難しいと何かで書いていました。


戦国時代の事はいくらでも想像でもかけるが、現代史は書きにくいと言っています。


司馬遼太郎が書いた本の中で、「殉死」は最も難しかったと言っています。


当時の社会は、乃木将軍を神格化し、「殉死」さえも天皇への忠誠を現す心として絶賛し、世の人々にその忠義心をほめたたえ、全国に神社を作りだしたのです。


殉死が美化され、神格化された所に、明治は終わり、間違った戦争の道へと日本は進んでいったように思います。


これ以後、天皇と言う権威もさらに神格化されていったと言えます。

明治の天皇は、もう少し人間臭かったように感じます。


1912913

乃木大将夫妻が、明治天皇の死に臨んで殉死した日でした。


人の死は、人々に大きな影響を与えます。乃木将軍はそんな気持ちはなかったと思いますが、彼の殉死は、時代に利用されていった感があるのです。


そんな事があった日でした。


今週も皆様の上に神様の豊かな守りと恵みがありますようにお祈りしています。


今週の暗唱聖句をお送りいたします。