〈会長参上いたしました〉④台湾の乾杯グループの総経理、鈴木烈さん | 料飲稲門会公式ブログ

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<会長参上いたしました>④は台湾の外食産業を牽引する乾杯グループの総経理、鈴木烈さんに登場願いました。
昨年(2015年)の総会にはどうしても出られず、前日私の事務所でお会いすることが出来ました。日本の食文化を台湾の地において根付かせつつ、日台の食文化交流を行っている鈴木さんは料飲稲門会の仲間。
 

 


あけましておめでとうございます。


●旧暦で祝う台湾ですが1月1日の様子はどのようなものなのですか。
 

台湾は、他の中華圏同様、正月を旧暦で祝いますので、1月1日は普通の祝日と同じ感じです。
とは言え、12月31日夜は街中にくりだして、仲間内で会食したり、恒例の101タワーでの花火を観覧することが恒例行事になっておりまして、12月31日は、我々レストラン業にとっては、一年で有数の書き入れ時となります。
 

●焼肉やラーメンのチェーン展開で力をつけている乾杯グループですが
台湾に進出していったきっかけは何だったのですか。
 

もともとは、創業者で現会長が台湾の大学留学中に、潰れかけた焼肉屋を引き継ぐ形で創業いたしました。
ですから当社は台湾に進出したわけではなく、台湾で創業した台湾企業です。
 

●異国での外食事業の展開でのご苦労話を聞かせてください。たくさんあるでしょうから印象深い話を一つ。
 

やはり働くことに関する意識の違いに最初は戸惑いました。日本では家族を犠牲に残業や休日出勤を繰り返すことはある種の美徳になりえますが、台湾では人でなし扱いされます。
かつて会社の幹部が、母親の通院のために幹部会議を欠席する、と連絡を受けた時は正直驚きました。
とは言え、異国で働くことで、改めて日本の特殊性を感じさせられることのほうが多く、その調整に苦労しましたが、今はプライベートや家族を、仕事よりも優先させる台湾人の価値観のほうが、人間として正しいと思うまでに私自身変わりました。そんな台湾人ですが、自分の会社であったり、もしくは大きなインセンティブや昇進がかかっている場合は、日本人以上によく働きます。働くことが嫌いなのではなく、価値観や優先順位がはっきりしていると考えるべきですね。
 

●これから海外に出て行こうとする仲間へのアドバイスを2,3お願いします
 

なんのための出店なのかを明確にすべきと存じます。「海外のほうが儲かりそう」とか、一時的な虚栄心でお店を出されて痛い目にあっている会社が多いように思います。
台湾をはじめとして、今少なくともアジア圏では、一時的な日本食ブームは終わったと思います。言葉の壁や現地の市場への適応等のハンディキャップを克服してそれなりの利益をあげるためには、経営者自身が人任せにせずに中長期的な投資回収の計画を作り、腰を据えてそれを実現していくくらいの姿勢が不可欠と思います。片手間で進出してくるような姿勢だと、良い従業員を獲得/維持することすら難しいかと。
 

●乾杯グループはどこに行こうとしているのか。将来展望を教えてください。
 

現在は台湾で38店舗、上海で1店舗を運営しています。2016年度は海外二拠点目となる英国出店、2017年度は株式公開を予定しています。
 

当社のミッションは「世界の食文化の発展に貢献できるビジネスパーソンの育成」にあると考えています。台湾のレストラン事業を核としながらも、成長目覚しい当社の若手人材に活躍の舞台を供給するため、台湾における事業の多角化(加工卸事業、食品小売事業、宅配事業への進出)とレストラン事業の海外進出を加速させていきます。
 

ものづくりが得意な日本人、商売が得意な台湾人が力をあわせて、当社の持つ日本や華僑ネットワークを活かして、業種や国境の垣根を越えて事業を展開していきたいと思っています。
 

●ありがとうございました
 

鈴木 烈
Retsu SUZUKI 
乾杯(股)有限公司
KANPAI CO.,LTD