【核心】まちおこし戦略 | 燎原の火の如く (私塾愚公庵)

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ふるさと南房総を愛する“吠えるトトロ”が、「まちおこし」と「事業経営」に関して自らの経験と多くのすばらしい人達からの学びを基に、未来への希望を持って気ままに吠える言いたい放題ブログだよぉぉ~~ん♪

突然だが、地域の活性化を数式化してみよう。

「地域を経営する」と言う考え方から、
「活性化=売上金額」と仮定して、
商店主になったつもりで考えると分かりやすい。

当然のことながら、簡単に数式化できるわけはない。
しかし、数式化して考え方を整理すると
考え方の基本が明確になり、
プライオリティ(優先順位)が見えてくる。

以前も幾度となく書いたように、この軸足をぶらさないことが、
戦略的に取り組むときに大変重要なのである。

それでは、まず売上金額を分解してみよう。

①売上金額=②客数 ✕ ③客単価

 ①売上金額は、一定期間の売上合計金額。
 ②客数は、その期間内にお買上げいただいたお客様の合計人数。
 ③客単価は、お客様の1回のお買上げ平均金額。

つまり、売上を上げるためには、
「お客様の人数を増やすか」、「お買上げ金額を増やすか」、
「両方を増やすか」のいずれかしかない。
両方増やせればそれに越したことはないのは当然だが、
そんなに簡単じゃないので、皆、苦労している。

そこで、どちらを優先するかである。

よくある
・新規のお客様を増やすために宣伝(情報発信)すればいい。
・品揃えを高額な商品にシフトすればいい。

この2つこそが、基本的にはやってはならないことである。
特殊な事情が無い限り、最も危険な発想である。

なぜならば、
経営上、最もコストが掛かるのが、新規のお客様の獲得である。
通常、「新規のお客様の獲得の販売促進策として広告をする」
と言った手法が良く用いられるが、
売れない店は、広告しても売れないことが多いのである。

さらに近年多いのは、「インターネットによる情報発信の強化」である。
お客様が求めていない情報を一方的に発信しても
売上が上がることはない。

「やらないよりもやったほうがいい」等と
言い出したりすることがよくあるが、
「コスト対効果」のパフォーマンスの検証ができない者に
販促を任してはならない。

また、2つめの「品揃えを高級品に変える」と
通常、今いるお客様を失ってしまうことになる。
慣れない新しい市場で、
既に実績のある新たなライバルと
先方の土俵で戦わなければならなくなる。
できるだけ慣れて得意な土俵で勝負しなければならない。

しかし、行政関係の方を中心に、経営に疎い方は、
「観光客にお金を使ってもらうために、
宿泊に重点を置いた施策を採ろう」等と、すぐに安易に言い出す。

そのため、この2つは、原則やってはならないのである。

それでは、どう考えればいいのか。

更に上記の数式を分解してみよう。

①売上金額=②客数 ✕ ③客単価

②客数=(④商圏人口✕⑤市場占有率✕⑥来店頻度 )
③客単価=(⑦1品単価✕⑧お買上げ点数)

 ①売上金額は、一定期間の売上合計金額。
 ②客数は、その期間内にお買上げいただいたお客様の合計人数。
 ③客単価は、お客様の1回のお買上げ平均金額。
 ④商圏人口は、対象となる商圏に居住する合計人口。
 ⑤市場占有率は、商圏内における当店のお客様の比率。
 ⑥来店頻度は、一定期間内に来店していただいている頻度。
 ⑦1品単価は、お買上げいただいた商品の1個あたりの平均単価。
 ⑧お買上げ点数は、お客様1人が1回にお買上げになる平均個数。

となる。

つまり、上記5項目(④~⑧)を掛けた結果が「売上(活性化)」である。
さらに、地域性や競合関係、自店の状況(人・物・金他)等を
加味しなければならないが、
そこは一般論では無く、
南房総のこととして、現在の環境を主体的にとらえて
5項目についての基本を考察してみよう。

④商圏人口を広げるためには、
通常、他にない(少ない)珍しい商品を取り扱うことである。
価格的に珍しい高級品や滅多に使わない商品を扱うと商圏は広がる。

しかし、南房総は、首都圏と直結しており、
高速道路の開通によってアクセスもバツグンに良くなったので
商圏拡大の必要性は極めて低い。
さらに、商品的に考えた場合でも
すでに、対象となる商品を持っていれば
それを磨くのもひとつの手だが、
強力な特産物もあまり無ければ、国立公園でも無い。
歴史的にも国宝ひとつ無いので、
ここに視点を置いた施策はパフォーマンスが悪い。

そこで、長期戦略に組み込んで、
真に地域の特性を活かした(他が真似しづらい)商品で、
時代の変化を先取りした(他に例がない)
市場の開拓、創造をするべきであろう。

ここで注意しなければならないのは、
「長期戦略で時間を掛ける」と言うことは、
逆に言うと「時間が掛かってしまう」と言うことなので
いち早く取り組まなければならないのである。
これを勘違いしてはならない。

⑤市場占有率を上げるには、
普通④とは逆に、日常的な商品を扱うことである。
また、カテゴリーと言う市場を絞り込む代わりに
シェアを上げるという専門店化を進めることである。

この市場占有率の向上は、
いかなる場合も恒に考えなければならない
とても重要な要素である。

⑥来店頻度を上げるには、
使用頻度の高い消耗品等を扱うことである。

南房総の場合、これが最も重要な生命線とも言える項目である。

世界屈指の市場である「首都圏」を対象に
超高頻度の来店を期待できる地域は、
そう多くはないのである。

⑦1品単価の向上策は、既に言った通り
客層、市場が変わってしまったり
来店頻度を下げる可能性が高かったりするため
原則としてあまり行なってはならないのである。

⑧お買上げ点数を増やすことも重要である。

これは、1個を2個にするのでは無い。
何を言いたいかというと、
全く違う商品をもう1個買っていただくのでは無いと言うことである。

例えば、商品にストーリー性を持たせて、つい関連商品を買ってしまった。
または、商品では無く、ライフスタイルという
暮らし方を提案をすることによって
その空間をお買上げいただくと言った発想である。


以上5項目について書いたが、
「南房総の観光」と言う視点で整理すると
最も重要なのが、「高頻度利用型」の施策に特化することである。

2番目は、特殊な商品(サービス)では無く、
日常ある物の中から、
ターゲットを明確にして専門化することにより
シェアを高めることである。

3番目が、ストーリー性や提案力によって
関連商品(サービス)と言う幅や奥行きを広げることである。

そして、注意しなければならないのが、
一人のお客様に一度に沢山のお金を使っていただこうとする発想である。

別個に、長期戦略として最も重要、
かつなるべく早く取り組まなければならないのが
ビジョンを明確にして新市場の開拓、創造をすることであろう。

このプライオリティを明確にした、
施策の「選択と集中」ができていないことが
地域活性化の最大の問題である。


最後に、具体的なノウハウは、あまり公開できないが、
キーワードだけ言って終わる。

「海」「食」「スポーツ」「アウトドア」「学校」「ファッション」「体験」等であろう。

逆に注意しなければならないのは、
「風景」「歴史」「文化」「一部の名物(特産品)」等である。



それでは、南房総の明るい未来を願いつつ
これを読まれた皆様が、今日も一日お幸せでありますように♪