ダイブとモッシュと始球式 | Baby you a song

Baby you a song

You make me wanna roll my windows down,
…and cruise !

野外フェスやスタンディングのライヴで度々見られるダイブやモッシュ。
群集心理やセキリュリティ等の問題も絡め、ちょぴっと考えてみました。

ダイブ(Stage Diving)
ダイブ(Stage Diving)
アーティストや観客が、ステージ上からモッシュピット(ステージ前の群衆)めがけてジャンプする行為ですね。
ハードコアやスラッシュメタル系ライヴでよく見られる光景ですけど、最近では女性アイドルのライヴでも発生するんだとか?
ダイブする人の事をダイバーと呼び、ダイバーはクラウドサーフされて移動するのがお約束っぽくなってます。

クラウドサーフ(Crowd Surfing)
クラウドサーフ(Crowd Surfing)
ダイバーが観客に持ち上げられ、その頭上を泳ぐように進んでゆく行為ですね。

実はこのダイブって、ローリング・ストーンズのライヴが発祥だったと言われています。
といってもミック・ジャガーがダイブした訳じゃなく、観客が図らずもダイブ状態になっちゃった感じでしょうか。
1964年8月8日に行われたストーンズ初のオランダコンサートでの出来事です。

クアハウスシアター(オランダ・スヘフェニンゲン)
世界初のステージダイバー??

この時の映像が、また凄まじいです!

 

クアハウスシアター(オランダ・スヘフェニンゲン)

会場はシャンデリアもあるオペラハウス劇場で、警備員はスーツを着たジェントルマン風。
その紳士淑女のサロンがトンデモない事態に…!


このダイブとは別に、モッシュ(Moshing)という行為もライヴでしばしば見られますよね。
盛り上がったモッシュピットの観客同士が、激しく身体をぶつけあう集団行動。
このモッシュにも、さまざまバリエーションがあるようで・・・

サークルピット(Circle pit)
サークルピット(Circle pit)
ライブ会場で、観客が輪を描くようにグルグルと走り回ります。

これって、カーバ神殿の周りをイスラム教徒がグルグル回る「タワーフ(Tawaf)」に酷似してると思うんですが・・・

タワーフ(Tawaf)
メッカ巡礼のタワーフ(Tawaf)

とにかくナントナク宗教儀式っぽいのがモッシュでしょうか。
群衆が「アーティスト(神)と一体となる瞬間」なのかも知れません。

そんなモッシュの中でも、特にヤバそうなのがウォール・オブ・デスですね。

観客が左右に大きく別れ、曲の開始と共に走り出し、左右から激しくぶつかり合う行為です。

えい、えい、お~~っ!
戦国時代の合戦も、かくやっ?!

 

ウォール・オブ・デス(Wall of death)

はっきり言って、これ、見るからに危険ですよね。
フェスとかあんまりいかない人、ステージ前方に空間が生まれたら要注意ですっ!

ただモッシュで観客同士がトラブルになったという話はあまり聞きません。
大怪我は別ですが、ある程度の危険は、フェスの楽しさや陶酔感と引き換えなのでしょう。
てか、主催者の責任が問われるので、最近の大きなフェスではダイブやモッシュは禁止になってると思います。

ところが

フェスでも何でもなく、思わぬ場所でモッシュ現象が起こった事件がありました。
2018年3月10日、明治神宮野球場で行われた「日本リトルシニア中学硬式野球協会関東連盟」の開会式の一幕です。
始球式に呼ばれたタレントの稲村亜美さんが、群衆に取り囲まれ、そのまま飲み込まれたショッキングなハプニング!

稲村亜美
主催:日本リトルシニア中学硬式野球協会関東連盟

1964年のストーンズなんかの時代と違い、タレントと観客(この場合、中学生)の距離や安全といったセキュリティは、現在では十分保たれていると思っていたのですが…

 

 

これは予測できた事態でしょうか?
まさかクリクリ坊主の野球少年が暴徒と化すとはっ!
事件の3日後、選手数名が怪我をしたのが判明し、主催者側は謝罪文を発表しています。

やはり会場でのアクシデントは、アーティスト(タレント)側や観客側ではなく、主催者の責任ということになるのでしょう。

(グラウンドにラインを引いて「ここから内側からは駄目」というルールを作っておけば、避けられた事件なのかも知れません。)
まあ、どんな状況をも想定して、しっかりとした対策を立てるのが、現在のイベント主催者には求められているのだと思います。

 

このハプニングに関して、当事者の稲村亜美さんは同日夜、中学生の怪我を心配したり「貴重な経験をさせてもらえた」というコメントを発表しています。

ここらへんはプロだなと思います。

アーティストとの距離や集団心理を考えさせられますよねえ。


ビートルズ
ビートルズだって、逃げている
(映画だけど…)


ここで思い出したのが、今年、韓国のタレント(アーティスト?)が、観客に胸を触られたとかいう騒動。

 

被害を訴えた韓国人タレント

 

会場でどんなステージ衣装着ようと自由でしょうし、SNSで自分のライヴでのNG行為を呼びかけるのも有意義だと思います。

違和感があるのは、本人が刑事告訴や被害届を出したのではなく、第三者(イベント主催者)が刑事告発をしたという点です。
映像をちらっと見たんですけど、いかにもアクシデントを誘発しそうな設営で、これを刑事事件とすれば、非は主催者にこそあれ告発する側ではないと感じました。

観客としては「ライヴで一体感を得たい」というのはダイブやモッシュの例でもそうでしょう。
ステージを下り、モッシュピットに近付いてゆくアーティストの行為も同じではないでしょうか。

一方、イベントでは理性が飛んだ観客もいますし、モッシュに紛れた痴漢行為や窃盗が稀に報告されているのも事実です。


トラブルを回避する為に、さまざまな事態を想定し、アーティストの要望も踏まえつつ、適切な間隔や高さ、禁止事項を設定するのがプロのイベント主催者だと思うんですが、どうでしょう?

 

 

では、最後に…
レディー・ガガの豪快なダイブをっ!!

The Monster Ball Tour