数あるジブリ作品の中で一番好きな作品は何ですか?
と聞かれたら、すこし被せ気味で答る。
「ホーホケキョ となりの山田くん」だと。
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最初に出合ったのは僕が9歳のときだった。
今までのジブリ作品とは明らかに違うタッチの絵だということを子供心に感じながら映画館に観に行った。
そして、笑った。
泣いた。
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えんぴつと水彩絵の具で描かれたような山田家の人々が至極身近で、人間味に溢れていることに感嘆した。
そのときはまだ9歳だったので「面白い映画を観た」という余韻だったが、その後年を重ねてゆくにつれて、ふと山田家の人々が頭をよぎるときがあるのだ。
その度に僕は「となりの山田くん」を観なおし、山田家の人々の日常を覗き見て、その面白おかしさと身近さに笑った。
しかし、年を重ねてゆけばゆくほど、見れば見るほど、娯楽作と言うにはもったいないほどの完成度の高さに驚かされるのである。
ここ最近、また脳裏に焼きついている山田家の人々が「おかえり~」と言わんばかりに僕の神経細胞を操り、「となりの山田くん」のDVDを手に取らせた。
そればかりでなく、9歳のときに映画館で母に買ってもらったパンフレットまで手に取らせた!
改めて観て、劇中での山頭火、蕪村、芭蕉などの俳句や革新的なアニメーションの妙、矢野顕子さんによる音楽、そして声優人。
どれを取っても、お目が高い!とスタンディングオベーションである。
驚いたのが、母・まつ子は、なんと朝丘雪路さんの声であった!
おそらく誰が聞いてもあの美しく品のある朝丘さんだとは思うまい。
だって劇中では愛しきぐーたらな大阪のおばちゃんなのだもの。
いや、本当に素晴らしい演技。
父・たかしには名優益岡徹さん。
祖母・しげには荒木雅子さん。
その他に中村玉緒さん、ミヤコ蝶々さん(この作品が遺作なんだとか)、そして我らが古田新太先輩まで!
たまにアニメーション作品で感じる「あー、この俳優の声イマイチ」なんてことは微塵も感じさせない素晴らしいキャスティングなのです。
そして何より特筆すべきは監督の高畑勲さん。
いしいひさいち先生の原作に目をつけ、この作品を生み出したのであります。
パンフレットにも書いてありましたが、かなりの挑戦だったようです。
「平成狸合戦ぽんぽこ」でも用いられていた突然実写のように描かれる手法も「となりの山田くん」でも健在。
それによって観客はふと「これはアニメの世界、空想のファンタジーではなく、身近な現実なのだ」ということにはっとさせられるのです。
高畑さんは日本のアニメ界を常に揺さぶり続ける素晴らしい監督だと思います。
類は友を呼ぶのでしょうか。
ジブリには宮崎駿監督、鈴木敏夫さん、そして高畑勲監督と、天才ばかり。
今年公開の「風立ちぬ」「かぐや姫の物語」と、ジブリを牽引し続けてきた二大天才監督が久しぶりの新作を発表する。
きっとまた、驚かされるのであろう。
●「ホーホケキョ となりの山田くん」に始まり、漫画では「あたしンち」と、家族の話に弱い坂口涼太郎のLIVE映像はこちら。