今回は、棋譜の表記方法で間違いやすいことについて書きます。

 

 

棋譜の表記方法は下記HPに詳しく書いてありますが、

説明が若干不足している部分があるので、このブログで捕捉しようと思います。

 

このブログに書いてあることをマスターすれば、棋譜表記で迷うことは絶対にありません。

 

 

 

 

①「成・不成」は動かす駒を決定する情報として使わない。

上図の場合

▲5四銀右引不成

が正しい表記です。

 

 

※「▲5四銀右不成」でも4三の銀に限定されるのでは?と思うかもしれませんが、

「成・不成」を動かす駒を決める情報として使うことはできません。

 

もし、「成・不成」を動かす駒を決める情報の一部として使うならば、

極端な話ですが、下図で「▲5二銀打」の「打」を省略することも出来そうです。

なぜならば、もし盤上の銀が動いたなら「成・不成」のいずれかが付くはずだからです。

しかし、そのように省略することはあり得ません。

 

NHK杯の棋譜の読み上げを聞いていると、

符号と駒の種類を読み上げてから一呼吸おいて「成・不成」を付け加えていることに気が付くでしょう。

「成・不成」というのはあくまで付加的な情報なので、

その前に動かす駒は決定される必要があるのです。

 

 

 

 

②金銀が横に2枚以上並んでいる場合で真上に動く場合は必ず「直」を使う。

上図の場合、

6五の金が5五に移動する場合・・・▲5五金寄

6六の金が5五に移動する場合・・・▲5五金左上

5六の金が5五に移動する場合・・・▲5五金直

が正しい表記です。

 

 

※6六の金が5五に移動する場合の表記について、次のような考え方は間違いです。

・6五の金が5五に移動する場合は「▲5五金寄」になるから、6六の金が5五に移動する場合「▲5五金左」でよい。

・5六の金が5五に移動する場合は「▲5五金直」になるから、6六の金が5五に移動する場合「▲5五金上」でよい。

なぜ間違いになるかというと、非常に紛らわしい上に複数の表記が生じてしまうからです。

 

 

※5六の金が5五に移動する場合「▲5五金右」でよいのでは?と思うかもしれませんが、

金銀(と金、成香、成桂、成銀)が横に2枚以上並んでいる場合で真上に動く場合は必ず「直」を使いましょう。

なぜ「直」を使わなければいけないかというと、例えば上図で4五にも金がいた場合、

「▲5五金右」や「▲5五金右上」では分かりにくいので、

「▲5五金直」という表記がどうしても必要になってきます。

それならば4五に金がいるかどうかにかかわらず、

横に2枚以上並んでいる場合で真上に動く場合は「直」を使ってしまったほうが簡明だという訳です。

 

 

※下図の場合は金銀が横に2枚以上並んでいないので、「▲5五金上」が正しい表記です。

 

 

 

③駒の区別は動作(上・引・寄)優先。動作で区別できない場合のみ、駒の相対位置(左・右)で区別する。

上図の場合、

4六の竜が4五に移動する場合・・・▲4五竜上

4六の竜が4四に移動する場合・・・▲4四竜右

4六の竜が5六に移動する場合・・・▲5六竜寄

4六の竜が6六に移動する場合・・・▲6六竜寄

4六の竜が5七に移動する場合・・・▲5七竜右

5五の竜が4五に移動する場合・・・▲4五竜寄

5五の竜が4四に移動する場合・・・▲4四竜左

5五の竜が5六に移動する場合・・・▲5六竜引

5五の竜が6六に移動する場合・・・▲6六竜引

5五の竜が5七に移動する場合・・・▲5七竜左

が正しい表記です。

最初は紛らわしいと感じるかもしれませんが、これでしっかりと区別できています。

 

 

※飛(竜)、角(馬)は2枚しかないので、

駒の動作(上・引・寄)または相対位置(左・右)のどちらか一方のみで必ず区別できます。

「行」は昔の棋譜表記で時々ありますが、正式なものではないですし、最近では全く使われません。

 

 

 

最後に練習問題です。

第1問

正しい表記は「▲5五金左」

 

 

第2問

正しい表記は「▲5五金左上」

 

 

第3問

※この手で成りました。

正しい表記は「▲1九飛引成」

 

 

第4問

※この手で成りました。

正しい表記は「▲1一飛成」

 

 

 

今回は棋譜の表記方法について間違いやすいことをまとめてみました。
棋譜表記は本来一通りに定まるものですから、しっかりと覚えておきましょう。

 

 

 

おしまい。