4月前半にお送りしたHITO総研メルマガの
https://entry.hito-ri.inte.co.jp/a.p/101/
雑感部分をご紹介させて頂きます。
-------------------------------------
毎日新聞に
『大学生:「もっと勉強を」 中教審が取り組み求める』
という記事がありました。
中央教育審議会がまとめた調査によると
日本の大学生が授業や関連学習に費やす時間は1日約4時間35分。
卒業要件として想定されている"8時間程度"には及ばず、
「学習時間を増加・確保して大学教育の改善を図る必要がある」
と指摘されています。
審議会の参考資料では
関連学習の時間について日米の学生比較がなされており、
http://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2012/03/29/1319185_2.pdf
日本は1週あたり「1-5時間」が最も多く57.1%、
さらに「0時間」も9.7%存在するのに対して、
アメリカでは58.4%が「11時間-15時間」も勉強していることが示されています。
この差はどこから生まれてくるのでしょうか?
1つには、
勉強しないと卒業が困難な米国に対し、
日本は入学さえすれば卒業はさほど難しくない
…といったシステムの違いも要因かとは思いますが、
別の点で影響しているように思うのは、
教える側自身の誘因。
以前、スタンフォード大学のとある教授に
「なぜ(アメリカの)学生にここまで勉強させるのか?」
と質問をしたところ、
その教授から
「日本では教授になったらほぼ安泰かもしれない。
でも、こちらでは毎年結果を出し続けないとすぐ追い出される。
ライバルも多く、教授がみな必死。あの手この手で学生を伸ばそうとするんだ」
といった回答が返ってきました。
「学生の勉強時間が少ない」という背景には
勉強しなくても卒業や就職に困らないシステムや
勉強させなくても困らない"教える側"の意識が影響しているように思います。
企業においても、これは似た構造なのかもしれません。
以前、タレントマネジメント委員会やグローバル人材マネジメント委員会で、
「日本企業の社員はなぜ学習しないか?」を議論したところ、
・長期雇用のため"生存欲求"が脅かされない。
・役員が一種の"上がり"になっていて、競争原理が欠如している。
・昨今では課長職すら"上がり"になっているケースもみられ、
課長になるまでの必死さと、課長になった後の必死さが全く違う。
といった点が指摘されました。
※参考
http://hito-ri.inte.co.jp/research/contents2012/GHRM_committee01.pdf
http://hito-ri.inte.co.jp/research/contents2012/TM_committee03.pdf
グローバル企業の人事責任者から出てきた、
「(グローバル企業では) マネージャー以上になると、
いつ下から突き上げられるか分からない。
上位層になればなるほど、みんな必死に勉強する」
といったお話が非常に印象的でした。
大学生が勉強しない、若手社員が学ばない…
そんな声をよく耳にしますが、
大学生や若手社員を問題視する前に
学習をさせる側や構造そのものに原因は無いか、確認する必要がありそうです。