─シオン─
「目が覚めました、セブナ様」
「静かになったと思えば、お前寝ておったのか?」セブナが歩み寄る。
「このようなときに気合いの足りん男じゃ。ところで名は名乗ったのか? ミランダがどう接していいものか困り顔じゃ」セブナが、自身が困ったようにゆらゆらと頭を左右に傾ける。
「ああ、遅れました。シオンと申します」若者は律儀に頭を下げた。
「スベラ様の?」
「ご存じで?」
「剣の鍔の透かし彫りでわかりました。イエナ爺とお揃いだと聞いております」
「お揃いとは恐れ多いですが、我が祖先と伝説のネイトン様とは仲がよかったようですね」シオンが微笑んだ。ごつごつと厳(いか)つい感じのミシュンに比べ、穏やかな顔をした青年だった。
「スベラ様は、イシュリム様に腰抜けとあだ名されたが、それは普段のこと。剣の腕は他を圧倒した」セブナが口を開いた。
「シオンもそれを引いておる。けれども、実戦をした者はここには誰もおらん」セブナが素早く辺りを見回した。
「わしと、イシュリム様を除けばな」
その事実の大きさに、男たちに動揺が走る。
「しかし、かつての闘いも先の闘いも、みな初めて魔物に接した。そして、被害は出たけれども勝ったのだ。荒野の民を救ったのだ。案ずるな、己と剣を信じるのだ」

「イエナ爺が言っていました。魔物は人の悪意の塊(かたまり)だと」
「うむ、それはわしも聞いた。シャメーナがそう伝えてきたそうだ」イシュリムは頷いた。
「今回もまた、人の心が乱れたから出現したのでしょうか」
「それはわからぬ。しかし、相手が何であれ、我らは闘うのみ。余計なことなど考えぬことだ」
「はい」ミランダは頷いた。
「ところで剣を使える人の数は幾人ほどでしょうか」ミランダはもっとも気にかかっていたことを口にした。
「100人は下らぬ」イシュリムの目は自信に満ちている。
「それは心強いです」
「かつての闘いは総員戦だった。見えない魔物に初めて接して、わしも指揮官の立場を降りて剣を振るった。
先の闘いは二手に分かれたが、みな疲労困憊であった。よって、今回は3つの集団に分かれて闘うこととする。戦況を見て随時交代する。もしもの時のために、前回と同じく、わしは結界を作って村の外にいることとする。よいな」
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