風神 あ~る・ベルンハルトJrの「夜更けのラプソディ」 -115ページ目

─間合い─

「触れずに斬ってくるとするなら」ミシュンと共に剣を抜いて、セブナに叱責された若者が口を開いた。
「間合いの見きわめが、まさしく命がけですね」
「間合いを見きわめるとは、どういうことじゃ」セブナが若者を見上げる。
「ですから、斬られぬ間合いを見つけることです」
「馬鹿者、その間合いがわかったときには斬られておるわ」セブナがあきれたように眉を曲げた。
セブナの接し方は、孫にあたるミシュンとこの若者には厳しいようだ。それだけ見込まれているということだろうか。

「そのとおりだ。死者だけが斬られる距離を知っているなどとは笑い話にもならん。そしてだ」
イシュリムが杖を左の肩から振りかぶり、ぴたりと水平に止めた。

「我らが剣は、人の英気によって斬れる距離が違う。闘い方はその人間だけのものゆえ、誰も助言はできん」イシュリムの琥珀色の瞳がぎろりと光った。
「さらにだ」イシュリムが杖の先を男たちひとりひとりに向けた。
「我らよりも遠くから斬ることができるとしたらどうだ」杖をコンと地面に打ち立てみなを見回すイシュリムの姿に、一同を重い空気が包んだ。
「どうだと訊いておる」シンと静まりかえったきり、誰も声を発しない。

咳払いひとつ憚(はばか)られる静寂を破ったのはセブナだった。
「遠くから斬りつけることができるということは、長い剣と同じであろう。長かろうと短かろうと、かわしさえすれば負けるはずはない。魔物の正面に立てば黒い剣の軌跡は見えるのじゃ。大きい者が勝つと誰が決めた。長い剣が必ず勝つとなどという愚かしいことを誰が信じる」セブナが意気消沈する男たちを一喝する。



「イシュリム様が剣を取った闘いは100人で挑んで半数が命を落とした。先の闘いは、寄せ集めに等しい23人だった。そして、生き残ったのはたったの8人。忠告しておく。死を恐れるものから先に死んでゆく」
セブナが、男たちひとりひとりの心胆を吟味するように眺めていく。真っ直ぐにセブナを見つめる男もいれば、うつむき加減の男もいる。

「かつてイシュリム様が闘った。イエナ様が、クロン様が、スベラ様が闘った。我が父ティエンも闘った。我らは歴史に名を残す闘う部族。お前たちはこのときのために研鑽を積んできたのではないのか?」セブナが再び、みなを睥睨(へいげい)する。男たち全員が強く頷く。
「だとするなら」セブナが小振りの剣を持った腕を前に突き出す。
「我らが剣の前に敵はないのじゃ!」
イシュリムが強く同意するように頷いた。


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スイカ買うとき叩く? ブログネタ:スイカ買うとき叩く? 参加中

私は叩く派!



もちろん、叩くに決まってるでしょ!
叩かなければ日本人じゃないって、今から教えてあげるからね。

スイカは収穫した時点で成熟が止まるのはみんな知ってるだろうけど、叩くという行為は中身の詰まり具合を見るのではなくて、その成熟具合を見るのが主たる目的なんだね。

たくさん叩いてたくさん食べてきた人ならわかるけど、熟すほどに音が低くなるんだよ。
低くなると書くとわかりにくいけど、なんというか、未熟なスイカの音は手元で鳴ってる感じで音が高いんだね。熟すにつれて音が響くようになる。叩いた音がスイカの中心部分まで伝わって響いているって感じかな。
逆に熟しすぎたものは、音が鈍くなる。

僕の場合は、まず中指の先で軽く叩いてみる。その中で気になるものは手首を返してノックする。うん、と思ったら手のひらで叩いてみる。それで熟し具合はわかる。

確かにツタの部分がへこんでいるものと、花の咲くおしりの部分が小さい方が甘いというのは常識的に言われているけど、あ、あと、縞模様のはっきりしているもの。それでもなお、僕は叩かないと気が済まない。

だって僕は熟し具合を見たいのだし、同じ売り場に並んでいるものなら、熟してれば美味しいに決まっている。
そのときスイカは、自分の熟し具合を小声で教えてくれる。


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あれはね、いにしえの人が編み出したスイカと人のコミュニケーションなんだよ。これを伝承と言うんだ。君も伝承しなくちゃ日本人じゃなくなるよ。

今では当たり前になってしまった賞味期限だけど。消費期限との違いなんて書いてる暇はないので省略するけど、それまではおおむね一部を除いて製造年月日で示されてたんだね。

それが、1995年(平成7年)に賞味期限の表示に移行された。なにが書きたいかわかる? それまでは製造年月日で確認をしてた。もっと古い人たちは自分の目と鼻で賞味期限を確かめてたって事だね。

傷んだ食品の匂いなんて、もはや嗅ぐ人はいないだろうけど、僕たちは鼻を近づけてクンクンしながらそれを確かめてた。
ちょっと痛みかけたものは、大丈夫そうな香りの奥に、怪しげな匂いを潜ませていた。おにぎりのご飯とのりの奥底から違う匂いを漂わせたんだ。
それを食べるかどうかは本人次第だったけど。

長くなってしまった。
スイカを叩く行為を馬鹿にしちゃいけないよ。あれは与えられた知識ではなくて、百聞は一見にしかずの貴重な知恵なんだから。

ツタの部分がへこんでいるってどの程度?
ねえ、ねえ、花の咲くおしりの部分が小さいってどの程度?

ほら、周りに比較するスイカがなければ君はなにもできなくなる。
詰め込んだ知識じゃなくて、実践するのが知恵なんだ。

だから、叩くんだ。たった一個のスイカを判別するために。
その時スイカは、周りに比較するなのものがなくたって君に事実を教える。
僕たちは、先人らが伝え守ってきたものをこれ以上失ってはならない。

ほら叩こう。
ポンポン!

入ってます。
え?!


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─魔物の剣─

「で、どういう様子なのじゃ?」立てた剣に両手を乗せたセブナが、ミランダを見上げた。
「骨ごといくつにも斬られたありさまだそうです」質問を受けて、眉間を険しくしたミシュンが答えた。

「ちょっと辛い質問じゃが……その、斬られた様子というか、剣の斬ったさまはわかるのか?」
どう言い表せばいいのだろう。人を死に追いやった状況をどう説明すれば。セブナの問いに躊躇を覚えたミランダは宙を見た。

「被害を増やさぬように、我らは闘わねばならぬのだミランダ」
「はい」息を吸い、ミランダは唇をなめた。
「人の死を、それも仲間の亡骸をこう表現することは心が痛むのですが、なんというか、小枝を瞬時に、そう、鋭利な刃物ですぱっと切ったように乱れがないのです」
「斬り離されている、ということじゃな」
「そうです」



「ふむ……かつての闘いのおりの仲間の亡骸を見たが、研ぎ澄まされた剣で斬ったというより、切れ味の悪い刃物で斬り裂いたようだった。奴らは力任せに剣を振るった。
それを、小枝をすぱっと切ったようにか……我らがものなら可能であるが、普通の剣では無理であろう」セブナが考え込むように深くあごを引いた。

「もしや、我らと同じく触れずに斬っている可能性もあるか。イリュリム様どうであろう」
セブナの問いに、イシュリムもあごを上げて思案顔をしている。
「とてつもなく長く鋭い剣を操る岩山のような魔物なら話は別だが、それは考えにくい。とするなら、その可能性は捨てきれんな」


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大人数に料理を振る舞うなら何を作る? ブログネタ:大人数に料理を振る舞うなら何を作る? 参加中


まずお断りしておきます。僕は大人数に料理を振る舞ったりはしません

一品のサゼッションで良いですか?
であるなら、簡単なアヒージョがお勧めです。

中身は何でも良いです。エビにタコ、アサリ、牡蠣、ホタテにムール貝、マッシュルームに椎茸。

EV・オリーブオイル・ニンニク・塩・コショウ・鷹の爪は定番だけれど、塩の代わりにアンチョビフィレを使うと味に深みが出ていい。常備するのは面倒なので、僕はアンチョビペーストだけれど。



ニンニクは丸ごとを包丁で潰してもいいし、ザクザク切ってもいい。鷹の爪は丸ごと入れてもいいし、半分にちぎって種をスリスリと落として入れてもいい。

アンチョビの代わりにイカの塩辛でもいい。桃屋の瓶詰めは常温保存にある程度耐えるので、おそろしくしょっぱくてアクセントに良いですな↓↓↓↓↓



そうそう、アヒージョのナベなんて必要ないのです。フライパンで充分。
それも、7プレミアムのダイヤモンドコートフライパンが軽くて丈夫で、なかなかよい↓↓↓↓↓



僕は頑なに重いティファールを使い続けていたのだけれど、早くこれにすれば良かったと後悔した。ティファールだって永遠に焦げ付かないわけじゃないからね。


あ、エキストラバージン・オリーブオイルならダンテ。これが僕の好みです。(日清製粉ホームページより拝借)↓↓↓↓↓



熱いので、ふうふうして食べてください。
エビは火を通しすぎないでね。ぷりぷり感がなくなるから。

ということで、プリプリ

Princess Princess - Diamonds



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─セブナ─

男たちの人垣の中を、老女はゆっくりと歩いてくる。こちらをチラリと見て、俯(うつむ)く。そしてまたこちらを見て、俯く。その顔は終始笑みを浮かべていた。

目の前に立った老女が、ふぅと一息ついてミランダを見上げた。
「セブナ様ですね」
「ほお?」老女は目を丸くして、「わかるのか?」と眉を上げて首を傾けた。
「はい」
「年端も行かぬ女児であったわしのようなことまで、イエナ様はお話しになったのか?」
「はい。強かったと、無類の強さであったと、興奮気味に語りました。お会いできて嬉しいです」
「それほどのものでもない」セブナは面映(おもは)ゆげに俯いた。仕草のひとつひとつが、なんと可愛い老女なのだろう。



「ところで、名は何という?」
「ミランダでございます。シェリ婆がつけてくれたそうです」
「そうか、シェリ様がお名前をのお。瞳がシェリ様にそっくりじゃ。うんうん思い出す。お前の目を見ていると、女児であった頃に戻るようだ。あのお方も、荒野に湧く泉のように、人を惹き付けて止まない瞳をしておった」

じゃろう? イリュリムも頷きながらミランダの横に立った。
「それにほら、眉を見てみろ」
「うん、うん、イエナ様に似てりりしい。ほれ、触らせろ」セブナの声にミランダは腰を低くして顔を近づけた。
「おお、おお」セブナはミランダの頬をぴたぴたと叩き、愛おしそうに撫でた。
「会えて嬉しいぞ、ミランダ」
「こちらこそ」
「あれから……」セブナは言葉を探すように、しばし宙を見つめた。
「おじちゃんは……イエナ様は、静かな暮らしをお送りになっただろうか」
問いかけるセブナの瞳は愁いを帯びていた。

「はい。わたしが知るのは族長を退いた晩年のことですが、シェリ婆とふたりで、村の片隅で静かに暮らしておりました」
「そうかそうか。あのお方は同情心と責任感が強すぎて、見ていて可哀想になるときがあった」セブナは思い浮かべるように、小さく何度も頷いた。

「そうか、静かにお暮らしになったか、クロン様も?」
セブナの問いに、ミネラが頷いた。
「イエナ爺とともに、よく日向で居眠りをしておりました」懐かしむような、遠い目をしたミネラが微笑んだ。

「それはなによりじゃった」ははっと笑ったセブナの瞳に、きらりと光るものがあるのをミランダは見逃さなかった。
そうだ。彼らは、命をかけて敵と戦い抜いた同志だったのだ。



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─老女─

「こんな騒ぎの時に不謹慎ですが、緑が多くて穏やかな村ですね」ミランダは空を見上げた。
「それ以外はなにもない村じゃ。それだけが取り柄かの」笑ったのだろうか、前を歩くイシュリムの肩が揺れた。



やがて男たちが集会所に集まり始めた。ミシュンに事と次第を聞いたのだろう、それぞれが目で挨拶をしてくる。ミランダとミネラは右手を胸に当て、目礼をくり返した。

「腰抜けスベラのひ孫はどうした、早くシオンを呼べ」イシュリムが男たちを見渡す。
「声を掛けましたゆえ、追っつけまいります」ミシュンが頭を下げた。

「ここにイエナとクロンの剣を持て。みなのもの、闘いが始まるぞ!」イシュリムが杖を地面に突き立てた。「今度は早々と片を付けてやる」

「イシュリム様、2日あれば充分でございましょう」ミシュンが抜いて高く掲げた剣は研ぎ上げられ、まばゆいばかりの銀色に輝いていた。
集まりつつある男たちは、みな腰に剣を差して闘いに挑む態勢に入っている。

「ミシュン殿、慌てずとも3日でもよいではないですか」
その中のひとりの若者が、穏やかな声で剣を抜いた。その剣も見事だった。そしてその鍔は際だって美しい透かし彫りの模様をしていた。若者は剣越しにミランダを見て、やさしげな笑みを浮かべた。

「黙って聞いておればお前たちは」
集会所の入り口から男たちのどよめきが起こり、ミランダは顔を向けた。
「2日だの3日だのと……」怒りを含んだ声とカツンと地面を叩く音がした。
履き物が地を擦る音が響いて、男たちの人垣が割れた。

「剣を抜いたのは誰じゃ。剣はお前たちの遊び道具ではない! むやみなことで抜いてはならぬ!」
男二人が顔色を変えて剣を鞘に収める姿が、ミランダには可笑しかった。

男たちが道を空けた集会所の入り口に、小柄な老女が立っていた。
イシュリムに続き、伝説の物語の人物が登場したらしい。
生きておられたのだ。ミランダにはそれがとても嬉しかった。

右手を胸に当てひとつ頭を下げて、その姿をしっかりと見た。ミランダが微笑むと、剣を杖代わりにした老女が、にっこりと笑みを返してきた。
その顔は、今にもいたずらでもやらかしそうな、えも言われぬ可憐さだった。


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─イシュリム─

「それはまことか」
ゆったりとした衣と長い髪と髭。すべてが真っ白な老人が、渦を巻くような艶やかなコブを持つ長い杖につかまり、ゆっくりと立ち上がった。ミシュンが道を空けるように左手をこちらに向けた。

老人は杖を突きながら近づいてきた。イエナが狼のような、と言い表したその琥珀色の瞳は大きく見開かれていた。
「まことに、イエナとシェリのひ孫か」老人はなおも近づいてくる。気圧されたミランダは半歩身を引いた。
「はい、ミランダと申します」

老人の目が柔和に細くなった。
「おお、おお、確かに」ミランダの顔をのぞき込み、頬をぴたぴたと叩きながらイシュリムは微笑んだ。
「澄み切った瞳などはシェリに瓜二つじゃ」その手のひらは老人とは思えないほどに柔らかく、身の丈は想像以上の高さだった。

「よう忘れずに来てくれた」
「ほんとうにイエナ爺を知るイシュリム様ですね」ミランダはその二の腕にふれた。
「この村でイシュリムを名乗るものは、後にも先にもわしひとりじゃ」イシュリムは頷いた。
「この老いぼれはいったいいつ死ぬのだ、そう思ったか?」
「いえ」ミランダは、慌てて手を振った。イシュリムが笑い声を立てた。

今ここで初めて会うはずなのに、すでに既知の人のような気がしたミランダは、挨拶も詳細も省き大事なことから話し始めた。

「曾祖父に聞いた話と、少し違うような気がするのです」
「イエナの闘った魔物と違うと?」
「はい」
「して、どう違っておるのじゃ」
「村人が骨ごといくつにもぶった斬られたありさまで死んでいくのです。曾祖父の話では意思を抜き取ら、獣に食われて骨になったそうです。闘いにおいては漆黒の剣を振るって身体を二つに斬ったと聞いています」
「いくつにもぶった斬ったようにか……すべてそうなのか」
「はい」

「ふむ……確かに奴らは二の太刀は使わなかった。渾身の力で一の太刀を振るった。それを斬り刻んだようにか」思案顔のイシュリムは唸り声とともに顎を上げた。
つられるように見上げたミランダの視線の先に、小鳥が数羽飛んでいくのが見えた。青い空と雲を透かす木立の葉は風にそよぎ、せせらぎは静かに響いた。およそ闘う部族が住む村とは思えないほどの穏やかさだった。



「が……」ミランダに顔を戻したイシュリムは小さく何度も頷いた後「案ずるな、我らが剣は無敵じゃ」と力強く微笑んだ。
「それを聞いて一安心しました。ここにまだスベラ様に繋がる方たちはおいででしょうか」
「類い希なる剣の使い手、腰抜けスベラの血筋は残っておる。あれ以来剣の使い手は絶やさぬようにしてきたゆえ、すぐにでも闘えるぞ」
「すぐにでございますか! それは心強いです!」

「して、お前は誰じゃ」睨むような目でミネラに問いかける。なるほど見知らぬ人には愛想がないというイエナの話は本当だった。
「わたくし、クロンのひ孫ミネラと申します」ミネラは右手を胸に当てて答えた。
ミシュンが驚いたようにミネラを見て、すっと頭を下げた。ミネラが素性を名乗っても通った話であることが、ミランダには妙に嬉しかった。

「おお、おお、あのクロンのひ孫であったか。お前、何を知らぬふりをして突っ立っておったのだ」
ミネラに近づき、その肩を掴んだ。「よう来たな」

「イシュリム様、シャーマン・シャメーナ様の跡継ぎ様はいらっしゃるのでしょうか?」
「跡継ぎどころか、シャーマン・シャメーナそのものが生きておる」イシュリムは川の上流を指さした。
「そうですか!」
「闘いの終わりしときは行くがよい、イエナとクロンのひ孫とあればさぞや喜ぶであろう」

「ミシュン、男どもを集会所に集めよ」
「はい!」ミシュンが背筋を伸ばしてイシュリムに応えた。そして、声を落とした。
「ミランダ殿、ミネラ殿、お詫びが遅れました。先ほどは失礼をいたしました」
出迎えの様子を詫びているようだ。
「いえ」ミランダとミネラの声が揃った。
「イシュリム様は、いらぬ来客を好みませんので」
にっこり笑ったミシュンが走り出した。
「なにか、わしが悪者になっておるか?」
「いえ」
「まあ、よい。さあ、集会所に行こう」


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芸能界に憧れたことある? ブログネタ:芸能界に憧れたことある? 参加中

私はない派!


郷里に帰る夜行列車の中だった。
上下に3段、向かいにも3段。僕のそばに知らない人がたくさん寝ている。
枕が変わった程度でも眠れない質の僕は、そこをそっと抜け出して、窓のそばの椅子を倒して腰を下ろした。

そして、小瓶のウィスキーをちびりくびり。
視線が気になる。どうにも誰かに見られている。
けれど、気になるものは案外直視できないもの。

僕は視線を気にしながらもウィスキーを口に運んだ。
すると、視線の元が突如歩いてきた。

「芸能界に興味ない?」男は名刺を差し出してきた。
「ないです」
「いいと思うんだけど」
僕は男を見上げた。
「何がですか」かなり不機嫌な顔をしていたと思う。
「君」
「は?」
「歌は歌えるの?」
「音痴です」
「でも、役者なら」
「いいです」
苦笑気味の男はしばらく黙った。
「ストレートで飲まない方がいいよ。一応名刺だけ」
「いらないです」

だって僕未成年だから、飲酒喫煙で捕まっちゃう( ̄▽+ ̄*)

あれが本当のスカウトだったのか、妙な趣味のエロ親父だったのかは確かめようがない。
けれど、どうでもいい。興味がないし。
けれど、漫画家に興味がない?
そう言われたら、僕は目を輝かせたに違いない。

漫画は描けるかって?

描けまてん


時々三船美佳に見える石井明美↓↓↓↓
CHA-CHA-CHA 石井明美


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─ミランダとミネラ─

「まるで、森のようだね」ミネラが感嘆の声を上げた。
ミランダは手びさしをかざして風に揺れる木々を見上げた。
「ほんと、荒野にこんな村もあるのね」ミネラがラクダを降りたのに続いて、ミランダも大地に足を下ろした。足下で揺れる木漏れ日は、乾いた荒野を旅してきた心に潤いを与えた。

ラクダを引いた二人は石囲いの村の入り口に立った。

「お頼み申します!」ミネラが声を上げた。

ほどなく、奇妙な衣を身につけた男がひとり、のそりと現れた。厚い胸板に盛り上がった肩と太い腕が、いかにも闘う部族を思わせた。
膝丈の亜麻の衣に袈裟に着た獣の毛皮、腰には太い皮の帯を巻き、足元は編み上げたような革の履き物。
そうだ、その毛皮は曾祖母シェリがイエナの形見として大事に膝掛けにしていたものと同じだった。

「なに用でしょうか」ひげ面の男の顔は、おそよ来客を迎えるものとは遠く、険しかった。

「族長様はおいででしょうか」ミネラが胸に手を当て頭を下げた。
「私の言葉が聞こえませなんだか。なに用かとお尋ねしたのですが」男は大げさに首を振って見せた。
二人が若いうえに片方は女ときているから、真剣に取り合おうとはしていないのが見て取れる。しばらく待ってみたが、男は口元を曲げたままそれ以上言葉を発しなかった。

ミネラがこちらを見た。ミランダは頷いて一歩前に進み出た。
「もしも事が起こったときにはこの村を訪ねよと、曾祖父に言われて育ちました」
「ことが起こったときには?……いったい、どういうことでございましょう」男の態度に変化が見られた。「あなた方は……」

ミネラがさらに催促するようにこちらを見る。
「わたくし、ネイトンの血筋、イエナとシェリのひ孫、ミランダと申します」
ミランダは男を真っ直ぐに見つめて名乗った。驚いたように首を前に突きだした男の目が見開き、その顔色が変わった。

「ネイトン様の血筋……イエナ様とシェリ様のひ孫様でございますか」男の声に、ミランダはゆっくりと頷いた。

「もしや……」男は口をとがらせて息を吸った。
「剣でございますか」内密の話でもするようにミランダに近寄ってきた。先ほどまでの猛々しい態度はすっかり影をひそめていた。
「はい、剣を必要としてここまで参りました」
「出たのでございますね」男の声にミランダは再び頷いた。
「そちらの木にラクダを」男が指さした木に二人はラクダを繋いだ。

「こちらへ、さ、こちらへ」男は右手を前方に出し、一度あごを引いてから走り出した。
「イシュリム様! イシュリム様!」声を張り上げながらみるみる遠ざかる男の背中をミランダは追った。
「ミランダ! 転んで怪我をしてはつまらぬぞ!」後ろからミネラの声と枝葉を踏む音が追いかけてくる。
「大丈夫よミネラ! お前こそ転んで泣くではないぞ!」本当にお前というおなごは、とでも言いたげな、ミネラのあきれた顔が見えた気がした。



「イシュリム様は生きておいでで!」木立を縫うように走り続ける男の背中に呼びかける。
立ち止まった男が身体をこちらに向けた。
「はい、生きておいででございます!」
曾祖父イエナから聞いた話の中で、もっとも疑わしい下りだった不死と思われる老人、族長イシュリムは紛れもなく存在していた。

「ミランダ殿もようもご無事で。わたくし」男は胸に手を当てた。
「ティエンのひ孫、セブナの孫にございます! 名はイエナ様の兄上の名を頂き、ミシュンと申します!」ミランダが追いつく前に強く頷いた男は、ふたたび走り出した。

「ミシュン様! 我が曾祖母と我が祖母を、魔物の手からお守りくださったお方のひ孫様ですね!」
「いえ、飢えに苦しむ我が曾祖父母、我が祖母に救いの手を伸べてくれたのはイエナ様とクロン様にございます!」静かな村に野太い声が響く。

全力で走る三人を、村人たちが驚いたように見送る。ミシュンの足は速く、背中はどんどん遠ざかっていった。やがてイエナが語ってくれた通り幅3間ほどの浅い川が見えてきた。

川の畔に立つ一本の木にミシュンが話しかけている。追いついたミランダとミネラは肩で息をしながらその木に近づいた。


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芯まで冷えたテキーラを、ロックアイスの上にとろとろと注ぐ。
琥珀色に染まるグラスを回すと、カランと涼やかな音がする。
傍らには半分に切ったライムと塩。

ライムをかじり、親指と人差し指の付け根に乗せた塩をなめる。右手で素早くテキーラを口中に運ぶ。
刺激的なライムと塩を、クエルボ・テキーラが包み込む。
クツクツとシェイクしてから喉に流し込めば、芳醇な香りが喉元を過ぎて胃に落ちてゆく。

目を閉じて、世間を闊歩する恥を知らぬ裸の王様たちを思う。
それから、口元を曲げて笑ってみる。
くだらねえ、と呟く自分の声がする。

義務と権利と、欲と得と。
謙虚と見栄と、利己と利他と。

さまざまな思いはまとまることなく巡り、テキーラの酔いと共に頭を混乱に陥れる。

来し方を思う。
己の生まれてきた意味をあらめて考えてみる。
けれど、答えは出ない。

色彩のブルース/EGO-WRAPPIN'




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