映画になっていたのか。まあ、いつものことながら原作とは違っているだろうけど、映画なら登場人物が顔を出すわけで……どうやって映像化したんだろう、と気になる。
顔が出ちゃまずいんじゃない? これ割とキーワードです。
ライターの「僕」は、ある猟奇殺人事件の被告に面会に行く。彼は二人の女性を殺した罪で死刑判決を受けていた。
だが、動機は不可解。事件の関係者も全員どこか歪んでいる。この異様さは何なのか? それは本当に殺人だったのか?
「僕」が真相に辿り着けないのは必然だった。
なぜなら、この事件は実は―。
話題騒然のベストセラー、遂に文庫化!
「BOOK」データベースより
最後の最後に判明するのだけれど、復讐劇だった。
タイトルの「去年の冬、きみと別れ」は確かに、根幹をなすものだった。
前半はもう、鬱々とした文体でどんよりとしている。
そこに伏線がたくさん張り巡らされているのだけれど、読むのがしんどかった。
もう読むのをやめようと本気で思った。
どんなにすごい展開が待ち構えていようとやめようと思った。
ただ、何が起こるかを知らなければならない、それだけで辛抱強く読み進んだ。
後半に入ってスピード感が出てきて、やっと面白くなってきた。
作品としてはよく練られているし、伏線の回収も思いもよらないもので秀逸といってもいいだろう。
だがしかし、一日にちょこまかと30分の読書時間。それを補うために休日に集中する、とはいえ時間に限りもあるので時計を気にしながら、みたいな僕には、くせ者の中村文則は合わないのかも知れない。
小説の出来としてはいいのだけれど、なんというか、これを読むほどの気力はない、といった方がいいのかも。
情景や人物の描写が不足かな。だからなのか、誰にも感情移入できなかった。というか、あえてそれを避けた、というべきだろうか。
これも評価が割れそうな作品に間違いない。
おすすめ度★★✪☆☆
作品的評価★★★★☆
✪は0.5です。
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