
「東京に逃げることにしたの」
釧路の高校を卒業してまもなく、二十以上も年上の和菓子職人と駆け落ちした順子。
親子三人の貧しい生活を「しあわせ」と伝えてくる彼女に、それぞれ苦悩や孤独を抱えた高校時代の仲間は引き寄せられる。
―わたしにとって、本当のしあわせとは何か? ままならぬ人生を辿る女たちが見いだした、ひとすじの希望。
生きることへの温かなエールが胸に響く物語。
「BOOK」データベースより
1984年に始まる、仲の良かった高校生6人の女たちの、その後の人生が描かれている。
親ほども年の離れた妻帯者の男と駆け落ちをした「順子」を核に描かれた物語だけれど、その順子をメインにした章はない。
「清美1984年」から「直子2009年」まで、順子の生活もおぼろげながら伝わってくる設定になっている。
駆け落ちをした男と、東京の端っこの流行ってもなさそうなラーメン屋を営む順子。
同級生の彼女たちから見たら、とてもそうは思えないのに“幸せだ”という順子。
なにをもって幸せというのか、それは人によって違うのだろう。
人の幸不幸は、他人が判断できるものではないのだと考えさせられる。
きっと、物や金ではない人だって存在するのだ。
順子のように。
生きた、笑った、泣いた。そして──死んだ。
単純に書くと、人の人生というのはおおむねそんなものなのだろう。
看護師の直子には見抜かれた。最後の数ページは胸に迫った。
静かだけれど、いい小説だった。描写もいい。
実在もしない順子という女性が、僕にはありありと見えた。
いつか時間が持てたら、再読したい。
相棒はいないけど、久々にやりたくなってしまった、「映画にするなら誰?」 のキャスティング。
順子=戸田恵梨香
細身で薄倖そうで、健気な笑顔。これを演じられるのは戸田恵梨香だろう。
うん、これはいいキャスティングができた。
おすすめ度
★★★★☆
ポチポチッとクリックお願いします。
にほんブログ村

短編小説ランキング