その写真集の記事は新聞に掲載されていた。
「スゲー!」
「マジかよ!」
「え? 嘘でしょ? 合成でしょ?」
「よく見ろよ、ちゃんとした広告だってば」
「サンタフェだって」
「ら抜き?」
「やかましい」
わらわらと集まってきた男どもが新聞にたかっている。
準備はおおむね整った。後は開店時間を待つだけだ。
「嘘だろ!」
「だからぁ、ちゃんとした写真集の広告だってば」
「嘘だ……絶対嘘だ! りえちゃんが脱ぐなんて」
「お前なんで自分の頭両手で鷲掴みにしてんだよ、漫画か? そんな奴初めて見た」

宮沢りえ「サンタフェ」より
それを見つめる僕もかなり驚いていた。
「宮沢りえ? どしたんだ?」
今でその衝撃度を現すとするなら、例えるご当人には大変失礼だけれど、現役当時の浅田真央に近いだろう。
え……なんで? ここで脱ぐ必要があるの? という感じだ。
「買いますか○○さん」
「なんでだよ」
「買ったら見せてくださいよ」
「なんで買うんだよ」
「買ってくださいよぉ」
「だからぁ、なんで俺がお前のために写真集を買う必要があるんだよ。こんなん持ってレジに行ったら目が泳ぐだろ? 表情が変なんなっちゃうだろ?」
「○○さん、見たくないんすか」
「見たい! これを見たくないって言ったら、変態さん決定」
「俺が買いに行きますよ」
うーむ……それならアリだなと僕は思った。値段書いてある? って誰も聞いてない……いつの間にやら話は立ち消えた。
「○○さん、近づきすぎっすよ」大きなお世話だ。
「柔らかそうなおっぱい」って、前屈みでてめえの尻撫でてんじゃない。その手が裏返って手の甲で撫で始めた。
あ、洗い物をした手の拭き残りを拭ってんのか。
「しかしスゲー、これ以上衝撃的なヌード写真はないっすよね。宮沢りえっすよ、宮沢りえ、俺どしたらいいんすか?」知らん。
「でもな、これ以上衝撃的なものがあるな」
僕は即座に一人の女性芸能人を思い浮かべた。
「誰っすか」
全員が僕を見つめる。
「誰だと思う?」
「○○さん、引っ張りますねぇ」
僕はゆっくりと、大きく息を吸った。
「キョンキョンがいるじゃないか!」
一同一瞬キョトンとした後、僕の意見の鋭さに気がついた。
「おぉーキョンキョン!」
「キョンキョンかあー」
「キョンキョンだぁー」
宮沢りえが女神なら、キョンキョンは犯してはならぬ神の領域にいた。
そいつら全員が、妄想の中で瞬時にキョンキョンを脱がしたに違いない。
薄汚い男どもめ、地獄に落ちろ。
木枯らしに抱かれて / 小泉今日子
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