夜空を見上げてふと思う。
胸の奥でふつふつと熱を持ち続けたもの、なりふり構わず叫んだもの、心の奥底から希求したものたちを。
それには、若かったな、子供だったな、とだけでは片づけられない、迷いながらも確信めいた、不思議な力があった。
大人になるにつれ、そんな情熱や純粋さや一途さから遠ざかってきたこと気づく。
それを冷めたというのか、それとも正気に戻った意味で醒めたというべきなのか。
ふぅと吐いたため息だけが、それを知っているのかもしれないけれど。
狂気と正気と、沸騰と冷却の狭間で見つけるものは何だろう。
黄金の月 / スガシカオ
ぼくの情熱はいまや 流したはずの涙より
冷たくなってしまった
どんな人よりもうまく 自分のことを偽れる
力を持ってしまった
大事な言葉を 何度も言おうとして
すいこむ息は ムネの途中でつかえた
どんな言葉で 君に伝えればいい
吐き出す声は いつも途中で途切れた
知らない間にぼくらは 真夏の午後を通りすぎ
闇を背負ってしまった
そのうす明かりのなかで 手さぐりだけで
なにもかも うまくやろうとしてきた
君の願いと ぼくのウソをあわせて
6月の夜 永遠をちかうキスをしよう
そして夜空に 黄金の月をえがこう
ぼくにできるだけの 光をあつめて
光をあつめて…
ぼくの未来に 光などなくても
誰かがぼくのことを どこかでわらっていても
君のあしたが みにくくゆがんでも
ぼくらが二度と 純粋を手に入れられなくても
夜空に光る 黄金の月などなくても
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