星空の誘惑 | 風神 あ~る・ベルンハルトJrの「夜更けのラプソディ」
少し開けたウィンドウから風が舞い込み、うるさく髪を乱す。

ヘッドライトはなめるように道路を照らし、街の明かりは遠く滲む。
見やった運転席のあなたが何か言ってちょっと笑ったけれど、風にかき消された。

ふたりはどこへ向かおうとしているのだろう。

まだ見ぬ未来?
それともありふれた日常?

願っても、時はストップもスキップもリバースもしない。
今が絶え間なく続くだけ。
けれど、今という状況は、いつか終わる。
いや、変わる、というのか。

どう変わるのだろう。どう変わることを望んでいるのだろう。

窓枠に肘を乗せ、頬杖をついて、乱れた髪を手櫛で整える。
今って、なんだろう。

今を永遠にすることはできないのだろうか。
答えを待つままの今が続くことは。

その答えは、たとえば……嘘でもいいの?
いや、嘘じゃないほうがいいに決まっている。絶対。

聞こえるようにと、ちょっと甘いため息をついてみる。

ねえ……。

正視できないあなたの横顔を、ちらりと盗み見る。
何か食べているときと、あることないことしゃべっているとき以外の唇は、意外と……手持無沙汰。


星空の誘惑 / 松任谷由実


星屑がこぼれそうな夜
小刻みにふるえるミラー
理由(わけ)はきかず遠いところへ
私のこと運んで欲しい

想い出は流れ去るランプ
うそでいい 好きだと云って
そっと重ねた冷たい手を
私ずっと大事にするわ

いつも気軽に誘い合えたあなたとも
悪い恋に堕ちそうな星空の誘惑
まだ彼のことを忘れ切れず窓を見る
私のほほ包んでくちびるをふさいで

想い出は流れ 去るランプ
うそでいい 好きだと云って
うなるような 風の音は
なぜ私をひとりにするの

哀しいたびに会ってくれるあなたさえ
いたづらに失くしそうな星空の誘惑
きっとあなたの心は友達のまま
わがままな涙にとまどいゆれてるでしょう

オレンヂのトンネルの中は
横顔がネガのようだわ
今のうちにさらわれたら
後でみんな夢だと云える

星屑がこぼれそうな夜
小刻みにふるえるミラー
もうもどれぬ遠いところへ
私のこと運んで欲しい

今のうちなら
夢だと云える


数あるユーミンの歌の中で、これをベストと上げる女性も多いかもしれない。
僕は……「埠頭を渡る風」かな。
明日はまた変わってるかもしれないけれど。


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