幾つかの買い物のあと、起き抜けなのだろう、ちょっと暗い顔をした少女がしゃがれた声でぼそっと言った。
「マルメンライト」
少女と表現したが、むろん、成人だということは僕だって知っている。
眼前一メートルばかりの距離で、僕はそのリクエストに答えた。
住まいがすぐそばだったせいで、少女は何度か訪れた。軽く立ち読みだけで立ち去る日もあった。
女性誌は、いく誌もいく誌もその子が表紙を飾っていた頃だ。
喜びも悲しみも、彼女はそこで味わっただろう。
人生いろんなことがある。出会いがあれば別れもある。時は何かを運び、何かを奪い去る。
表現を変えれば、時は出会いと別れを、決められたとおりに忠実に実行する。
生まれる前の約束通り、我が子に会えたことは代えがたい喜びだったに違いない。連れてきたのは彼女ではなかったけれど、恐ろしく可愛い男の子だった。その子ももう、成人になるという。
引退までの一年、悔いなく燃え尽きてほしいと願う。
Body Feels Exit & Chase The Chance / 安室奈美恵
namie amuro BEST tour LIVE STYLE 2006
ポチポチッとクリックお願いします。

短編小説 ブログランキングへ


にほんブログ村