ツナグ | 風神 あ~る・ベルンハルトJrの「夜更けのラプソディ」

運転免許の更新に行ってきた。
二駅となりの駅に着いて改札近くの地図を見ると、肝心の警察署が表示されていない。
何度も何度も確認するけど、どこにもない。

勘違いだとしたら甚だしいけれど、違う改札口も目で追ってみる。
だけど、ない。

え、まさか引っ越した?
受け付けは午後の4時半まで、時計は午後の三時をすでに回っている。

ガラケーの僕はグーグルマップさえ使えない。改札で訊いてみようと思ったら、たまたまだろうけど、誰もいなかった。

違う場所に向かう手立ても、時間も残されていない。
あったはずの場所に向かうしか手はない。

更新のことを一瞬忘れていた僕には、今日がラストチャンス。

不安を抱えながら十分ちょっと歩いたら、あった。
遠かった分表示されていなかったようだ。
警察署内ではなく、道一本隔てた建物。そうだったそうだった。

乱視が気になる右目を細くしたりして、一番不安だった視力検査は何とか乗り切った。
いいんだ。僕は運転しないから。歩行者や自転車の飛び出しに異様に気を遣う僕は運転に向いてないから。神経擦り減っちゃうから。

受付を済ませたら、5分ぐらいで講習が始まった。ラッキー♪

帰りはダラダラと歩いたら20分ぐらいかかった。
この街に住むとしたらどうだろう?
決して小さい街ではない。まあ、許容範囲かな、などと考えながら。

家を出る時から気づいていたけど、僕はひどく疲れているようだった。
タイガー・ウッズじゃないけれど、白線の上をまっすぐ歩けるだろうか。

不審者に間違えられないように、ちょっとだけ歩いてみた。
まっすぐ歩ける自信が、なかった。

再び2駅乗って帰り着いて思う。東京の端っこにしては、やっぱりこの街、規模が大きいな、人が多いなって。
立ち食いそばを食べた。
いつもの公園に行って、本を読んだ。

これは子供の日記か?(笑)

読み終えたのは、これ。
辻村深月著「ツナグ」



一生に一度だけ、死者との再会を叶えてくれるという「使者」。突然死したアイドルが心の支えだったOL、年老いた母に癌告知出来なかった頑固な息子、親友に抱いた嫉妬心に苛まれる女子高生、失踪した婚約者を待ち続ける会社員…

ツナグの仲介のもと再会した生者と死者。それぞれの想いをかかえた一夜の邂逅は、何をもたらすのだろうか。心の隅々に染み入る感動の連作長編小説。

─「BOOK」データベースより─

初読の作家さんだった。直木賞作家だったんだ。
5編からなる連作短編。

最初はあまり引き込まれなかったけど、4編目の「待ち人の心得」は切なかった。
使者(ツナグ)として登場していた少年(歩美)を主人公にした最後の章「使者の心得」は圧巻だった。4と5で、この本の半分の量を占めている。
1.2.3.の依頼者、死者とのやりとりも再現される。歩美の両親の死の真相も。僕は夢中で活字を追った。

全然知らなかったけど、映画になっていた。
主人公の少年渋谷歩美を松坂桃李、4編目の日向キラリを桐谷美玲が演じたようだ。



見習い歩美のおばあちゃん役、正式な使者(ツナグ)は、樹木希林。ちょっとイメージは違ったけど、彼女なら演じ切っただろう。

辻村深月、少し追いかけてみようと思う。



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