すっとこどっこい | 風神 あ~る・ベルンハルトJrの「夜更けのラプソディ」

もしも僕が仕事場でブログを書いたとしたら、罵詈雑言が吹き荒れるとんでもないものになるだろう。

くそっ! と思うことだらけだから、ブログに書こうって思うんだけど、仕事が終わると憑き物が落ちたみたいに穏やかになってしまうから書けない。

まあ、仕事が終わってからもカリカリしていたら身が持たないし。それでも書いてみようと無理をしてみる。短くまとめるつもりだけれど、絶対長くなるだろうなあ。

数日前の出勤後の話だ。だから、夜の8時過ぎのこと。
納品を並べようとしていた僕は、異変に気付いた。

「○○はどこ行った」僕は店内とバックヤードをうろうろする。
「○○はどこにいる」誰も答えられない。○○とは昼間の責任者だ。そんなことをしている間に時間はどんどん過ぎていく。

そして見つけた。レジの中にしゃがみ込んで何かを探しているようだ。
「○○君、あれ、誰が並べたの」その時、僕の顔はすでに険しかったはずだ。
「あ、いや……」よく分かっていないようだ。
「ちょっと来て」怒りを交えて手招きをする。

売り場の前に立つ。
「なんだよこれ、誰がやったんだ」

やがて誰がやったか判明した。
ネパール人の女性スタッフが半分怒りながら、張本人にそのことを説明している。
「なんなんだよこれ。ほら、これ見ろよ。わけわかってねえじゃねえかよ。○○にやらせるな!」
「あ、はい」

帰り際、僕に近づいてきてその責任者が言った。
「もう、○○にはやらせませんから」重ねて言わんでもいい。

僕は仕事をしていて何かを発見したとき、いや、発見した時というより、3分に一回はおかしなことを見つける。だから始終罵っている。

「なんだこりゃ」
「何のおまじないだよ」
「大馬鹿野郎が」
「センスねえんだよ」
「すっとこどっこい!」

話は突如変わって、月曜の夜は違う店舗へのヘルプだった。
店長が休みの日は必ず僕が行くことになってしまったので毎週のことだ。
やめてくれよと思ってしまう。だって僕は、その店が嫌いなのだ。でも、仕事だから仕方がない。

当然のごとく、すべての発注を僕が請け負うことになる。
まあ、それも仕方がない。

だけど、僕の所属店の発注を、僕に代わってする人がいないというのは、ど、どういうことだ!

何で2店舗分のすべての発注をすることになるのだ……。
おかげさまで僕は、所属店の発注用の端末を2つ肩に下げて夜の繁華街を3往復する羽目になった。

端末はステーションのそばでなければ情報のやり取りができない。
発注画面を呼び出すことも、データを送り込むこともできないからだ。

「パパ! 久しぶりね! 元気!?」
顔なじみの黒人のキャッチだ。しかし、声でけえな。
「おお、久しぶり。元気だよ」
「寒いね!」
「ああ、寒いね」

僕は足を止めることもなく、振り向きもせず片手を上げた。

ある程度の発注を終えて、仕上げのために午前6時には自店舗へ移動した。

そして、水曜の夜、昨夜もその店だった。
今日は休みだから、残業もやむなし。
7時半ごろに移動しよう。
そう思っていた矢先。6時半を少し回ったころ、携帯が鳴った。

「○○さん、○○を貸してください」その店舗の店長から、名指しで人を貸せという電話だ。
「何言ってんだよ。こっちはウォークもやんなきゃなんないんだよ。発注だってあるんだから」
「人手が足りないんですよ」
「知らねえよ」

ちなみにウォークとは、ウォークインのこと。ドリンクを冷やして陳列しているところのことだ。
バック全体を冷やしていない冷蔵庫だけのものはリーチインと呼びます。

「○○さんの許可も得たんです」
○○さんとは僕が代わりに入っている店舗の店長だ。

許可を得ただと? 順番が違うんじゃねえのか?

「俺はいらぬ残業かよ」
「すみません」
「ウォークはやんねえからな」
「はい、すみません」

僕の口が汚いことは何度か書いているので、この物言いは勘弁してもらうとして。

ああ、そうだ昨夜22時ごろに電話があったんだ。
「○○さん、今夜はそっちですか」
はあ? 昨日もそう言ったし、さっき発注の確認で立ち寄った時もそう言ったじゃないか……。

「なに?」
「入金してないんです」売り上げの入金のことだ。0時を回ったらアウトだ。
「行ったりしますか」
「いや、今は動けない」

「あ、じゃあ、○○さんに頼みます」かつてその店にいたスタッフだ。
「うん。じゃあ、無理なようだったら電話ちょうだい」
「わかりました。どうもすみません」

さらに、夜中の2時ごろのことだ。
「○○さん、クレジットが払えていないって、電話がありました」休憩から上がったネパール人スタッフだ。
「つながってんの」
「いえ。電話番号と名前を聞いておきました」後で電話をしますと伝えたらしい。

「クレジットが払えていない? どういうこと」
「クレジットが払えていないって……」

外人組にはこれが限界だろう。
「分かった」
電話を掛けた。男性か女性かを確認したスタッフは男性だと言ったけど、女性だった。
すっとこどっこい!

「調べて後ほどお電話します」
日時を頼りに、ストアコンピューターから探し出したデータをプリントアウトした。この解決にもしばらく時間がとられた。

12時間働く間に僕が口にしたのはスニッカーズ一本だった。
お腹が空いてても食欲がわかないし、時間もない。

8時に移動して、猛ダッシュで発注を始めた。

また話は変わって、昨日腕時計が止まってしまった。
引き出しの中には電池切れのものが5つも6つも転がっている。
電池交換も念頭に入れて、その中でも見やすいものをひとつポケットに入れて、昨夜部屋を出た。

今日ドンキーに行ってみたけど見つからない。

何が見つからないかというと、ベルト部分がビヨーンと伸びる奴だ。仕事中は外しているし、入金で外に出る時とか休憩中は腕に付ける。
だからしょっちゅうつけ外しをするし、ポケットに入れたものを落とすことも年中だ。
ドンキーの2千円クラスのもので充分。

ビックカメラにも寄ってみたけど、ない。

電池交換だな。
そう思って地元に帰ってきて、つい最近合鍵を作ってもらったところで電池交換ができたはずだと思って行ってみたら、木曜定休日だった。
すっとこどっこい!

あちこち回ってみたけど、腕時計が売っていない。目覚まし時計はあっても、腕時計がない。
違うところに行ってフロアガイドを見つめる。
時計なんて書いてあるところはない。
でも、念のため入ってみる。

ああ、雑貨屋さん。
以前立ち寄ったことがある。
もちろん僕が買い物をしたわけじゃないけど。

こんなところには、ないよあ、ってふと視線を下げたら、時計がたくさん並んでいた。
あった!

後はびょーんと伸びるのがあるかどうか、一周してみる。
あった!

そこでお客さんとスタッフの会話を耳にした。
「電池交換とか修理だったら。ヨーカドーさんの6階に時計屋さんがあるので、そちらで」

知らなかった。
すぐ近くだから、僕は早速行ってみた。

でも、ない。
びょーんと伸びるのが……。
僕は再び、さっきの店に戻って、ひとつを選んで買った。
文字盤以外は真っ黒の時計。
けっして趣味だったわけではない。動けばいいや。
1069円也

腕時計がないとこれほど不便だとは思わなかった。どんだけ歩いたか。
やれやれ、僕はいつものスーパーへ向かった。

僕の叱責に腹がないことを分からない人は僕のことを嫌いになる。その現象だけを叱っているとわかる人は好いてくれる。

昨夜自店に立ち寄って更衣室でガサゴソしていた時だ。半分怒りながら、張本人にそのことを説明していた、ネパール人の女性スタッフが「○○さーん!」と、なんだか楽しそうに呼びながら階段を駆け上がっていった。
「何?」何の真似。

どうやら、何かを取りに行ったらしい。
なんで用もないのに僕の名前を呼ぶのか。まあ、呼びたければ勝手に呼べばいいんだけど……

僕のことを、好きと嫌い半分半分。
それもまた良し。

こんな長いブログ、誰も読まんな。

これをアップした時、僕はようやく、ほっと我に返る。
さて、自由時間の始まりだ。
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