「美裕、お墓のピクニックで場が凍り付いたんだけど」
「そお? あ、これよこれ」
美裕がアルバムの写真を指差した。
「そお? じゃなくてさ、みんな顔が険しいんだけど」
「いいから見なさいよ」
美裕の肩に顎を乗せるように覗き込んだ僕は、その写真を見た。
確かに、お墓の前にビニールシートを敷いてみんなが笑っている。母や、おじいちゃんおばあちゃん。その前にお弁当やお茶や、ビールや日本酒がある。
「ほら、これも」
母や祖母に抱かれた乳飲み子の頃から、そこらを走り回るころまで、美裕と僕の成長を辿るような写真が何枚かあった。
「美佐枝もさ、裕江もさ」祖母の声に顔を上げた。
「あたしの子だから。裕史も美裕もさ、あたしの孫だから。おじいちゃんは死んじゃったけど、どっちが欠けててもあんたたちはいないんだから」
祖母は母と僕を交互に見た。
裕江というのは僕の母の妹、僕の叔母さんにあたる人だ。
写真に写るそのお墓に、僕の曾祖父母と祖父と裕江叔母さんが眠っている。
祖母はひとつ、鼻をすすった。
「だからさ、あたしはこの場の要(かなめ)なんだよ」
悲し気に顔を歪める母に向かって、祖母は言い含めるように頷いた。
それから大きく息を吐いて、美裕ちゃん、と呼び掛けた。
「もう、言いなさいってことでしょ」
隣を見た僕の前で、美裕が頷いた。
「美裕が頷いたよ」
「うん、分かった。分かったよ美裕ちゃん」
祖母はひとつ、咳払いをした。
「ヒロちゃん、あんたね、裕江の子供なんだよ」
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