這うように階段を上がり、よろめきながら部屋に入った美佐枝は、クローゼットの扉を乱暴に開けた。
どこだっけ、どこにしまったんだっけ。
押入れダンスの引き出しを開けていくが、震える手でままならない。
違う、こんなところじゃない。なにやってんのよ、こんなところにあるはずない!
もっと、目立たたないところ。
裕史に見つからない場所。

どこだっけ、どこにしまい込んだんだっけ。
そう、二十年も封印をしたアルバム。
手の震えは瞬く間に腕、二の腕、肩、胸と伝わり、上半身をがくがくと揺すぶる。
そうだ、何かに入れてしまい込んだはずだ。
なんだ、なんだっけ。
クリアケース? お菓子の缶?
なんだっけ。
落ち着け、落ち着け。
けれど震えは止まらない。
スーッと吸ったつもりの息が、ヒィーっと音を立てる。
ちゃんと持ったつもりの、頂き物のハンカチの箱が、手の上で踊って床に落ちる。
クローゼットに顔を突っ込む。
あった。
違う。もらいもののバスタオルの箱だ。
どこよ、どこよー!
フッ、フッ、フッ、フッ!
美佐枝はうめき声を出しながらクローゼットの小物を部屋に掻きだしていた。
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