─輪ゴムの謎 ②─
そいつが懸命に否定しても、誰も信じない。
「違うんだって。銭湯でさ、変な人がいたんだよ」
「変な人? ちんちんじゃなくて?」
「いや、それも絡んでくるんだ。聞きたいだろ」
「どんな人?」立場は逆転した。
「銭湯でちんちんかあ……」
「みんな出てるしな」
「それがさ……」
そいつが長い机に前屈みになるのに引き込まれるように、僕たちも前屈みになった。
僕たちが使っていた机は長かった。ただ座って授業を受けるだけなら4~5人は座れる長さだった。
それが、以前書いた精密描写程度なら2人ぐらい、製図板やT定規などを持ち出すとひとりで使った。
「俺うんこなんか踏んでないからな」
「なに?」
「エンガチョ」
「根に持つねー」
「あれ? 怒っちゃったの?」
「ていうか、お前んとこのエンガチョはああだったの」
「違う?」
「俺んところはさ、こうだ」
そいつは人差し指に中指を絡めて言った。
「エンガチョ切った! 絶対こうだよなあ○○」
「俺の田舎にはエンガチョなんてなかったよ」
「日本は広いなあ」
「銭湯の話はどうなったの」
「おっかみさーん! 時間ですよー!」

「どこまで脱線する気なのお前たち」
「じゃあ、本題に戻そう。ちんちんにさ」
そいつがさらに前屈みになるのに引き込まれるように、僕たちもさらに前屈みになった。さながら秘密の作戦会議だ。
「輪ゴム巻いてた人がいるんだよ」
「ちんちんに輪ゴム!?」
「お前さ、声大きいんだってば」
「ちんちんに輪ゴム?」
「囁かなくてもいいから」