皆様、こんにちは。消化器内科外科の院長です。
胃カメラ・大腸カメラをはじめ、おなかの痛みや痔などの消化器系疾患を専門としています。今回もお腹の不安が少しでも和らぐ情報をお届けしていきます。
冬になると「あれ、なんだか体が重い」「風邪がなかなか治らない」と感じる人が増えます。
寒さや乾燥は、体の免疫機能を下げ、感染症のリスクを高める要因です。
仕事や家庭で忙しい大人ほど、体の小さなサインを見逃しがち。
この記事では胃腸内科外科の専門医が、冬に大人がかかりやすい病気と、今から実践できる体調管理のコツをわかりやすく解説します。
1. 冬に体調を崩す大人が多い理由
冬は呼吸器・消化器を中心に、さまざまな不調が起こりやすくなります。
その背景には次の3つの要因があります。
① 乾燥によるバリア機能の低下
冬の空気は湿度が低く、喉や鼻の粘膜が乾燥します。
粘膜はウイルスや細菌の侵入を防ぐ「防御壁」の役割をしていますが、乾燥によってその働きが弱まるのです。 その結果、インフルエンザや風邪などの感染症が広がりやすくなります。
② 冷えによる血流と免疫力の低下
体温が1℃下がると、免疫力はおよそ30%低下するといわれます。
寒さで体が冷えると血流が悪くなり、体内の免疫細胞がスムーズに働けなくなります。
特に女性では冷え性や低体温による疲労感が強くなり、体調不良が長引く傾向があります。
③ 年末のストレスと生活リズムの乱れ
冬は仕事の繁忙期や年末年始の行事などで生活が不規則になりがちです。
睡眠不足や暴飲暴食、過度なストレスが続くと、胃腸への負担が増します。
胃痛や便秘、下痢といった胃腸トラブルも、冬に多い悩みのひとつです。
2. 冬に大人がかかりやすい代表的な病気
胃腸内科外科の現場でも、冬は感染症と胃腸疾患の患者様が急増します。
ここでは特に注意したい4つの病気を紹介します。
① インフルエンザ
毎年冬になると流行する代表的な感染症です。
発熱、関節痛、倦怠感といった全身症状が強く、重症化すると肺炎を起こすこともあります。 ワクチン接種はもちろん、睡眠と栄養の管理が予防の鍵です。
発症後は早めに受診し、抗インフルエンザ薬を使うことで回復を早められます。
② 感染性胃腸炎(ノロウイルス・ロタウイルスなど)
嘔吐や下痢、発熱を伴う胃腸炎も冬によく見られます。
特にノロウイルスは感染力が非常に強く、家庭内や職場で集団感染を起こすことがあります。 発症時は、水分を少しずつ摂りながら脱水を防ぐことが最優先。
アルコール消毒では不十分なため、次亜塩素酸水(漂白剤の希釈液)での消毒で対処します。
③ 冬季うつ(季節性情動障害)
日照時間が短くなる冬は、気分の落ち込みや不眠など「冬季うつ」の症状が出る人が増えます。
寒さや仕事のストレスで自律神経が乱れることも一因です。
毎朝カーテンを開け、太陽光を浴びることや、軽い運動を日課にすると症状の改善につながります。
④ 胃腸機能低下(ストレス胃)
冬の忘年会シーズンなどで、食べ過ぎや飲み過ぎが続くと胃の働きが鈍ります。
胃もたれや膨満感、胸焼けといった症状が出やすくなります。 こうした症状が続くときは、ピロリ菌感染や胃潰瘍の可能性もあるため、内視鏡による検査を検討しましょう。
3. 今日から始める体調管理術
冬を健康に過ごすためには、毎日の生活習慣を少し工夫することが大切です。
ここでは専門医の視点から見た、体を守るセルフケアのポイントを紹介します。
① 温める習慣を持つ
冷えを防ぐことは、免疫力の維持に直結します。
首・手首・足首の「3つの首」を温めると、体全体の血流が改善します。
また、ぬるめの湯に10〜15分浸かる半身浴も効果的です。
体を芯から温めることで、内臓の働きが活発になります。
② バランスの良い食事で腸を整える
免疫細胞の7割は腸に存在するといわれます。
善玉菌を増やす発酵食品(ヨーグルト、納豆、味噌など)を日常的に取り入れましょう。
また、根菜類やしょうがなど、体を温める食材も積極的に摂ると良いです。
暴飲暴食を避け、腹八分を意識することが胃腸の健康を保ちます。
③ 睡眠の質を優先する
睡眠不足は体の回復を妨げ、免疫力を下げます。
就寝1時間前にはスマホやパソコンの画面を見ないようにし、部屋を暗くしてリラックスした状態をつくりましょう。 就寝前の白湯やストレッチも、自律神経を整える手助けになります。
④ 手洗い・うがい・保湿で感染を防ぐ
冬の感染症予防の基本は、地味ですが「手洗い・うがい・加湿」の3点につきます。
アルコール消毒に加え、ハンドクリームで手荒れを防ぐことも大切です。
乾燥した皮膚は細菌の温床になりやすいため、日々のスキンケアも「防御」のひとつと考えましょう。
4. 体のサインを見逃さない
大人の場合、「ちょっとした不調」を我慢してしまうことが多くあります。
ですが、以下のような症状が続く場合は、早めに医療機関を受診してください。
- 37℃台の微熱が続く
- 食欲不振や下痢が長引く
- 胸やけや胃の痛みが繰り返される
- 強い倦怠感や息切れがある
これらは、単なる風邪ではなく感染症や胃腸疾患、ホルモンの乱れが関わっているケースも考えられます。 「忙しいから」と後回しにせず、早期発見・早期治療を心がけましょう。
5.冬こそ“無理をしない体づくり”。
冬は冷えや乾燥で体力を奪う季節です。
しかし、「温め・整え・休む*」の3つを意識するだけで、体調はぐっと安定します。
自分の体の声を聞きながら、早めの休息と予防を取り入れましょう。
そして、もし体調に違和感を感じたら、我慢するより医師に相談することが何よりの近道です。
2026年の冬も、健康な体で日々を楽しめるように——今日からできる体調管理を始めてみてください。