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福岡の内科外科院長のブログ

福岡の内科外科院長のブログです。医療の事はもちろん、日々のクリニックでの出来事など投稿します。

皆様、こんにちは。消化器内科外科の院長です。

胃カメラ・大腸カメラをはじめ、おなかの痛みや痔などの消化器系疾患を専門としています。今回もお腹の不安が少しでも和らぐ情報をお届けしていきます。

 

うだるような暑さもやっと落ち着いてきた10月。でも胃はなぜかキリキリと痛み出す、そして突然襲ってくる下痢。酷暑の夏を乗りこえて、やっと過ごしやすくなってきたのに・・・その辛い症状に今、あなたは一人で耐えていませんか。「ただの長引く夏バテだろう」と我慢しているその不調は、実はあなたの胃腸が上げている悲痛な叫びかもしれません。

 

この記事では、あなたの苦しみの原因を一つひとつ丁寧に解き明かし、今日からすぐに実践できる具体的な対処法をお伝えします。

 

 

 

 1. 胃痛と下痢は「冷え」と「自律神経の乱れ」のサイン

 

 

結論からお伝えします。夏から秋にかけてあなたを苦しめる胃痛と下痢の最大の原因は、「冷たいものの摂りすぎによる内臓の冷え」と、「室内外の激しい寒暖差による自律神経の乱れ」です。この2つの要因が、あなたの胃腸の機能を著しく低下させ、痛みや下痢というSOSサインとなって現れているのです。

 

涼しくなってきた今もまだ暑いからといって、氷の入った飲み物やアイスクリームに手が伸びていませんか。これらの冷たいものが直接胃腸に流れ込むと、内臓は急激に冷やされ、血流が悪くなります。その結果、消化酵素の働きが鈍くなり、食べたものをうまく分解できずに胃もたれや胃痛を引き起こすのです。さらに、腸も冷えることで動きが異常に活発になり、水分を十分に吸収できないまま便として排出してしまうため、下痢になってしまいます。

 

また、猛暑の屋外とクーラーが効いた室内との間を行き来する生活は、体温調節を司る自律神経に大きな負担をかけます。いったん乱れた自律神経はケアを怠ると、すぐには回復できません。自律神経が乱れると、胃腸の働きをコントロールする機能もおかしくなり、胃酸が過剰に分泌されて胃痛を起こしたり、腸が過敏に反応して下痢を繰り返したりするのです。

 

 

 

2. なぜあなたの胃腸は夏に悲鳴を上げるのか

 

 

夏の猛暑、秋の残暑が、いかに私たちの胃腸にとって過酷な環境であるかを知ることで、なぜ胃痛や下痢が起こりやすいのかが深く理解できます。これは単なる体調不良ではなく、暑い時期の生活習慣そのものに潜む問題なのです。

 

まず、夏は胃腸の機能自体が低下しやすい季節です。東洋医学では、夏バテの根源は「脾(ひ)」、つまり消化器系の弱りにあると考えられています。暑さで食欲が落ち、そうめんや冷やし中華といった喉越しの良い、しかし栄養が偏りがちな食事ばかりになると、胃腸の働きをサポートするビタミンやミネラルが不足し、機能がさらに低下するという悪循環に陥ります。

 

さらに、夏は細菌やウイルスが活発になる季節でもあります。高温多湿の環境は、食中毒の原因となるサルモネラ菌やカンピロバクター、O-157などの細菌が繁殖するのに最適です。夏バテで免疫力が落ちているところに、これらの病原体が侵入すると、激しい胃痛や下痢を伴う感染性胃腸炎を引き起こすリスクが高まります。単なる夏バテだと思っていた症状が、実は食中毒だったというケースも少なくありません。このように、夏の環境は内側からも外側からも、あなたの胃腸を攻撃しているのです。

また、朝晩は少し涼しさを感じる季節になっても、日中はまだまだ30度近い気温の日が少なくありません。細菌の増殖しやすい環境は続いているのです。

 

 

 

3. 今すぐできる!胃腸をいたわる緊急対処法3選

 

 

つらい胃痛や下痢に襲われた時、少しでも楽になるために今すぐできる対処法を3つご紹介します。パニックにならず、まずは落ち着いて自分の体をいたわってあげましょう。

 

* お腹を温めて安静にする

 胃痛や腹痛がある時は、まずはお腹を温めて安静にすることが第一です。腹巻きをしたり、温かいタオルや湯たんぽをお腹に当てたりして、外側から優しく温めてあげましょう。内臓の血行が促進され、痛みの緩和につながります。無理に動かず、横になって体を休ませる時間を作りましょう。

 

* 常温の経口補水液で水分補給

 下痢が続くと、体は水分だけでなく、塩分やカリウムなどの電解質も大量に失い、脱水症状に陥りやすくなります。ただの水やお茶ではなく、失われた電解質を効率よく補給できる経口補水液を、必ず常温で少しずつ飲むようにしてください。冷たい飲み物は胃腸をさらに刺激してしまうので厳禁です。

 

* 食事は無理せず消化の良いものを

食欲がない時は、無理に食べる必要はありません。胃腸を休ませてあげることが回復への近道です。少し食欲が出てきたら、おかゆやよく煮込んだうどん、すりおろしたりんごなど、消化が良く胃腸に負担をかけないものから試しましょう。脂っこいもの、香辛料の強いもの、食物繊維の多いものは、症状が落ち着くまで避けるのが賢明です。

 

 

 

 4. 胃腸からのSOSサインを見逃さないで

 

 

暑い時期の胃痛と下痢の原因と対処法、ご理解いただけたでしょうか。「内臓の冷え」と「自律神経の乱れ」という2つの大きな原因を知り、それに対応することが、苦しみから抜け出す鍵となります。

 

あなたの体は、胃痛や下痢という形で「もう限界だよ」と必死にサインを送っています。その声に耳を傾け、体を温め、休ませ、いたわってあげることが何よりも大切です。日々の生活の中で、冷たいものを少し控える、温かい飲み物を選ぶ、お風呂にゆっくり浸かる、といった小さな心がけが、あなたの胃腸を守り、健やかな毎日へと導いてくれます。

 

ただし、激しい腹痛が続く、血便が出る、水分も全く受け付けない、といった場合は、単なる夏バテではなく、重い感染性胃腸炎や他の病気の可能性もあります。そのような時は、ためらわずにすぐに医療機関を受診してください。自分の体を守れるのは、自分だけです。胃腸からのSOSサインを正しく受け止め、賢く対処して、快適な毎日を取り戻しましょう。