皆様、こんにちは。消化器内科外科の院長です。
胃カメラ・大腸カメラをはじめ、おなかの痛みや痔などの消化器系疾患を専門としています。今回もお腹の不安が少しでも和らぐ情報をお届けしていきます。
毎日の診療の中で、大腸がんの患者さんから「もっと早く検診を受けていれば」という声を数え切れないほど聞いてきました。大腸がんは、早期に発見できれば高い確率で完治が見込めるがんです。しかし、初期症状がほとんどないため、自覚したときには進行していることも少なくありません。だからこそ、症状がないうちに受ける「検診」が、命を守る最大の武器になるのです。
特に40歳を迎えた福岡市民の皆さんには、ぜひ知ってほしい情報があります。福岡市では、わずか500円という低価格で質の高い大腸がん検診を受けられる制度が整っています。この記事では、福岡市で実施されている大腸がん検診の費用、内容、受診方法について、消化器専門医の立場から分かりやすく解説します。あなたと、あなたの大切な人の健康と未来を守るために、ぜひ最後までお読みください。検診を受けるという小さな一歩が、大きな安心につながります。
1.福岡市なら500円で検診を受けられる
まず結論からお伝えします。福岡市にお住まいの40歳以上の方なら、大腸がん検診をわずか500円で受けることができます。これは福岡市が実施している公的ながん検診制度で、職場などで検診を受ける機会がない市民の方が対象となります。一般的に、自費で大腸がん検診を受けると数千円かかることを考えれば、非常に経済的な負担が軽い制度といえるでしょう。
さらに嬉しいことに、満70歳以上の方や市民税非課税世帯の方などは、この費用が無料になります。検診内容は、2日間にわたって便を採取し、血液が混じっていないかを調べる「便潜血検査」という方法です。痛みは全くなく、自宅で手軽にできるのが大きな特徴です。受診間隔は年に1回で、毎年継続して受けることが推奨されています。この手軽さと低価格は、福岡市民が享受できる大きなメリットです。費用が理由で検診をためらっていた方も、ぜひこの機会に受診を検討してください。
2.なぜ40歳から検診が必要なのか
なぜ40歳になったら大腸がん検診が必要なのでしょうか。その理由は、大腸がんの発症リスクが40代から急激に上昇するからです。食生活の欧米化、運動不足、飲酒、喫煙といった生活習慣の変化により、日本でも大腸がんの患者数は年々増加しています。特に問題なのは、初期の大腸がんには自覚症状がほとんどないという点です。血便、腹痛、便秘、下痢、便が細くなるといった症状が現れたときには、すでにがんが進行しているケースも珍しくありません。
そこで重要になるのが、症状がない段階での定期的な検診です。便潜血検査は、大腸がんやポリープからの微量な出血を早期に検出することを目的としています。この検査で「陽性」と判定された場合、精密検査として大腸内視鏡検査を受けることになります。大腸内視鏡検査では、専門医が直接大腸の内部を観察し、がんやポリープを発見できます。さらに重要なのは、がんになる前のポリープの段階で発見し、その場で切除することもできる点です。つまり、検診はがんを早期発見するだけでなく、がんを予防する上でも極めて有効な手段なのです。
3.検診の流れと受診方法
それでは、福岡市の大腸がん検診を実際に受けるには、どのような手順を踏めばよいのでしょうか。受診場所は大きく分けて3つあります。市内の指定医療機関、各区保健福祉センター、そして健康づくりサポートセンターです。まずは、ご自宅や職場から通いやすい場所を選び、電話またはWebで予約を取りましょう。施設によっては予約不要の場合もありますが、事前確認をお勧めします。
受診当日は、問診票に記入した後、採便キットを受け取ります。採便キットには使用期限があるため、受け取ったら早めに採便してください。キットの説明書に従い、2日間にわたって便を採取します。採取方法は簡単で、容器のスティックで便の表面を軽くこするだけです。痛みや不快感は一切ありません。ただし、痔による出血や生理中の方は、採便を控えてください。採取した検体は、問診票とともに指定の医療機関や施設へ提出します。
検査結果は後日通知されます。結果が「陰性(異常なし)」であれば、また翌年に検診を受けてください。もし「陽性(要精密検査)」と通知されても、慌てる必要はありません。陽性だからといって、必ずしもがんというわけではないからです。しかし、原因を特定するために、必ず精密検査を受けましょう。精密検査では大腸内視鏡検査が行われ、専門医が大腸の内部を詳しく観察します。
4.定期検診で健康な未来を
大腸がんは、早期に発見すれば完治が見込めるがんです。そして、その最も確実で効果的な方法が、定期的な検診にほかなりません。福岡市では、40歳以上の市民を対象に、自己負担500円という非常に安価な費用で大腸がん検診を提供しています。70歳以上の方は無料で受診できる制度もあります。これは、市民の健康を守るための非常に価値ある取り組みといえるでしょう。
「まだ若いから大丈夫」「症状がないから関係ない」と思わずに、まずは年に1回の検診を習慣にしてみてください。その簡単な一歩が、ご自身の未来の健康を守り、ご家族の安心につながります。対象年齢に達したら、ぜひ福岡市の制度を積極的に活用し、大腸がん検診を受けましょう。
ただし、明らかな血便や腹痛、便通異常などの症状がある方は、検診ではなく速やかに医療機関を受診しましょう。
もし不明な点や心配なことがあれば、かかりつけ医やお近くの消化器専門医に、遠慮なく相談することが大切です。あなたの健康は、何よりも大切な財産です。
このブログが、皆様が大腸カメラ検査への一歩を踏み出すきっかけとなれば、これほど嬉しいことはありません。