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福岡の内科外科院長のブログ

福岡の内科外科院長のブログです。医療の事はもちろん、日々のクリニックでの出来事など投稿します。

皆様、こんにちは。消化器内科外科の院長です。

胃カメラ・大腸カメラをはじめ、おなかの痛みや痔などの消化器系疾患を専門としています。今回もお腹の不安が少しでも和らぐ情報をお届けしていきます。

 

秋から冬にかけて、スーパーや八百屋に並ぶ「みかん」。ビタミンCが豊富で手軽に食べられるため、健康に良い果物として多くの方が親しんでいることでしょう。しかし、十二指腸潰瘍と診断された方、あるいは胃の調子が優れない方から、「みかんを食べても大丈夫でしょうか」という質問を受けることがよくあります。

 

十二指腸潰瘍は、胃酸によって十二指腸の粘膜が傷つけられる病気です。食事療法は、この治療において非常に重要な役割を担います。十二指腸潰瘍の症状があるときに、みかんを食べるのは慎重になる必要があります。この記事では、なぜ注意が必要なのか、その理由と具体的な対処法を、消化器専門医の立場から詳しく、分かりやすく解説します。この記事を読めば、あなたの疑問が解消され、安心して食事療法に取り組めるようになるはずです。

 

 

1.潰瘍の急性期は避けるべきです

 

 

まず結論からお伝えします。十二指腸潰瘍の症状、特にみぞおちの痛みや胸やけが強い急性期には、みかんを食べるのは避けるべきです。みかんに含まれるクエン酸が胃酸の分泌を促し、潰瘍の症状を悪化させる可能性があるからです。

 

「甘いみかんなら大丈夫なのでは?」と思う方もいるかもしれません。しかし、甘いみかんにもクエン酸は含まれており、胃粘膜を刺激する作用があります。十二指腸潰瘍の治療の基本は、薬で胃酸の分泌を抑え、胃腸を安静に保つことです。そのため、症状が落ち着くまでは、胃に負担をかける可能性のある食品は控えるのが賢明です。回復期に入り、医師の許可があれば少量から試すこともできますが、原則として急性期は避ける、と覚えておいてください。

 

 

 

2.なぜみかんは十二指腸潰瘍に良くないのか?二つの大きな理由

 

 

ビタミンが豊富で健康的な果物として知られるみかんですが、十二指腸潰瘍を患っている際には、かえって症状を悪化させてしまう可能性があるため注意が必要です。その理由は、みかんが持つ「酸味」と「食物繊維」という二つの特徴が、弱った消化管に大きな負担をかけてしまうためです。

 

一つ目の理由は、みかんの酸味成分であるクエン酸が「胃酸の分泌を強力に促進する」点にあります。十二指腸潰瘍は、過剰に分泌された攻撃的な胃酸が十二指腸の粘膜を傷つけ、ただれさせてしまう病気です。そのような状態で、胃を刺激してさらに胃酸分泌を促すクエン酸を摂取することは、ただれた傷口に酸を直接塗り込むようなものであり、痛みを誘発し、潰瘍の回復を遅らせる原因になりかねません。特に、胃に何も入っていない空腹時にみかんを食べると、分泌された胃酸が薄まることなく、潰瘍部分を直接刺激してしまうため、強い痛みや不快感を感じやすくなります。

 

二つ目の理由は、みかんに含まれる食物繊維が「消化の負担になる」ことです。みかんの果肉を包む薄皮や白い筋には、「不溶性食物繊維」が多く含まれています。この食物繊維は、健康な時には便通を助ける重要な役割を果たしますが、消化機能が低下している十二指腸潰瘍の時期には、消化に時間がかかるため胃腸にとって大きな負担となります。潰瘍の治療中は、消化管をできるだけ休ませ、粘膜が自己修復する時間を与えることが最も重要です。そこに消化しにくい不溶性食物繊維が入ってくると、胃もたれや腹部の膨満感を引き起こし、結果的に回復を妨げてしまうのです。

 

このように、良かれと思って食べたみかんが、十二指腸潰瘍のデリケートな状態の胃腸には刺激となり、回復を遅らせてしまう可能性があるのです。

 

 

 

3.潰瘍の時期別・食べ方の工夫

 

 

十二指腸潰瘍の治療中は、病状のステージに合わせて食事内容を変えていく必要があります。みかんを食べる際の具体的な注意点を、時期別に解説します。

 

・急性期(症状が強い時期)

みぞおちの痛み、吐き気、胸やけなどの症状が強い時期は、みかんをはじめとする柑橘類は完全に避けてください。この時期は、おかゆやよく煮込んだうどん、スープ、豆腐など、消化が良く胃に優しい食べ物を中心に摂り、胃腸を休ませることが最優先です。

 

・回復期(症状が落ち着いてきた時期)

医師の治療によって症状が和らいできたら、食事を少しずつ元に戻していきます。もし、みかんを食べたい場合は、必ず医師に相談の上、以下の点に注意してください。

*  食後に少量だけ食べる:空腹時を避け、胃酸が他の食べ物で薄まっている食後に、1〜2房程度から試してみましょう。

*   甘みの強い品種を選ぶ:酸味が少ない、完熟した甘いみかんを選びます。

*   薄皮や筋は避ける:消化の負担を減らすため、できるだけ薄皮や白い筋は取り除いて食べましょう。

 

もし、みかんを食べて少しでも違和感や痛みを感じた場合は、すぐに中止してください。どうしても果物が食べたい場合は、代わりに、バナナやりんご(できれば加熱したもの)など、より胃に優しいものを選ぶことをおすすめします。

 

 

 

4.自己判断せず医師と相談を

 

 

十二指腸潰瘍と診断された場合、食事療法は治療の重要な柱となります。みかんは栄養豊富な果物ですが、その酸味と食物繊維が、弱った胃腸には刺激となり、症状を悪化させる可能性があります。特に症状の強い急性期には避けるのが原則です。

 

最も大切なことは、自己判断で食事内容を決めないことです。十二指腸潰瘍の原因はピロリ菌の感染や薬剤、ストレスなど様々であり、治療法も個々の状況によって異なります。

食事についても、病状の回復具合を見ながら慎重に進める必要があります。食事に関して不安なことや、どうしても食べたいものがある場合は、遠慮なく主治医や管理栄養士に相談してください。

専門家のアドバイスのもと、ストレスの少ない方法で食事療法を続けることが、回復への一番の近道です。あなたの胃腸が一日も早く健やかな状態に戻ることを、心から願っています。

 

このブログが、皆様が大腸カメラ検査への一歩を踏み出すきっかけとなれば、これほど嬉しいことはありません。