皆様、こんにちは。消化器内科外科の院長です。
胃カメラ・大腸カメラをはじめ、おなかの痛みや痔などの消化器系疾患を専門としています。今回もお腹の不安が少しでも和らぐ情報をお届けしていきます。
「みぞおちがキリキリと痛む」「胃の不快感が続く」「空腹時に痛みが増す」といった症状に悩まされていませんか。これらは胃潰瘍の典型的なサインです。私が診察する患者さんの中には、「一度治ったのにまた再発した」「薬を飲んでもなかなか良くならない」という方が少なくありません。
胃潰瘍の原因の7割以上はピロリ菌感染とされていますが、ストレスもまた重要な発症・再発要因です。特に現代社会では、仕事のプレッシャー、人間関係の悩み、過労、睡眠不足など、あらゆる場面でストレスにさらされています。几帳面で真面目、完璧主義といった性格の方は、ストレスを感じやすい傾向があり、胃潰瘍を繰り返しやすいことが分かっています。
この記事では、消化器専門医の立場から、なぜストレスが胃潰瘍を引き起こすのか、そのメカニズムと具体的な対策を詳しく解説します。この記事を読めば、胃潰瘍の再発を防ぎ、健康な胃を取り戻すための実践的な方法が理解できるはずです。あなたの胃の健康を守るために、ぜひ最後までお読みください。
1.ストレス管理が再発予防の鍵です
結論から申し上げます。胃潰瘍を繰り返さないためには、ストレスの適切な管理が不可欠です。ストレスは自律神経のバランスを乱し、胃酸の過剰分泌を引き起こします。通常、胃液と胃の粘膜を守る粘液の力は対等ですが、ストレスによってこのバランスが崩れ、胃液が胃壁を傷つけてしまうのです。
特に急性の強いストレスは、急性胃潰瘍の原因となることも明らかになっています。イライラ、過労、睡眠不足、緊張、不安といった精神的・肉体的ストレスが蓄積すると、胃潰瘍のリスクが高まります。ピロリ菌の除菌治療を受けた方でも、ストレスが強い状態が続けば再発する可能性があります。
したがって、薬物療法だけでなく、日常生活でのストレスマネジメントを実践することが、胃潰瘍の再発予防において極めて重要な役割を果たすのです。
2,自律神経の乱れが胃を攻撃する
ストレスが胃潰瘍を引き起こすメカニズムは、自律神経系への影響に大きく関係しています。自律神経は、私たちの意識とは無関係に働き、胃や腸などの消化器官の機能を調整しています。精神的なストレスを感じると、自律神経のバランスが乱れ、胃酸の分泌が過剰に活発化します。この過剰な胃酸は、胃の粘膜を守るバリア機能を上回ってしまい、直接胃壁を攻撃してただれや損傷をもたらします。さらに、ストレスは胃の運動機能を低下させ、消化不良や胃の血流障害を引き起こします。血流が悪化すると、粘膜の修復に必要な栄養や酸素が届かず、胃潰瘍が治りにくくなるのです。
また、ストレスは交感神経を刺激して血圧や心拍数を上げ、全身の血管に負担をかけます。これにより胃の粘膜への血流が減少し、弱った胃粘膜を修復する力が低下します。こうした多角的なストレスの作用が、胃に深刻なダメージを与える悪循環を引き起こし、胃潰瘍の発症や再発を助長してしまうのです。
したがって、胃潰瘍の治療には薬物療法と並行して、ストレス対策や自律神経のバランスを整えることが重要とされています。
3.効果的なストレス対策法
それでは、具体的にどのようなストレス対策が有効なのでしょうか。日常生活で実践できる方法をご紹介します。
・十分な睡眠を確保する
睡眠不足は自律神経を乱す大きな要因です。毎日7~8時間の質の良い睡眠を心がけ、就寝前のスマートフォン使用を控えましょう。規則正しい生活リズムが自律神経を整えます。
・適度な運動習慣をつける
ウォーキングやストレッチなど、軽い運動はストレス解消に効果的です。週に3回、30分程度の運動を継続することで、心身のリフレッシュにつながります。
・リラックスできる時間を作る
趣味の時間や入浴、音楽鑑賞など、自分がリラックスできる活動を意識的に取り入れましょう。深呼吸や瞑想も、自律神経を整えるのに有効です。
・食生活を見直す
暴飲暴食、刺激の強い香辛料、熱すぎる・冷たすぎる飲食物、過剰なカフェイン、喫煙は胃を刺激します。規則正しく、胃に優しい食事を心がけてください。
・消炎鎮痛薬の長期服用に注意
ロキソニンやイブプロフェンなどの消炎鎮痛薬は、痛みを抑える働きと同時に、胃の粘膜を保護する「プロスタグランジン」という物質の生成も抑制します。その結果、胃酸に対する防御機能が低下し、胃の粘膜が傷つきやすくなります。長期間の服用が必要な場合は、自己判断で続けず、必ず医師に相談して適切な指示を受けてください。
4.医師と二人三脚で健康管理を
胃潰瘍の再発予防には、ピロリ菌の除菌治療とともに、ストレス管理が非常に重要です。ストレスは自律神経を乱し、胃酸の過剰分泌を引き起こすことで、胃潰瘍の発症・再発につながります。
しかし、ストレスをゼロにすることは現実的ではありません。大切なのは、ストレスと上手に付き合い、溜め込まない工夫をすることです。十分な睡眠、適度な運動、リラックスできる時間の確保、そして胃に優しい食生活を心がけることで、胃潰瘍の再発リスクを大幅に減らせます。
もし、みぞおちの痛みや胃の不快感が続く場合は、我慢せずに早めに医療機関を受診してください。胃潰瘍は放置すると、出血や穿孔といった重篤な合併症を引き起こすこともあります。定期的な検査と医師の指導のもとで、生活習慣を改善していくことが、健康な胃を維持する最善の方法です。あなたの胃の健康を、私たち消化器専門医が全力でサポートします。一緒に、胃潰瘍のない快適な毎日を取り戻しましょう。