皆様、こんにちは。消化器内科外科の院長です。
胃カメラ・大腸カメラをはじめ、おなかの痛みや痔などの消化器系疾患を専門としています。今回もお腹の不安が少しでも和らぐ情報をお届けしていきます。
寒さが深まる冬は、子供にとって体調を崩しやすい季節です。
保育園や学校で集団生活を送る中、ウイルスや細菌が次々と流行します。
この記事では、胃腸内科外科の専門医が小児医療の視点から、冬に流行する病気の特徴と家庭でできる有効な予防策を詳しくお伝えします。
1. 冬になると病気が増える理由
冬は湿度が低く、空気が乾燥します。
この環境はウイルスの生存を助け、感染のリスクを高める要因となります。
さらに気温の低下で体温が下がると、免疫力も落ちやすくなります。
特に子供は大人に比べて免疫機能がまだ十分に発達していないため、感染症にかかりやすいのです。
子供たちは外で活発に遊ぶことが少なくなり、室内で過ごす時間が増えます。
密集した空間での接触や、マスクを外してのおしゃべりが続くと、感染が一気に広がることもあります。 この時期は、特に早めの予防と家庭でのケアが何よりも大切です。
2. 冬に子供がかかりやすい代表的な病気
ここでは、冬に特に多く見られる子供の病気を紹介します。
それぞれの特徴と注意点を押さえておきましょう。
① 感染性胃腸炎(ノロウイルス・ロタウイルス)
冬に最も多い病気の一つが感染性胃腸炎です。
吐き気、嘔吐、下痢、発熱などが主な症状で、ウイルスにより発症します。
特にノロウイルスは少量でも感染力が強く、家族にうつりやすいのが特徴です。
感染は、調理器具やドアノブなどを介して広がることが多く、手洗いの徹底が最大の予防になります。
発症した場合は、水分補給をこまめに行い、体力を消耗させないように注意しましょう。
脱水の兆候(尿が減る、唇が乾くなど)が見られたら、早めに医療機関へ相談してください。
② インフルエンザ
毎年冬の定番ともいえる**インフルエンザ。
急な高熱、全身のだるさ、筋肉痛、喉の痛みなどが特徴です。
流行は例年12月頃から始まり、2月前後にピークを迎えます。
子供が感染すると、場合によっては高熱によるけいれんを起こすこともあります。
ワクチン接種を受けることで重症化を防げるため、流行前の11月中に接種を済ませておくのが理想です。
③ RSウイルス感染症
乳幼児で特に注意が必要なのが、RSウイルス感染症です。
咳や鼻水だけでなく、呼吸が苦しくなるケースもあります。
2歳までにほとんどの子供が一度は感染しますが、初感染時は重症化しやすい傾向があります。
感染を防ぐには、保育園などでの接触後すぐに手洗いを徹底することが重要です。
鼻づまりや息苦しさが強い場合は、症状が急変するリスクがあるため早めに受診しましょう。
④ 溶連菌感染症
喉が痛い、発熱がある場合に疑われるのが溶連菌感染症です。
冬から春にかけて流行し、発疹や赤い喉の腫れが特徴です。
適切な抗菌薬治療を受けずに放置すると、腎臓などに合併症を起こすことがあります。
医師の指示通りに薬を飲みきることが大切です。
⑤ 風邪・気管支炎・肺炎
冬の風邪はウイルスによって様々な症状を引き起こします。
咳や鼻水で済むこともあれば、気管支炎や肺炎に進行するケースもあります。
とくに3歳未満では、肺機能が未熟なため重くなる傾向があります。
家庭では加湿を意識し、部屋の湿度を40〜60%に保つように心がけましょう。
3. 今すぐ家庭でできる予防法
病気を遠ざけるには、日々の生活習慣を整えることが基本です。
ここでは医師の立場から見て“すぐに実践できる予防ポイント”を紹介します。
① 手洗い・うがいの習慣を身につける
感染の多くは「手」から始まります。
外出後の手洗いはもちろん、食事前、トイレ後、帰宅時に必ず行いましょう。
流水と石けんで30秒ほど丁寧に洗うのが理想です。
うがいは水でも効果がありますが、喉の保湿にもつながるため効果的です。
② 加湿と換気のバランスをとる
ウイルスは乾燥した空気で生き延びやすいため、室内の湿度管理は重要です。
加湿器や濡れタオルを活用して、湿度を50%前後に保ちましょう。
同時に、2〜3時間おきに窓を開けて空気を入れ替えることも忘れずに。
③ 睡眠と食事で免疫力を高める
十分な睡眠と栄養バランスの良い食事は、子供の免疫力を支える基本です。
ビタミンCの多い果物や緑黄色野菜、発酵食品の摂取を心がけましょう。
夜更かしを避け、規則正しい生活リズムをつくることも大切です。
④ 家族全員で予防を意識する
子供だけでなく、家族全員が同じ意識で感染対策をすることが大切です。
家庭内感染を防ぐために、体調が悪い家族がいる場合はタオルやコップを分けましょう。
親がマスク着用や手指衛生を徹底することで、自然と子供の予防意識も高まります。
4. 受診のタイミングと注意したい症状
予防をしていても、子供は突然体調を崩すことがあります。
次のような症状が見られたときは、自己判断せずに早めの受診が推奨されます。
- 38.5℃以上の発熱が続く
- 嘔吐や下痢が止まらない
- 水分が摂れず、尿が減っている
- 息苦しさやぐったりした様子がある
- 意識がぼんやりしている
こうした症状は、単なる風邪ではなく重い病気のサインかもしれません。
医療機関では必要に応じて検査を行い、適切な治療と脱水ケアを行います。
無理をせず、早めに専門医へ相談する姿勢が大切です。
5.日常の積み重ねが子供を守る
冬は病気の季節と言われますが、ちょっとした工夫でリスクを大きく減らすことができます。 手洗い・食事・睡眠といった生活の基本を見直すだけで、子供の免疫は確実に強くなります。
もし体調の変化があっても、焦らず医療機関に相談しましょう。
「病気を防ぐ力」と「早めに気付く力」、この二つを家庭で育てることが、子供の健康を守る第一歩です。