凍り道 | インドアな日常

インドアな日常

ヤフブロから引っ越してから放置も早3年…。インドアをこよなく愛するおじさんの日常を記します。

雪の日の次の朝。
凍てついたアスファルトは私の心を高ぶらせ、出社意欲を
駆り立てた。

嫁から幾度と無く
「今日は絶対凍ってるから絶対電車で行って。」の注意。

「うん。わかった。そうかそうか。」と心無い返事を繰り
返し、結局自転車のサドルの霜を落とし出発。

今回の敵は半端じゃない。早朝は路面からアスファルトが
顔を覗かせてやくれない。
開拓者が勇気を持って道を作るだけ。
そう、もっと強く激しく。
熱い血潮で氷を溶かしてやろうぞ。

時に空回りするタイヤに背筋を凍らせながら突き進む私。
第一関門突破からリアタイヤのブレーキが凍って利かない
ことが判明。

前輪は舵取りの他、雪道では使用禁止が鉄則である。
途中何度自転車から降りようとしただろう。

どうやら前方10メートルに段差発見。
そう、そこは魔のレベルⅣ地帯。そこをクリアしてこそ
真の勇者となれる場所である。

少し速度を緩めた。リアタイヤのブレーキが利き始めて
きたようである。段差直前にリアブレーキで後輪を安定
させ、その隙に前輪を段差に乗り上げよう。
「今だ、今こそ男になれる!」

そこから記憶が飛び、気が付くと前からおばさんが不憫
そうに「だ、大丈夫?」と声をかけてくる。

何故に人はこういう時笑えるのか。
「ああ 大丈夫です。すいません(^^;)」
多分自分は日本人だからなんだと思う。
アメリカ人なら「ガッディム!」というおたけびと共に
まず自転車に怒りをぶつけていただろう。

思い出してみるとフロントタイヤがスリップして左に
逸れ、右に体を投げ出された後右ひざを強打。
コンクリにニードロップの後、路肩の植え込みに頭から
突っ込んだようなのだ。
緑少なめな植え込みは枝が凶器と化し、アイドルの命でも
ある顔に傷を負わせた模様。
持ち前の運動神経の悪さからか、それともゲームとビデオ
とプラモデルと園芸という名のホビー漬けな毎日が反射
神経を鈍らせたのだろうか。34という年はストレッチでも
して、柔軟性で反射神経をカバーしろとでもいうのだろうか。

その後暫くは痛み無く、ショック状態から開放された5分後
手鏡をカバンから出して我の顔を映す。

目と目の中間から10mm下をひどく傷つけられ、血が
鼻筋を伝ってやまぬ。
額にも複数の細かい刺さり傷。

「いや 僕転んでなんかいませんよ。学生の喧嘩を止め
 ようとしたら、運悪くパンチが入っただけで。」
誰も喧嘩を止めようとした勇者の証とは思うまい。
すれ違う人の驚く顔が今でも思い浮かぶ。

会社に着いてトイレの鏡で我が醜さに目を疑う。

「これではもてない。」

結婚しているのにもてようとする意識が完全には死んで
ない。っていうか今までももてたことない。

右ひざに激痛が走り、ひざをゆっくり曲げながらプシュ
っといってないか確認。
パリッいっていないかも十分確認できた後
「ちょっとした事故に遭いまして。」と上司に報告。

傷を笑われながらの一日が終り、嫁にメール。
「今日は何事もなかったよ。今から帰るねぇ」

男、いや勇者を意識した行動が、嫁の予言を的中させた
わけで。
「どうもすいませんでした。」その素直な一言が口から
出た。

妊婦は父親が元気でいることを願う。
勇者でなく、父親であることを願っているのだ。
これからは安全な道を行くよ。一緒に歩んでくれるかい?
そう心で呟くのであった。
             -完-

今日の植物はイワヒバ科のクッションモス。
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何故にクッションモスか。
植え込みにふわふわのほしかった。ただそれだけ。
おまけで頂きまして、台所にちょこっと飾ってます。