トクヒロです。
今回は、不法行為責任と債務不履行責任についてお話します。
事例
仕事中に従業員が会社の敷地内で、交通事故で死んでしまったというお話です。
その奥さんは会社に対して損害賠償請求ができるのかというお話です。
一般常識からすると会社に当然にしてもらえるような気がします。
この話の結論は、損害賠償請求できます。
裁判所という社会常識を挟んでも損害賠償は認められます。
ただ、損害賠償が認められるまでには、いろいろな条件をクリアしていかねければならないのです。
それが社会常識です。
まず、損害賠償責任の根拠となるのが【不法行為責任】【債務不履行責任】です。
さて、どう違うのでしょうか?
不法行為責任:範囲が広い
債務不履行責任:範囲が狭い
おおまかにいえばこんな感じでしょうか。
だって、不法行為責任は他人になにかされたら、すぐに発生する権利でしょう。(故意・過失等の条件は有)
しかし、債務不履行責任は、そこに契約があって始めて生じる責任です
(事務管理・不当利得・不法行為)などでも発生する場合有
このような観点から範囲が広い狭いというのはあたっているような気がします。
そして、
・不法行為責任の場合は訴えたほうが相手の故意・過失を証明する義務がある
・債務不履行責任は訴えられたほうが故意・過失がないことを証明しなければならない
という、観点からみても、
範囲の広い誰でもできる不法行為責任の方は、訴えた方に厳しく
範囲の狭い限られた人しかできない債務不履行責任は、訴えた方に甘く
という感じがします。
さらに、消滅時効の期限
・不法行為責任→3年
・債務不履行責任→10年
話は戻りますが、この事例では
妻は、まず不法行為責任が適用できないかが問題となるわけです。
原則的に709条で、妻は賠償責任を請求できるというのが一般的でしょう!
しかし、妻はそのことを知ってから4年後に訴えをおこしています。
これは、724条の3年で消滅時効が完成するという条文に照らし合わせるとダメーということに
なってしまします。
とういことで、消滅時効により妻は不法行為責任では損害賠償を請求できません。
でも、なんとか妻を救ってあげることはできないかなー?
と考えるのが、不動産鑑定士の民法の問題なのです。
大体の問題はこのパターンです。
何で救ってあげられるの?
あった、債務不履行責任だわ。
そして、この債務不履行責任で救うのはある意味例外措置なのです。
だから、これが認められるまでには、かなりの要件をクリアしなければならないのです。
この要件を自分で書いて、そしてその要件にあてはまるのか、を3回4回書いていくことが
鑑定士の民法です。
まず、契約はあるの?
ありますよ、夫と会社の雇用契約ですよ!
なるほど、でも会社はその雇用契約で債務不履行があったの?
まず、雇用契約というのは原則的に【報酬支払義務】というのがあります。
これに関しては、今回の事例は違反はありません!
それやったら、債務不履行責任できないやん!
大丈夫です。雇用契約には例外的に【安全配慮義務】があります。
ほら、物には【善管注意義務】というのがあるでしょう!
人には【安全配慮義務】があるのです。
でも、例外ですので、許容範囲が決まっています。
【業務の安全な遂行を妨げる危険を排除しうるに足りる人的・物的条件を整えること】
です。
今回の事例は、会社はこれを怠っていたといえますので、安全配慮義務の不履行で
債務不履行責任が問えます。
まず第1条件クリアです。
第2に、死者の従業員が会社に対する損害賠償請求権を取得できるのかです。
これに関しては、事故したから死ぬまでにタイムラグがあるはずですので、
受傷した瞬間に請求権を取得したと考えます。
はい、第2条件もクリアです。
第3に、死亡した夫の損害賠償請求権の中の慰謝料請求権を妻が相続できるかという問題です。
ここでの問題は、慰謝料請求権が一身専属権ということです。
これは、897条に一身専属権は相続できないということが書いております。
条文の規定どおり原則的にはできないものと思われます。
がしかし、今回の慰謝料請求権は、損害賠償請求権と同じものだと考えることができますので
相続ができると考えます。
尚、夫の損害賠償請求権に基づく慰謝料請求権とは別に妻個人の慰謝料請求権は認められない。
これで、第3要件もクリアです。
最後に、消滅時効の話です。
債権の消滅時効(197条)は10年ですので、今4年ですので、これも大大丈夫です。
最後の条件もクリアです。
この数々の要件をクリアして、やっと債務不履行による損害賠償責任が認められました。
ああ、長かったー!
よかった。
おしまい
1次試験でお困りの方、
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ちなみに、私は去年の一次試験は
行政法規:77.5点
鑑定理論:67.5点
合計:145点でした。
高得点のポイント【本質から理解すること】