フラーレン | 水底の月

水底の月

恋の時は30年になりました 

 

それは綺麗なレインボーローズクォーツを編んだ集合体で。

 

 

彼女も石を好む。自然界に存在する天然石を傍らに持つことで自分を整えたり、必要な力を得ようとしたりする

もちろん、信じる信じないはあるだろう。だけど手元にあって落ち着くとか、お守りのような意味を持つことを否定できることじゃない、はずで。

 

彼女は学生の頃、レインボームーンストーンやローズクォーツを好んで身につけていた。どちらも女性を守る石で、また彼女の生業、創造性を高めるものでもあったりしてた

 

 

反して私は、オニキスのキャッツアイやルチルクォーツ。私が身につけていたのは集中力を高めたり、また誘惑や欲望を断ち切るとか、自己防衛的なものが多かった。「火」の気を持つルチルクォーツは金色の針状の鉱物が入り水晶のパワーを強める。

ま、攻める系の強いもの、を好んでた。

 

 

 

今は、逆転してて

そう言う彼女の華奢な腕にあるブレスレットのほうが、随分太く強いパワーストーン。重たく見えるほどの大きな、手首には収まりついていないようなちょっとした違和感に、彼女もまた私には言わない何かあるんだろうなと、思う。

 

解きあうには、こんな短い時間では無理で

 

 

 

「ローズクォーツのフラーレン・・・こんな大きいの、編んだの?」

 

 

「ふふんニヤリ・・・・。お土産を私に準備させないつもりねsanaは、って思ったけど、そりゃ甘いよ。最近水晶とか、めのうでも編んだけど、いや、sanaはきっと疲れてヘトヘトで来るはず。だったらローズクォーツのフラーレンがいいわ、って爆  笑。」

 

 

「・・・・・」

 

 

「試験済んだんだから、1週間くらいフニャって抜け殻になるのよ、わかった?」

 

「試験勉強する前、って私・・・夜は何してたかわからない。息子より長い時間机に座ってた」

 

「もう!学生かよ爆笑ったく。」

 

 

彼女には、私が見えている

合わせ鏡のように、互いを見透かしている

 

 

そんな気がした

 

 

 

詳しく話さなくてもいい。

 

話さなくても、

答えはもう貰った 

 

 

 

 

「今度見かけたら言っとこ。先生が変な勉強グセをつけたせいで、まだ学生みたいに何やかんややってますぜ、sanaはってニヤリ

 

「やめて爆  笑、もうあせる

 

苦笑いは声になった。

 

 

 

 

「うちの子になる?ここからはだいぶ遠いけど」

 

掌の上で、ピンク色のフラーレンは頷くようにころりと動いた

 

この子は私の傍で、彼女の言うように私の揺れる心をそっと支えてくれるだろう。きれいな虹色は動くたびに景色を変える。

様々な思いも、鎮めてくれるだろう。

 

見透かされて届けられたような、そんなプレゼントを私は受け取った

 

 

 

 

 

 

 

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