それは綺麗なレインボーローズクォーツを編んだ集合体で。
彼女も石を好む。自然界に存在する天然石を傍らに持つことで自分を整えたり、必要な力を得ようとしたりする
もちろん、信じる信じないはあるだろう。だけど手元にあって落ち着くとか、お守りのような意味を持つことを否定できることじゃない、はずで。
彼女は学生の頃、レインボームーンストーンやローズクォーツを好んで身につけていた。どちらも女性を守る石で、また彼女の生業、創造性を高めるものでもあったりしてた
反して私は、オニキスのキャッツアイやルチルクォーツ。私が身につけていたのは集中力を高めたり、また誘惑や欲望を断ち切るとか、自己防衛的なものが多かった。「火」の気を持つルチルクォーツは金色の針状の鉱物が入り水晶のパワーを強める。
ま、攻める系の強いもの、を好んでた。
今は、逆転してて
そう言う彼女の華奢な腕にあるブレスレットのほうが、随分太く強いパワーストーン。重たく見えるほどの大きな、手首には収まりついていないようなちょっとした違和感に、彼女もまた私には言わない何かあるんだろうなと、思う。
解きあうには、こんな短い時間では無理で
「ローズクォーツのフラーレン・・・こんな大きいの、編んだの?」
「ふふん・・・・。お土産を私に準備させないつもりねsanaは、って思ったけど、そりゃ甘いよ。最近水晶とか、めのうでも編んだけど、いや、sanaはきっと疲れてヘトヘトで来るはず。だったらローズクォーツのフラーレンがいいわ、って。」
「・・・・・」
「試験済んだんだから、1週間くらいフニャって抜け殻になるのよ、わかった?」
「試験勉強する前、って私・・・夜は何してたかわからない。息子より長い時間机に座ってた」
「もう!学生かよったく。」
彼女には、私が見えている
合わせ鏡のように、互いを見透かしている
そんな気がした
詳しく話さなくてもいい。
話さなくても、
答えはもう貰った
「今度見かけたら言っとこ。先生が変な勉強グセをつけたせいで、まだ学生みたいに何やかんややってますぜ、sanaはって」
「やめて、もう」
苦笑いは声になった。
「うちの子になる?ここからはだいぶ遠いけど」
掌の上で、ピンク色のフラーレンは頷くようにころりと動いた
この子は私の傍で、彼女の言うように私の揺れる心をそっと支えてくれるだろう。きれいな虹色は動くたびに景色を変える。
様々な思いも、鎮めてくれるだろう。
見透かされて届けられたような、そんなプレゼントを私は受け取った
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