涼風文庫堂の「文庫おでっせい」  63. | ryofudo777のブログ(文庫おでっせい)

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私が50年間に読んだ文庫(本)たち。
時々、音楽・映画。

<ばらばら四品>

 
 

200.「恋は緑の風の中」

いえき ひさこ

長編   秋元文庫

 

佐藤祐介・原田美枝子――。

若い!

懐かしい!

 

でもこの映画、観たんだっけ?

 

観たよね。

 

で、これはいわゆるノベライズ作品なんだよね。

 

脚本のいえきひさこさんが自作をそのまま小説化したんだ。

 

【中学二年生のひたむきな少年、愛川純一が主人公。】

 

【明るく感受性豊かな母親・夏子のもとで純一が同級生の松島雪子に、ほのかな愛情を抱き、うち進んでいく仲で、自分なりに感じたとまどい、喜び、悲しみを大胆にしかも明るく描いたさわやかな青春のラブロマンスである。】

 

【東宝映画化で話題集中した同名の原作。】

                                           <ウラスジ>

 

この映画(小説)のハイライトとと言えば、やはりこのシーン――。

 

【その夜、純一は夢を見た。

 

体の透けて見えるベール一枚の雪子が、真昼の光の中を駈けている。軽やかに、まるで白鳥が舞っているかのようだ。

 

突然、恐ろしい鬼の形相をした男が三人、雪子に襲いかかる。

 

逃げる雪子のベールがひき裂かれる。

 

裸にされる雪子。

 

男たちが雪子を追う。

 

いつのまにか、鬼が自分になっている。

 

そして、雪子の背後から抱きつき、両手で乳房を掴もうとする。

 

腕の中から雪子が消える――。

 

純一はハッとして目を覚ました。】

 

 

 

これが原田美枝子さんの正式なデビュー作になります。

 

この時15歳。1974年のことです

 

息の長い女優さんです。

 

 

佐藤祐介君はどうしたんだろ?

 

「大岡越前」にレギュラーで出てたけど、その後は見てないなあ。

 

 

 

 

 

 
 
 
 

201.「方丈記」

鴨長明

長編   川瀬一馬:校注・現代語訳  講談社文庫

 
 

行く河のながれは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。

よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、ひさしくとどまりたる例(ためし)なし。

世の中にある人とすみかと、またかくのごとし。

 

 

はい、ではこの文章を来週の授業までに暗記してくるように。

 

 

朗読してもらいますから。

 

 

 

 

 
 
 
 

202.「天使の傷痕」  (乱歩賞)

西村京太郎

長編   春陽文庫

 

これは貴重かもしれない春陽文庫版:<ウラスジ>をそのまま載せちゃおう。

 

【日東新聞社会部の敏腕記者田島は、晩秋の一日、恋人のOL山崎昌子と、東京近郊の聖蹟桜が丘の三角山へとハイキングにでかけていった。】

 

【楽しかるべき恋人ふたりのゆく手には?】

 

【だれも姿をみせないしずかな山道に、突如現われたのは、胸に短剣を突き刺された瀕死の男であった。】

 

【男は、かすかに 「テン――」 ということばを残して死んだ!】

 

【殺された男、悪徳トップ屋の久松実が書き残した <天使は金になる> といういたずら書きをもとに、天使(エンゼル)を捜査陣は追う!】

 

【久松と関係のあったストリッパー・エンゼル片岡と言う女は?】

 

【かくされた真相を追う田島のまえに意外な事実がその正体を明かした!】

 

【第十一回(昭和四十年)江戸川乱歩賞をみごと受賞した

 

新鋭・西村京太郎 の長編推理傑作!】

 

 

 

あはは。

 

どなたにも新人時代があるもんですね。

 

「天使の傷痕(しょうこん)」、「四つの終止符」、「D機関情報」、

 

この三作品を私は勝手に、<西村京太郎:初期三部作>と呼んでおります。

 

いえ、いずれも春陽文庫の目録にあったもので。

 

 

このうち、「天使の傷痕」はアルドリン奇形を、「四つの終止符」は聾唖者を扱った<社会派推理小説>と言われています。

 

しかし「D機関情報」はスパイもので、西村さんが決して<社会派推理小説>だけの作家ではない事を早くも窺い知ることができます。

 

時を置かずして『名探偵』ものが始まり、『左文字進』、そして『十津川警部(最初は警部補)』シリーズが始まります。

 

いわば西村京太郎さんは<オールマイティー>なミステリー作家なのです。

 

 

 

 

 
 
 
 
 

203.「高校時代を生きる」

堀秀彦

長編   教養文庫

目次

 

1.人生と幸福

2.青春と悩み

3.恋愛と友情

4.教養と読書

 

 

悩んでいたんでしょうねえ。

迷っていたんでしょうねえ。

 

今となっては、何も言う事はありません。

 

こののち、堀先生の訳でラッセルの「幸福論」を読む事になりますが――。

 

あと同じ文庫の「格言の花束」も読みたかったけど、文庫自体が無くなっちゃったからなあ。

 

ちなみにこの本の中に載っていた格言で好きだったものは、トウェインのこれです。

 

 

古典とは、だれもが読んでおきたいと思い、そのくせだれもが読みたいとは思わぬ、そういったものだ。

 

近頃は、"読んでおきたい” とさえ思わない連中が増えたようで……。