【おすすめ本】サイバー・エフェクト・子どもがネットに壊される | 中谷良子の落書き帳

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核武装・スパイ防止法の実現を

考える力を身に付けさせるためにも子供のうちから本を読ませることがとても重要でスマホに触れさせないようにするべきですね。本は表現力、思考力、生きていくうえで様々な知識を教えてくれます。スマホは子供の脳にも眼にも良くありません。注目記事です。



★スマホを見る子どもの脳に何が起こるのか?★



「いったい何歳から子どもにはスマホやタブレットを持たせてもよいのか。動画やゲームに依存してしまったり、成長面で問題が出る心配はないのか」。せがまれればためらいながら使わせてはいるものの、漠然と不安と抵抗を感じている親は多い。

世界中の子どもの親が直面するこの問題に、科学的にはっきりとした指針はないものなのか。 世界的サイバー心理学者として知られるメアリー・エイケン博士が、デジタル・テクノロジーが人間にどのような影響を与えるか、とりわけ子供の成長への影響を発達段階ごとに見ながら、子育ての中での影響を科学的にまとめた話題の新刊『サイバー・エフェクト 子どもがネットに壊される――いまの科学が証明した子育てへの影響の真実』から、一部抜粋して紹介する。

●子どもたちがスマホを使う時期は早まり続けている

いま子どもたちは、以前よりも低い年齢からデジタル機器を使うようになっている。

最新の研究によれば、3〜4歳の幼児の16%が自分用のタブレットを持っており、8〜11歳の児童の30%以上がスマートフォンを持っている。また、最近実施された調査によれば、5〜7歳の児童の3%、および8〜11 歳の児童の23%が、ソーシャルメディアのアカウントを持っている(こうしたサービスのユーザーは13歳以上であることを求める規制があるにもかかわらずだ)。

現代の幼い子どもたちが触れているのは、彼らの行動に影響を与え、操作することを目的とした、高度なアルゴリズムだ。私は何年もの間、テクノロジー企業が私たちの「心理的なアキレス腱」を利用して、人々を強くするよりも弱くしていると訴えてきた。

2017年11月、元フェイスブック社長のショーン・パーカーは、フェイスブックが「人間の心理に存在する脆弱性」につけ込み、人々をハッキングしようとしていると述べた。


●どんな大人でも、どんな場合でも子どもを保護する義務がある。

問題は、テクノロジースキルの習得には、インターネットに触れることが欠かせないという点だ。一般のインターネットからは隔離された環境においてなら、子どもたちは安全にスキルを学べるかもしれない。プールに子ども用の水深が浅い区域があるように、インターネットにもそれに相当する区域があるべきだ。

子どもたちが次々に生まれ、テクノロジーと積極的に関わるようになり、親や保護者がアドバイスを求めている以上、発達中の子どもに与えるテクノロジーの影響を明らかにする決定的な研究の成果が発表されるのを待つべきではない。

研究者たちは、長期的な研究が終わるまで、じっと座って待っていてはいけないのだ。それを待つ間に、これまでにわかっていること、情報に基づく意見、専門家の間でのコンセンサスを組み合わせ、世間に発信していかなければならない。

実際、私は本書を書くことでリスクを冒した。研究者の同僚に本書を書くというアイデアを伝えたとき、やんわりとしたものではあったが、私は軽蔑の念を示された。「そんなことすべきじゃないよ……一般向けの本を出すと、研究者としてのキャリアを台無しにしかねないから」といった具合である。

本能とは、正しいと予測できる行動をとる傾向のことだ。そして私の場合、その行動とは「常識に従わないこと」だった。そこで私は、本書を書くことを決心した。学術論文を書く際の制約から解き放たれ、「私はこう思う……、たぶん……、もしかしたら……」といった形で、テクノロジーが人類に与える影響を自由に書くというのは、楽しい経験だった。

もっと重要だったのは、私が懸念を抱いているテーマを、すべて書き留めることができたという点だ。発表後、本書は世界各国で翻訳され、今年は中国やロシアでの出版も予定されている。そして幅広い読者に読まれ、うれしいことに、タイムズ紙の「思考」カテゴリーのブック・オブ・ザ・イヤーに選ばれた。さらには、ネイチャー誌の「ベスト・サイエンス・ピック」にも選ばれた。

●アップルが子どもの過度のスマホ利用に懸念?

子どもを念頭に置いた場合、インターネットがうまく機能しているとは言えない。

2017年、グーグル傘下のサービスであるユーチューブは、児童虐待や暴力的な内容を含む動画の掲載を許していたとして、厳しく非難された。BBCの調査によれば、子どものビデオに対して投稿された性的なコメントを報告するためのシステムが、1年以上正しく機能していなかったという。

グーグルはこの問題に対して、「数千人の監視員を雇う」計画であると発表した。だが、ちょっと計算してほしい――数十億人のユーザーがいるというのに、数千人の監視員で足りるのだろうか?

そして監視員は「人間フィルター」として働き、インターネットの最悪の側面をチェックすることになるのだが、彼らもまた、誰かの子どもであることを忘れてはならない。この仕事をしている人々のメンタルヘルスに問題が生じたら、誰が責任を取るのだろうか? 雇用主だろうか?


2018年1月、フェイスブックは受け身的なソーシャルメディアの利用が害になる場合があることを認め、アルゴリズムを変更し、ユーザーが「より意味のある交流ができる」よう支援する考えであると発表した。

同じ月、アップルの株主は、子どもによる過度のスマートフォン使用に対する「社会的不安の増大」という形で、同様の懸念を表明した。こうした問題認識は、長く期待されてきた「転換点」の到来を促すのではないかと、私は信じている。

またそれは、私の懸念が当たっていたことを証明してもいる。物事のポジティブな側面は、説明されなくても理解することができる。しかし私が指摘したような、テクノロジーが子どもや若者にもたらす多くのネガティブな側面は、調査や研究によっていまようやく証明されようとしているところだ。

●SNSは若者のメンタルヘルス上に問題?

それは特に、不安やうつ、自尊心、リスクテイク、身体像、自傷、睡眠の質、セクスティング〔自分や友人を被写体として性的な画像を撮影・送信すること〕、依存型の行動といった分野について言える。

最新の研究によれば、不安やうつに悩む若者の割合は、過去25年間で70%増加している。また若者たちは、5つのメジャーなソーシャルメディアのうち4つが、彼らの不安感を増大させていると答えている。

英国の王立公衆衛生協会(RSPH)が2017年に発表したレポートは、若者に対して、「ソーシャルメディアがメンタルヘルスの問題を引き起こす可能性がある」と指摘している。


不眠症も増加傾向にあり、若者の5人に1人が、ソーシャルメディアをチェックするために夜中に起きることがあると回答している。その結果、そうした若者の間では、学校で常に疲れを感じる度合いが3倍も高くなっている。

10代の女の子の10人に9人が、自分の身体に不満があると答えており、彼女たちの間で摂食障害のために入院するケースが急増している。私はこの傾向が、ソーシャルメディアの普及と、「プロアナ(拒食症支持)」や「プロミア(過食症支持)」に関係するサイトの増加にリンクしていると考えている。それらは脆弱で、自意識が過剰になる傾向のある10代の若者に、大きな影響を与えてしまうのだ。

私は常に、未成年者のセクスティングが大きな社会問題になると警告してきた。デンマークでは、千人もの若者が、2人の15歳の若者が性行為をしている動画をシェアしたとして、児童ポルノ所持の罪で訴えられている。有罪になれば、彼らは罰金を科せられ、刑務所に入り、児童に関係する仕事に就くことを10年間禁じられるおそれがある。

さらに悪いことに、米連邦議会の下院は、セクスティングした若者に15年間の懲役が科せられる可能性のある法案を通過させた。ならば、セクスティングを容易にするアプリを開発したデベロッパーは、どのような罪に問われるのだろうか?


●【書籍紹介】『サイバー・エフェクト 子どもがネットに壊される』

メアリー・エイケン 著・小林啓倫訳で明らかになる、インターネットの子育てへの影響とは?子どもの成長とスマホ、タブレット、インターネット……

ネットのテクノロジーは、現代の親にとって悩ましい問題になる一方、SNSやチャットなどを通じたネット犯罪、ネットいじめ、ネット依存などの問題が深刻化しています。親世代とは異なり、子どもの世代はデジタルネイティブなので、親の常識が通用しない点が、理解をより難しくしているのです。

本書は、米人気ドラマ「CSI:科学捜査班」のスピンオフ作品「CSI: サイバー」の主人公のモデルにもなった世界的サイバー心理学者であるメアリー・エイケン博士が、デジタル・テクノロジーが人間にどのような影響を与えるか、とりわけ子どもの成長への影響を発達段階ごとに見ながら、子育ての中での効果的な活用法を検証します。

2000年から2015年の15年間に、インターネットにアクセスする世界人口は7倍に増え、今や世界の半数近くが現実世界とサイバースペースを行き来しています。その加速は止めようがありませんが、しかし、インターネットの便利さの影には、子どもの発達に影響を与える多くの問題が潜んでいるのです。メアリー・エイケン博士よれば、

「これまで、インターネットは大人が使うものと考えられ、子どもを意識してデザインされることはなかった。インターネットは『すべてのユーザーが平等であるべき』というユートピア的なビジョンを掲げ、すべてのユーザーが平等に扱われてしまうために、インターネットは、子どもにとって問題の多い場所になっている」というのです。

ある日気づいたら、ベビーカーにいる赤ちゃんが高価なスマートフォンを抱えて遊んでいたり、幼児が小さな指で巧みタッチパネルを操作したりしていた、などということが起きています。あるいはショッピングモールで、子供たちのグループが一緒にいながら、手にした自分のデバイスだけに目を落としているのに気づくでしょう。いつの間にかこんなそんな世界になっているのです。

母親がスマホに夢中でアイコンタクトが不足する赤ちゃん、過激なコンテンツへの接触やネットいじめに傷つく子供、ADHDとの関係、SNS・ゲーム・自撮りへの依存、尊厳を損う メッセージが蔓延するティーンエイジャー……問題は、噴出しています。


絶え間ない変化の中で問題に対処する確実な方法のひとつは、サイバー環境が私たちにどのような影響を与えるかについて、より深く知ることです。人々、そして自分自身が、そこでどう行動するのかを理解することなのです。

インターポール、FBIなど世界中でサイバー事件に関わってきた経歴を持つ心理学者が、インターネット上で人間はどう大胆になるか、デジタルの時代に生きる子どもたちをどのように守り育てればいいか、現代社会が抱える問題をリアルに解説していきます。デジタル社会に生きる親世代の必読書と言えるでしょう。
http://diamond.jp/articles/-/166725

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