筆者は震災後２週目に、東京における新チャイナタウンとして知られるJR池袋駅北口界隈を歩いてみたが、当時は中国語の看板を掲げた飲食店の多くが休業しており、路上も閑散としていたが、4月以降に改めて訪れてみると路上はごったがえしており、四方八方で中国語が飛び交い、早くも中国人たちが戻って来ていることを実感した。
法務省の統計からも確認できるが、中国人は震災発生後、ただちに集中豪雨的な出国ラッシュを演じたが、日本国内の情勢が落ち着いたと見るや、すぐさま舞い戻ってきているのに対し、韓国人の動きは出国も入国も相対的にモデレートであった。
ひとくちに「在日」といっても、中国人と韓国人ではその内実が大きく異なる。
在留資格別の内訳を比べてみると、在日韓国人の約70%が戦前から日本に住む者やその子孫である特別永住者である。
現在は日本生まれの日本育ちで日本語しか話せない三世、四世の時代に入っている。
今回の震災後４週間に出国した特別永住者は約１万２千人で、特別永住者全体のわずか3%に過ぎない。
これに対し、中国人は留学生や一般永住者以外に、「技能実習等」(後述)、「日本人の配偶者」「家族滞在」(扶養家族)など、法務省が用意したさまざまな在留資格を取得して我が国に長期滞在していることがわかる。
技能実習というのは1993年に作られた制度で、日本の工場や農家が受け入れ先となり、外国人を「研修」として１年間、一定の条件を満たした者は「特定活動」としてさらに２年間、合計３年間の在留資格を認めるというものだ。
昨年７月からは、「研修」と「特定活動」が３年間の在留資格「技能実習」に一本化された。
技能実習等の在留資格の保有者の９割近くは中国人である。
もともとこの制度は、発展途上国への技術移転を促す国際貢献を目的としていたはずなのだが、事実上は、人件費の安い中国人の単純労働者を合法的に受け入れる方便に変質してしまい、日本への出稼ぎを希望する中国人にとって、いまや最大の日本渡航手段となっている。
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