軽減措置と非課税部分と地方税法348条2項5号について☆ | 司法書士講師・三枝りょうのブログ

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司法書士試験の受験情報を中心に、日々考えたことを書き連ねていきます。

皆さんこんにちは,司法書士講師の三枝りょうです。

 

世の中に 『凄い言葉』 はいくつもありますが,その1つが 『立往生』 です。たちおうじょう。

『往生』 とは死亡ですから,立ったままの姿勢で死んじゃうのも凄いですが,それが転じて交通情報で「乗用車が立往生」などと使用されると,一層凄い感が増します。私だけでしょうか。

 

先日の登録免許税の計算の答え合わせをしましょうか。
2020年12月18日記事にかかるお話です。

2020-12-18記事

 

売買を原因とする所有権移転登記の場合。
課税標準金額は,「不動産の価格」
登録免許税法上の税率は,「1000分の20」
です。講義でそう習います。

 


本件所有者(持分権利者)は,2回にわたって権利を取得しています。
これらの「持分の全部移転」ですから,移転する持分は,「6988929分の9660」です。
当該情報は,登記記録から読み取ります。
2,898 + 6,762 = 9,660

 


「不動産の価格」って何だという話です。
こちらは,固定資産評価証明書で確認をします。
価格金8,786,138,050円と記載されています。


87億8613万8050円に,6988929分の9660をかけて,更に1000分の20をかける
では正解が出ません。
登記所からソッコー補正の連絡が来ます。「先生アタマおかしいのか!」と。

まず税率ですけれども。
2020年12月現在,土地の売買による所有権の移転登記の税率は,軽減措置により「1000分の15」となっています。
2021年3月末までの扱いですが,順当に行けば,4月以降,2年延長されます。

 


それから上記「8,786,138,050円」という数値は,「現況地積」である「43,335.05㎡」の価格です。
「登記記録上の地積」は,「43,454.64㎡」です。

 

この差は何だと。
43,454.64 - 43,335.05 = 119.59
これが非課税部分です。

 


非課税地積119.59㎡と書いてあります。あっているようです。
ここでいう「非課税」とは「固定資産税が非課税」という意味です。
登録免許税は課税対象です。

119.59㎡ についても登録免許税を納付しなければなりません。

なお,固定資産評価証明書は課税明細書には,正体不明の数字が羅列されているため,「どの数字が登録免許税の算出に必要なのか」分かるまで一定程度経験を積む必要があります。


話を戻しましょう。
当該部分について,「不動産の価格」を算定する必要があります。

非課税部分がある場合,まず,「非課税部分の1㎡あたりの価格」を算出します。
それから当該価格に非課税地積(119.59)を乗じます。
8,786,138,050 / 43,335.05 = 202,748.99994346377
202,748.99994346377 * 119.59 = 24,246,752.903238833

2424万6,752.903238833円に87億8613万8050円を加えると,ようやく本件不動産(全体)の課税標準金額である「不動産の価格」が算出されます。
8,786,138,050 + 24,246,752.903238833 = 8,810,384,802.903238

約88億1038万4802円に「移転する持分割合」を乗じます。
8,810,384,802.903238 * 9,660 / 6,988,929 = 12,177,590.75761755

約1217万7590円について端数処理をした上で,軽減税率(1000分の15)を乗じます。
12,177,000 * 15 / 1,000 = 182,655

土地のみの場合,ここで端数処理をして計算はおしまいです。
登録免許税 金18万2600円です。

なお,当方のあんちょこと申しましょうか備忘録には下記のとおり記載されています。
今回は,100分の30を乗じる必要はありません。
> 非課税条文が地方税法348条2項5号の場合,100分の30をかけて課税標準金額とする
> 非課税条文が地方税法348条1項の場合,そのままで(専有部分価格と合算して)OK



ソフトに計算させるとこんな感じで表示されます。
ソフトでは,専有部分と併せて,いわゆる一括申請(所有権移転及び何某玲子持分全部移転)で申請しているため専有部分と合算で計算されています。
登記原因が「売買」ですから,住宅用家屋証明書を添付して租税特別措置法73条の適用を受けます。そうすると,専有部分の移転の税率は,1000分の20でなく,「1000分の3」で計算をします。

16日記事で「記述式問題で問われる登録免許税は初歩だ」的なことを申し上げました。
何となくお分かりいただけましたでしょうか。

「ボクは文系だから数字が苦手なので-」とか呑気なことを言っていると仕事になりません。

世の中カネの計算ができて一人前です。えぇ。

 

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