北欧諸国
に伝わる
北欧神話
と申しますか
ゲルマン神話
は
キリスト教の影響
を
色濃く受けている
ようで、
矛盾
や
不明点
も多く
その原型が
分からなくなっている
箇所が多い
ようです。
そのような
北欧神話
を
できるだけ
筋道が通るように
分かりやすく
解説しているのが
本書
「北欧の神話―神々と巨人のたたかい」
です。
北欧神話
は
ラスト
が
非常に
印象的な
神話
ですね。
北欧神話
は
ラグナレク
という
神々と巨人の戦い
で幕を閉じます。
ラグナレク
で
ほとんどの神
が死ぬ
のですが、
フェンリス狼
に
オーディン
が呑み込まれて死ぬ
というのは
太陽の消滅
を
象徴している
ようにも感じられます。
太陽の永遠性
生命の永遠性
を
信じていない
ように感じられる
世界観
は
冬が長い
北欧ならでは
のような
感じもしますね。
著書の
山室静氏
は
いくらなんでも
そこまで
ペシミスティック
ではないだろう
と
書いておられますが、
私は
長い冬
を
通して、
古代ゲルマン人
は
いつか
太陽が
二度と昇らなくなる日
が来る
と
どこかで
感じていたのではないかしら?
と思います。
なぜなら、
その世界観
が
死をも恐れる
ゲルマン民族
の
猛々しさ
に
源
のように感じるからです。
バイキング文化
は
荒れ狂う海
厳しい冬
との
知恵比べ
と
戦い
の文化
のようにも
感じます。
そんな
状況では
死を恐れていたら、
何もできない
という
切実な思い
もあったと思うのです。
オーディン
の
命知らず
なところからも
そのようなことを
感じます。
そして
本書を読んでいて、
死を恐れないからこそ
生きるための知恵
が重要になってきた
ともいえそうだなぁ
と
感じました。
北欧神話
で
興味深い
と感じた箇所は
天地創造の際に
神々と巨人
の
生みの親
が
同じ
牡牛
である
という点
です。
暗い霧の中から
生まれた
牡牛
の
乳を飲むばかりで
何物もなさない、
氷の魔物ユミル
から生まれ
文句と恨み言ばかり
を
言っているのが
巨人族
で、
牡牛
が
乳を出すために
舐めた
氷から
生まれたのが
ブリという美しい神
です。
そして
その神の子どもたち
が
北欧神話の神々
です。
巨人
は
混沌が源
で
生命の恵み
を受ける
にとどまりますが、
神は
同じく
混沌から生まれた
牡牛
を
養った氷
つまり
生命の源
から
生まれた
のですよね。
そして、
その神の子どもたち
が
世界を創造していく
のです。
つくづく、
つくる
というのは
根源的な営み
なのだなぁ
と感じます。
そして
同じ
つくる
でも
バイキング文化
では
生殖
よりも
生産
のほうが
尊ばれた
のでしょうね。
個人の命
はおろか、
生命そのものが
いつか
尽きる
だからこそ、
個体の死を乗り越えて
残っていくもの
つまり
知恵
が
尊いもの
とされたのかしら?
と。
北欧神話
は
人間という
生物
を超えて
受け継いでいくべき
人間らしいもの
を
教えてくれている
ように思います。
画像はpinterestよりお借りしています。
北欧神話
の神々
で
最も
印象深い
のは、
やはり
オーディン
です。
知恵者
としての
性格付け
が
されているのですが、
彼は、
知恵の泉
と
相談する者
でもあるのですよね。
知恵の泉
というものが
どのようなもの
なのかは
はっきりとしない
のですが、
きっと
すべてを記憶する
アートハラン
のようなもの
でしょうね。
きっと
知恵の泉
に
到達したものは
すべての糸
を
操ること
が
できるのでしょう。
オーディン
の
玉座
は
そこに座ると
世界を見渡せる
そうですが、
それは
どこをいじれば
どうなるか
すべて
見通すことが
できる
ということなのでしょうね。
だからこそ、
神々は
力を合わせる
のかもしれませんね。
全知全能
というのは
孤立した独立者
ではなく、
その存在そのものが
他者を必要とするもの
なのかもしれないなぁ
と思いました。