前の記事の続きです。
6、チャーリーのセリフは粋な計らい?
シーズン1のイースターエッグを紹介した際に、ニックのお母さんを演じたオリヴィア・コールマンが放ったセリフの一説に触れましたが、シーズン2ではチャーリー役のジョー・ロックのセリフにご注目。
上↑のシーンでチャーリーは「僕はマーベル映画が好きじゃないって言っただろ」と言っていますが、ハートストッパーファンで「マーベル」と聞けば思い浮かぶものがある人もいるかもしれません。
そう、チャーリー役のジョー・ロックはあの天下のマーベル作品への出演が決まっているんです。このドラマが俳優としてのデビュー作で、2作目がマーベルってスゴいことですよね!この何気ないセリフは、もしかしたらそんなジョーへのお祝いの意味が込められているのかも。
7、これまたニクい演出!キーアイテムは地球儀
配信から数週間後、ドラマを何度も何度も見返していた目ざといファンが見つけて大きな話題になったのが、こちら↓のシーンに隠された仕掛け。
チャーリーとニックがプロムに向かう前の8話のシーン。
チャーリーがクローゼットで着替えて出てきた後...
するとニックの表情が輝くのと共に...
「You light up my world(君は僕の世界を照らす光だ)」なんて言い回しはよく曲の歌詞とかで聞くけれど、やっぱりチャーリーはニックにとってそんな存在なんだってことを思わせるステキな演出ですよね。ちなみにこの演出はシーズン1でも使われているそうだから、探してみてくださいね!
8、ここからは小さなイースターエッグ集をまとめてご紹介!
まず紹介するのは、こちら↑。美大のエキシビションに飾られたエルの作品を見るために仲間たちが集まった7話のシーン。このエキシビションでは、シーズン1のタラとダーシーのキスシーンを思わせるようなロマンチックな作品も展示されているみたい。
クィアであることや多様なアイデンティティーを肯定するような芸術作品が立ち並ぶこのエキシビション。さらに同じシーンでサハーがイモジンに「私はバイセクシャルだけど...」と告げるくだりがあることから、これはサハーとイモジンのロマンスを予兆するイースターエッグなのではないか...とのウワサも。
そして8話のプロムのシーン(↑)。サハーを見つめるイモジンをピンクとオレンジのライトが照らしているように見えます。
このピンクとオレンジは「レズビアンフラッグ」に使われている色であることから、このシーンのイモジンが、シーズン1でタラとダーシーのキスを見て「バイセクシャルライト」に照らされるニックの姿(シーズン1の記事参照)と重なるなんて声もあるとかないとか...
続いてはこちら↑。シーズン2の1話でアイザックが読んでいる本に注目。「ACE OF ~」という文字が見えるけれど、この本のタイトルは『Ace of Spade』。「ace(エース)」は「アセクシャル」を短くした単語でもあることから、これはシーズン2でのアイザックの自己探求の物語を予兆しているイースターエッグなのかも。
ちなみにこの『Ace of Spade』というY/A小説はスリラー作品で、登場人物の中にLGBTQのキャラクターが出てくるそう。
本好きのアイザックが手にする本は、その内のいくつかがLGBTQ作品であったりもするそうです。ネットで調べればアイザックが読んでいた本のリストも見つかるので気になる人は探してみて。
ちなみに上↑のシーン、7話でプロムの準備に追われるサハーの手伝いに駆けつけたアイザックが手に持っている本は『Summer Bird Blue』という本。(『Ace of Spade』と共に翻訳版は見つかりませんでした。)この本にはアセクシャルの主人公が登場するそう。
そしてパリの本屋さんでチャーリーが手にした本にも注目。この『スイミングプール・ライブラリー』(邦題)という小説はゲイ作品。ただ露骨な性描写も含まれているそうで、チャーリーにはちょっと早いんじゃ...なんて声も聞かれます。こちらも気になる人は手に取ってみては?
...いかがでしたか?もちろんストーリーも素晴らしいし、細かい所にまで注目して見てみると新たな発見が詰まっていて何度見ても楽しめる『ハートストッパー』。もしかしたらここで紹介した以外にも、いろんな仕掛けやイースターエッグが隠れているかもしれません。背後で別のキャラクターが何をしていたり、どんな表情をしていたり...そんな所にも注意して見返してみると自分だけの発見があるかもしれませんよ!
...というわけで、少しだけおまけ。シーズン1の記事を書いたときにはサウンドトラック(音楽)については触れていなかったので、シーズン1で使われた楽曲のトリビアを2つだけ紹介して終わりにしたいと思います。もう少しお付き合いくだされば幸いです。
まず最初に紹介したいのが、シーズン1の1話のラストシーン。学校でベンに襲われかけたチャーリーをニックが助けた後、帰路につくチャーリーがニックに「今日は助けてくれてありがとう」ってメッセージを送るシーンです。
このときチャーリーがニックに送ったメッセージは「Thank you x(ありがとう。キスを)」。このメッセージの最後に添えられた「キス」を意味する「x」は友だち同士のやり取りでもカジュアルに使われる表現ですが、まだ知り合ったばかりのストレートの男友だちであるニックに「キスを」って送るのには、きっとチャーリーだって一瞬ためらったはず。
「xって付けようかな?それともThank youだけで送った方がいいのかな?」って思い悩むチャーリーの姿も想像できます。そしてこのシーンで流れるのが、英国バンド、ウルフ・アリスの『Don't Delete the Kisses』という曲。
「キスを消さないで」というタイトルの曲が流れるこのシーン、結局チャーリーは「キスを」と付け足してニックに送ります。さらにこの曲のサビで繰り返し歌われる歌詞が「What if it's not meant for me(もしこれが運命の相手じゃなかったらどうしよう)」。
やっぱり知り合ったばかりの相手に運命を感じるなんて間違っているのかも...とも思いつつ、それでもこれから起こるかもしれないドラマチックな展開に胸を踊らすチャーリーの心情を表したような曲に聞こえてきませんか?
そしてこの「キスを」というメッセージを見てニックは優しく微笑むのですが、このタイミングで流れるのが曲のアウトロー部分。歌詞は...
I see the signs of lifetime, you till I die
(未来が見えた気がした。君と死ぬまで一緒にいる未来が)
ちなみにウルフ・アリスの曲はシーズン1でもシーズン2でも結構使われていますよ。中でも個人的に印象深いのが、シーズン2の7話で使われる『Blush』という曲です。
トランスジェンダーコミュニティーのアンセムとしても知られるこの曲が使われるのが、ダーシーが親と喧嘩して家を飛び出してしまうシーン。音楽の効果もあって、より胸が締め付けられるようなシーンになってます。
次に紹介したい曲が、シーズン1の4話で使われるflorの『Heart』という曲。このシーンで映し出されるのが、下から見上げるようなアングルで撮られたチャーリーの姿です。そして同時に始まる曲の歌い出しの歌詞が「Call me by name」。
このブログを読んでくださっている方なら「Call me by name」と聞いてすでにパッと思いつくものがあるのではないでしょうか。
こちらも真意のほどは定かではありませんが、同じようなカメラワークは他のシーンではあまり見られず、このシーンだけが際立って意図的に見えることから、これはゲイ映画『君の名前で僕を呼んで』にオマージュを捧げたシーンなのではないかと、まことしやかに囁かれています。
...はい、正真正銘これで以上です。ちなみに、これらのイースターエッグを見つけたのは『ハートストッパー』を30回も40回も繰り返し観ているような熱心なファンたち。(ちなみにボクは1と2それぞれ10回づつぐらいかな?)
でも逆に言えば、彼らは他の人よりも観察眼が鋭いわけでもなければ、映画やドラマに精通している「映画フリーク」というわけでもありません。(たぶん。)ということは、あなたもドラマを何回も見返していれば、自分だけのイースターエッグが見つかるかも!ということです。
何十回と観るのは大変かもしれませんが、一度観てみて気に入ったのなら、ぜひ何度か見返して作品の世界にどっぷり浸ってみてください。繰り返し観るたびに新たな発見があるドラマだと思います。それでは~