前回の記事の続きです。


















9、最終話、ニックとチャーリーが乗ったビーチに向かう電車には、原作者のアリス・オズマンも乗っている。



ニックとチャーリーが乗っているのと同じ車両に『ハートストッパー』の原作者アリスの姿を発見!このときアリスが自前のタブレットに何を描いているのかはアリスのインスタ(@aliceoseman)をチェックしてみて。


ちなみに座席の後ろに飾られている絵には、前述(前編を参照)のラブバードやお馴染みの葉っぱのイラストなんかも確認できます。




10、運動会(スポーツデイ)にも見所がいっぱい!ここではハートで作られたオリンピックの五輪のシンボルも発見!



前述(前編を参照)のエルとタオのシーンもそうだけれど、スポーツデイには見逃せない隠れたディテールがたくさんあります。


たとえば生徒たちが着ているビブやフィールドに置かれた旗の色でLGBTQのレインボーフラッグを表していたりもするそう。





番外編:ドラマの中では至るところに虹がかかっている。



比較的わかりやすいものから、よく注意していないと気づかないようなものまで、色々なシーンで色々な形のレインボーを見つけることができるので探してみて!たとえばニックとチャーリーがお互いを見つめるときにも、そこにはレインボーが。








11、チャーリーの部屋とタオの部屋は、じつは同じ部屋。



スケジュールの都合から、チャーリーの部屋とタオの部屋は同じセットで内装だけを取り替えて撮影されたんだそう。製作陣が隅々までこだわって作ったチャーリーの部屋にも胸熱なポイントや小物がたくさん詰まってます。



ちなみにチャーリー役のジョーは、チャーリーを演じるために初めてドラムを習ったんだそう。一方で音楽センスゼロなニックを演じたキットだけど、キットは実生活ではピアノと歌が上手で音楽が得意。でもラグビー経験はドラマの撮影が始まるまで無かったんだとか。




12、タオの部屋といえば、几帳面に壁に飾られたポラロイド。全部で何枚のポラロイドが飾られているのか分かる?


その数は全部で148




番外編:「バイセクシャルライティング」って知ってる?



チャーリーの誕生日をボーリング場でお祝いするシーンは、キュンキュンやエモいがたくさん詰まったシーンだったけれど、このシーンでニックを照らす「ライト」に注目してみて!


でもまず知っておいてほしいこと。虹色の「プライドフラッグ」なんかはLGBTQコミュニティーを象徴するものとして有名ですが、じつはバイセクシャルにも、そのコミュニティーを象徴する「バイセクシャルフラッグ」なるものが存在しているんですよ。知ってましたか?


そして、そのバイセクシャルフラッグを構成するブルーパープルピンクの3色が混ざりあった光は「バイセクシャルライティング」と呼ばれていて、映画やドラマではキャラクターのアイデンティティーを視覚的に表現するために使われる技法なんだとか。


この「バイセクシャルライティング」が他にも使われているのが、
ハリーの誕生日パーティーのダンスフロアのシーン。

タラとダーシーがキスする場面を目撃したニックを「バイセクシャルライティング」が照らしています。まるでこの瞬間、ニックの心の中に、なにかひとつの「気づき」が生まれたかのよう。このあとニックとチャーリーはファーストキスを交わします。

製作総指揮のパトリック・ウォルターズによると、もちろんこのライティングは偶然なんかではなく意図して取り入れられたものだそう。

こちらの画像↑は映画『アトミック・ブロンド』より。

シャーリーズ・セロンが演じる主人公(左)は、

バイセクシャルを匂わせるキャラクターとして描かれます。


ちなみにシーズン1では「犬猿の仲」のニックとタオ。でもタオ役のウィル・ガオくんのことが大好きなニック役のキット・コナーは、ボーリング場でタオとニックが隣同士に座って会話をする下↓の画像のシーンが個人的にナンバーワンのお気に入りシーンなんだとか。



そして他にも『ハートストッパー』の「」へのこだわりが見られるのが登場人物たちの衣装!たとえばトランスジェンダーであるエルが着ている服に注目してみると、「トランスジェンダーフラッグ」を構成するピンクライトブルーの3色を中心に使ってコーディネートされた服装がいくつか登場することに気づけるはずです。





13、雪の中ではしゃぐニックとチャーリー。まるでふたりきりのウインターワンダーランドに迷い込んだようなロマンチックなシーンだけれど...



このシーンは、じつは真夏に撮影されたんだそう。もちろん降っている雪はニセモノ。ふたりとも風邪引かないように、というよりかは、熱中症にならないように気をつけてね!




番外編:原作を読んだって人は気づいたかも?オリヴィア・コールマンのセリフに隠された秘密。



サプライズキャストとしてニックのお母さんを演じたのが、オスカー女優のオリヴィア・コールマン。8話、ニックが自分のセクシャリティーをお母さんへと伝えるシーンはとっても感動的なシーンとして印象に深く残るのだけれど、このシーンでオリヴィアが言ったある一言に注目。


それはどこかというと、ニックが「バイセクシャリティーっていうんだ、知ってる?」と言った後にお母さんが言った「18世紀に生まれたわけじゃないのよ」っていうセリフ。原作の読者は気づいたかもしれないけど、じつはこの「18世紀」って部分は、原作では「1920年に生まれたわけじゃないのよ」と言っているんです。


もしかしたらこれは偶然って可能性もあるけれど、なぜこの部分のセリフが「18世紀」に変えられたのかというと、それはオリヴィア・コールマンがオスカーを授賞した映画『女王陛下のお気に入り』の時代設定が18世紀だから。


つまりは、このセリフは製作陣が忍ばせたネタ的なジョーク(もしくは即興で生み出されたのかもしれない)ってこと。


ちなみに、このシーンでも「レインボー」を発見したよ。




14、ネリー(ニックの愛犬)のファンだという人も多いはず。そんな人はニックの部屋に注目してみて。



ニックの部屋の壁には、ドラマのクリエイティブチームが特別に描いたというニックとネリーの絵が額縁に入って飾られています。




番外編:気づいた?ニックとチャーリーを表す色はブルーとイエロー。



豊かな色彩表現や、それを使ったニクい演出もその魅力のひとつの『ハートストッパー』。カラフルな背景や衣装、小道具などで彩られたシーンたちが印象的だけれど、中でも登場する機会が最も多いカラーがイエローブルー


ふたりが着ている洋服や持っている物から推測できるように、チャーリーイエローニックブルーが、それぞれを象徴するイメージカラー。ふたりが登場するシーンやそうじゃないシーンでも、背景やキャラクターの周りには必ずと言っていいほど、この2色が入っているので、気づかなかったなって方は注意して見てみてほしい!


学校の廊下で「Hi」を交わすふたり。

ちなみにこのシーンにはレインボーのフレアも。


そしてこんなシーンにも注目ですよ!最終話、晴れてカップルになったチャーリーとニック。そんなふたりがビーチへと小旅行に出かける時に着ている洋服の色を確認してみると...



あれ!?ここは今までとは逆で、ニックイエローの服を、チャーリーブルーの服を着ているんです。つまり、お互いがお互いの色を身につけているんですよ。そう、これはふたりの気持ちが通じあっている証拠!


窓辺に飾られた2つの観葉植物なんかにも注目してみて!


先程も言ったように、登場人物たちが着ている洋服の色や背景の色、さらには小物の色、バッグにノートにペン、お弁当箱や水筒や歯ブラシの色なんかも、とっても注目して見てほしいポイントなんです!





いかがでしたか?LGBTQや多様性を描いていながらも、クィア作品にありがちな悲しい物語やシリアスな描き方だけではなく、とってもキュートでハッピーな描写も魅力的な『ハートストッパー』には、世界中のクィアの人たちに向けた「クィアだって、喜びに満ちた愛や幸せを手にしていいんだよ」というメッセージが込められているんだそうです。


大切なメッセージや、それを視聴者に伝えるための並々ならぬこだわりが詰まっていて、何度でも見てそのよさを味わってほしいドラマなので、もう観たよって方も、2回でも3回でも10回でも観て作品の世界に浸ってみてくださいね!