After tone -2ページ目

闘いの夜に

.


神様
なぜ あなたは私を選んだのだろう。

神様は越えられない試練は与えない…なんて
今となっては安っぽく聞こえてしまうまるで美徳のような言葉。


立ち上がる事も
椅子に座っている事も
何にも簡単にできない

当たり前にあるはずの、睡眠の時さえ、あなたは私を苦しめる。

どんな体勢にもなれない。
寝返りは叫びながらその姿勢を変えて、寝る体勢は、仰向けも、うつ伏せも、痛みを我慢しながらの時間。

姿勢を支える為、肘や首や、肩は悲鳴を上げて、汗だくになりながら、その時間を過ごす。

麻酔でもかけてほしい。
気を失ったように眠ってみたい。




君の痛みが欲しい。
辛い思いさせるのが辛い…

君を守れない歯がゆさ
何もできない…


貴方はそう言った


貴方の言葉ひとつひとつが、私の痛みにKissをする。
絡み合ったイバラの枝が1本1本解きほぐされて行く。

痛みが消えて行く事はない。
けれど
例えそれが気のせいだとしても、力が入って歯を食いしばっていた私の身体は、貴方のKissで緩やかな眠りへと、いざなわれてゆく。



愛してるよ



言葉の愛撫


闘いの夜に、ささやかな魔法を。


そして そっと抱きしめられる。
穏やかな波に揺れるように…

















.


幻覚

.



ぼんやりとした部屋の風景

夢なのか現なのか
もはやわからない感覚

熱いカラダを持て余し
ベッドの冷たい余白を探してる


カラダの置き場所がなくて
でもどんな体勢にもなれなくて…

痛み 痛み 痛み
追いかけてくる痛み…


痛みと薬に翻弄され
うとうと うとうと…

リアルすぎる夢なのか
それとも現実なのか…

己の叫び声で覚醒し
そしてまた沈むように夢へと落ちて行く


痛み 痛み 痛み
追いかけてくる痛み…


あなたの名を叫んでまた目を覚ます

泣いてばかりの毎日
湿ったままの枕

ベッドサイドに立っていたのは誰?

大きな手が 私の頬を包んでいた







.




氷の剣

.



それは凶器となり サクサクと刺さって行く

辛辣な文字が 刃物のように列を成し
まだ体温のある心を包囲している

上位になって見下ろして矢を放つ

刃物が次々に刺さり
矢に貼り付けにされた心

血を流すより 涙が流れ
いつのまにか血の気の引いた青白い顔

体温計は壊れたかのように高温を叩き出し
私は打ちのめされてベッドに沈む

いつ人生が終わってもいい
覚悟はできてる




「辛辣な文字が刃物となって心に刺さる」

覚悟してあるけど
こんな日に人生が終わるのは嫌だ…







.