闘いの夜に
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神様
なぜ あなたは私を選んだのだろう。
神様は越えられない試練は与えない…なんて
今となっては安っぽく聞こえてしまうまるで美徳のような言葉。
立ち上がる事も
椅子に座っている事も
何にも簡単にできない
当たり前にあるはずの、睡眠の時さえ、あなたは私を苦しめる。
どんな体勢にもなれない。
寝返りは叫びながらその姿勢を変えて、寝る体勢は、仰向けも、うつ伏せも、痛みを我慢しながらの時間。
姿勢を支える為、肘や首や、肩は悲鳴を上げて、汗だくになりながら、その時間を過ごす。
麻酔でもかけてほしい。
気を失ったように眠ってみたい。
君の痛みが欲しい。
辛い思いさせるのが辛い…
君を守れない歯がゆさ
何もできない…
貴方はそう言った
貴方の言葉ひとつひとつが、私の痛みにKissをする。
絡み合ったイバラの枝が1本1本解きほぐされて行く。
痛みが消えて行く事はない。
けれど
例えそれが気のせいだとしても、力が入って歯を食いしばっていた私の身体は、貴方のKissで緩やかな眠りへと、いざなわれてゆく。
愛してるよ
言葉の愛撫
闘いの夜に、ささやかな魔法を。
そして そっと抱きしめられる。
穏やかな波に揺れるように…
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幻覚
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ぼんやりとした部屋の風景
夢なのか現なのか
もはやわからない感覚
熱いカラダを持て余し
ベッドの冷たい余白を探してる
カラダの置き場所がなくて
でもどんな体勢にもなれなくて…
痛み 痛み 痛み
追いかけてくる痛み…
痛みと薬に翻弄され
うとうと うとうと…
リアルすぎる夢なのか
それとも現実なのか…
己の叫び声で覚醒し
そしてまた沈むように夢へと落ちて行く
痛み 痛み 痛み
追いかけてくる痛み…
あなたの名を叫んでまた目を覚ます
泣いてばかりの毎日
湿ったままの枕
ベッドサイドに立っていたのは誰?
大きな手が 私の頬を包んでいた
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氷の剣
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それは凶器となり サクサクと刺さって行く
辛辣な文字が 刃物のように列を成し
まだ体温のある心を包囲している
上位になって見下ろして矢を放つ
刃物が次々に刺さり
矢に貼り付けにされた心
血を流すより 涙が流れ
いつのまにか血の気の引いた青白い顔
体温計は壊れたかのように高温を叩き出し
私は打ちのめされてベッドに沈む
いつ人生が終わってもいい
覚悟はできてる
「辛辣な文字が刃物となって心に刺さる」
覚悟してあるけど
こんな日に人生が終わるのは嫌だ…
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