チェルノブイリと福島 | 日本出身モスクヴィチカの徒然

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いわゆるモスクワ情報ではない だけど少し紹介したいロシア人の頭の中、日々ロシアの現実と相対するニホンジンの思うこと、モスクワの子育てのこと…etcを綴っております。

かれこれ2週間くらいぽつぽつ書いている呟きです
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今年で25年も経ってしまったチェルノブイリ原発事故
発生したのは4月26日だったのに
当時ゴルビーのソ連は、その事実を隠しました。
一部の政権トップが知っていたほかは
対策に携わっていた原子力研究所の専門家が
依頼される仕事の内容から、どこで何が起きたかを察していたのみ。

そして「チェルノブイリで大事故が発生」したことを知らされ
科学者たちがわれ先にチェルノブイリ行きを申請したのは
義務感ではなくて「好奇心」が原動力だった って・・・
それでいいのかい?!と突っ込みたくはなりますが 汗

25年前、「お宅、放射能漏れてません?」と国際社会に問われて
ゴルビー以下ソ連政府は、チェルノブイリ事故を認めます。
その一方、住民は着の身着のままの脱出を強いられ
原発城下町プリピャチはゴーストタウンに。
現場には何万人もの除染作業員が投入され
「ウオッカを飲めば放射能問題なし!」などと言われて
防護服もろくにないまま、作業に従事しました。

もちろん、当時は情報を手に出来たのは
政府のトップと研究者のみ
ジャーナリストはもとより、一般市民が
放射線量の情報を曲がりなりにも手にする 
なんてことはありませんでした。

そして強制避難で短期的な被害は最小限に止めた 
と思いきや、放射性物質が土や水に染みこみ
食物連鎖-とくに乳製品-を通じて、人の体を汚染し
奇形児の出生や子供の甲状腺がんという形をとった
長期的な被害というのは、まだまだ続いているのが現状です。

壊れた原発そのものは、
コンクリートの「石棺」で覆い
とりあえず放射性物質を閉じ込める対策をとったもの
老朽化が進み、さらにコンクリートで覆う石棺の2層目を作る計画です。

・・・25年を経て、福島原発の事故では
内外のマスコミが注目し
政府の情報が信じられなければ
放射線の自主検査を実施してネットで公開する
という情報の透明度から
さまざまな立場からの原発への考え方・
原発の仕組みや功罪についての資料
なんでも情報があって、受け手が各自判断できる環境があります。

勿論、必要な情報が必要なときに発信されない
たとえばドイツやノルウェーの気象庁なんかがやってる
放射性物質拡散予報もそうでしたよね
など不安もありますが、
手にしようと努力すれば情報は入ります。

チェルノブイリよりは、まだまし 
・・・確かにそうでしょう。
それでも、いまチェルノブイリより規模が小さい という事故で
世界中に広がる脱原発の波を見て
「どうしてこの波は25年前に発生しなかったんだろう」
と、今になって思います。。。

遅かったとしても「原発ってホントのところはどうなのよ?」と
考える雰囲気が、いまの日本にはあると思います。
原発反対のデモが実施されて、沢山の人が参加した 
また、ソフトバンクの孫社長が
自然エネルギー財団を設立する など
原発反対の私から見て、とても勇気付けられる事実が
たくさんあります。

今すぐすべての原発の電源は落とせ と主張するほど
私もナイーブではありません。
そりゃーそれができるんならして欲しいけど 笑

が、特に災害リスクの高い原発(浜岡とかね!)や
寿命の来た原発を止めて、代替発電能力を高めるのは
実は現実的なのではないでしょうか?
また、日本の原子力ビジネスは
この経験を生かして「原子力解体ビジネス」に転換できないでしょうか。
そして脱原発を推進する世界に
技術を売り込めば、「技術立国日本」の面目も保てるというもの。

・・・いま恐ろしいのは
20キロ圏内は強制退避 としながら
「子供の被爆量は毎年20ミリシーベルトまでOKです」
「地産消費の観点から、地元で取れた野菜を給食へ」と
内部被爆を推進しようとする政策。

放射能は用心に用心を重ねるに越したことはないと思います。
「それでもガンの発症は5人増えるだけ」 なんていっている人
その5人があなたやあなたの大切な人だったら、どうですか?
防げば防げる放射能由来ガンのリスクを、
わざわざ取りに行く必要はないと思うんですけどね?

人の生活や命、また人なくしては生きられない動物たち
人がそのお陰で生かされている自然
それを脅かす原発に、未来はありません。
「福島」が長期化し、人々の関心も(幸か不幸か)「原発の是非」に
あつまっている今、原発をめぐる議論はますます活発になって欲しい。

そんなことを、チェルノブイリ25年の式典を見ながら
また福島の今を見ながら、思っているのです。