ひびのせいく 聖書予言の解釈と教え方について思うこと | 元J民の色々考察ノート

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ヨハネの黙示録(啓示の書)の解釈と教え方についての話。

 

今日の日々の聖句(聖書を毎日調べる2024)で参照されている資料に

興味深いことが書かれていたのでいくつかのぶぶんを抜粋してみました。

 

 

ダニエルは夢の中で,「4匹の巨大な獣が海から出て」くるのを見ました。そして,それが何を意味するかを述べています。4匹の巨大な獣は,4人の「王」,つまり政府を表しています。このはっきりした説明から,「啓示」の書に出てくる野獣も政治勢力を表しているに違いない,と理解することができます。

 

7つの頭がある野獣は何を表しているか。(中略)この野獣は「あらゆる民族や種族や言語や国の人々を支配する」とも述べられています。ですから,それは単なる1つの政府や国を表しているのではなく,もっと大きなものを表しています。この野獣は,これまで人類を支配してきた全ての政府を表しているに違いありません

 

「主の日」,つまりこの終わりの時に支配している世界強国は何でしょうか。それは,協力し合うイギリスとアメリカ合衆国,つまり英米世界強国です。ですから,啓示 13章1-4節に出てくる野獣の7番目の頭は,英米世界強国を表していると言えます。啓示 13章の続く部分では,7番目の頭である英米世界強国が「子羊のような2本の角があ」る野獣として描かれています。

 

もう1匹の野獣について考えてみましょう。(中略)この「王」は登場した後,一度存在しなくなり,その後再び現れると述べられています。この表現は,世界的な政治体制のために活動している国際連合機構にぴったり当てはまります。この組織は,初め国際連盟として登場し,第2次世界大戦の時に存在しなくなり,現在,国際連合として再び現れています。

 

古代バビロンは,間違った崇拝の中心地でした。ですから,大いなるバビロンは,ありとあらゆる間違った崇拝と深い関わりがあるに違いありません。それは,世界を惑わしている間違った宗教全体を表しています。

 

私たちは何をすべきか。(中略)人々が大いなるバビロンの罪に関わらないよう,「彼女から出なさい」と呼び掛け続けます

 

 

これは毎週定期的に開催される集会で使用される「ものみの塔」2022年5月号の研究記事(20)

に掲載された情報なので、信者を対象とした正式な教材の内容です。

 

エホバの証人は、現実に存在している国家や宗教団体が、

黙示録(啓示の書)に出てくる野獣や大いなるバビロンを指していると教えています。

黙示録では野獣も大いなるバビロンも滅びることが確定している邪悪な存在なので、

これは組織的に行われている誹謗と言って良いでしょう。

 

色々と理由を並べ立てて違いありません、というような断定をしていますが

 

「アメリカとイギリスは大国で協力し合っているから2本の角がある野獣」

「国際連合機構は政治体制のために活動しており、

一度存在しなくなって再び現れたから緋色の野獣」

「昔のバビロンには異教が多かったから大いなるバビロンは古今東西すべての宗教」

のあたりは、

 

思い込みというか、希望的観測というか、悪意のあるレッテル貼りというか、

いずれも客観性は欠けており、執筆者の主観的な主張に違いありません

 

ちなみにこれは私の主観的な主張ではないと思います。

黙示録の予言についてエホバの証人のような解釈をしている有名な宗教団体は

実質エホバの証人しかいないからです。

 

 

・・・・・・・

 

個人が聖書を好き勝手に解釈して、既存の色々なモノに当てはめるのは自由です。

それを書籍化などにより発表するのも、表現の自由の範疇なら問題ないでしょう。

 

しかしエホバの証人は800万人以上の信者を擁する国際的な宗教組織なのです。

 

上に挙げた教材を使用して世界中の信者達

国々や他の宗教に対する悪感情を共有させて、

これを公開することで全世界の人々に向けて

既存の国家や宗教団体への誹謗を公式に広めるのは如何なものでしょうか。

 

しかも、

(自分達を除く)間違った宗教全体すべてを大いなるバビロンと言った上で、

「私達は何をするべきか。そこから出るようにと呼びかけ続ける」、つまり

組織ぐるみで他の人の信教を妨害することを高らかに宣言しています

 

 

以下、このことが問題だと考える理由。

 

エホバの証人の信者は、多くのキリスト教の平信徒とは異なり、

洗礼を受け、定期的に教会に通い、きちんと献金する…

といったような個人的な行動以上のことが求められています。

 

子どもや聖書研究生に対しては

組織の刊行した教材を使って 組織の教理を教え込まなければならないし

男性の場合は、時には演壇からの講演で、時には「牧羊」という形式で、

組織の刊行した教材を使って 組織の教理を教え諭さなければなりません。

 

当然、

「大いなるバビロンは(エホバの証人を除く)宗教全体」

「野獣はアメリカやイギリス、国連」みたいな教理も含まれます。

 

信者がこの教理を人に教える時・・・

それは、信者本人の信仰と言えるのでしょうか。

それとも他人の信仰でしょうか。

 

信者は、自分で聖書を研究することによって

「アメリカとイギリスは2本の角がある野獣」

「国際連合機構は緋色の野獣」であるという理解に行きついたのでしょうか。

それとも、親や司会者から教わったことを疑いもせず鵜吞みにしているのでしょうか。

 

(エホバの証人以外)の間違った宗教全体を「大いなるバビロン」として嫌悪し、

それを人々にふれ告げて、そこから出るように!と推奨している信者たちは、

たとえば他のキリスト教の団体から、何らかの被害を受けたことがあるのでしょうか。

あるいは米国の初期の信者達のように、

所属する宗派の教えに疑問を抱いたために、エホバの証人に改宗したのでしょうか。

それとも、親や司会者から教わったことを疑いもせず鵜吞みにしているのでしょうか。

 

もし後者だとしたら、

某有名な国民的漫画の台詞回しを真似てみます

『経験』『信念』欠如した、『赤の他人』の怨みを模倣しているにすぎません。

 

 

私自身はエホバの証人の組織の中にいた経験がありますので、

もし自分がこれを人に教える立場だったら、という視点でも物事を見ます。

 

黙示録の予言で滅ぼされるべき邪悪な存在として描かれている「娼婦」や「野獣」を

既存の組織・団体に当てはめて、多くの人に吹聴することは、

(その組織・団体とまったく関わりが無い立場で行う場合)

司法上容認されているとはいえ、自分の意思で悪意を持って他者を攻撃する行為です。

 

自分自身の経験や考え、信仰や確信に基づいて主張するのであれば

それは個人的な良心に基づいた啓発とも言える余地はありますし、

私も問題視する気はありません。

しかし、他人から聞いたことをそのまま垂れ流しているのであれば

それは自身の信念という根拠に基づかない中傷です。

 

信者達は、他者を攻撃するような教理については、

「これはこのまま他人に教えても良いのだろうか」

と、一度は自問した方が良いと思います。