あべ総統閣下一味もダマスゴミも、円安で輸出企業の業績が好転し、日本経済にとってプラスだと喧伝していますが、これもトリックがあります。

円高/円安が企業の業績に与える影響には大きく分けて2つの側面があります。

第一は、輸出入取引金額に与える影響であり、

第二は、海外にある連結対象会社の円建て評価に与える影響です。

一般的にイメージされるのは、第一の輸出入取引金額に与える影響でしょう。

「円安で輸出企業の業績が好転し、日本経済にとってプラスだ」と言っているのは、これのことです。

輸出入取引金額に与える影響に関しては、下記の記事で解説していますが、日本経済にとって、円高のメリット(利益)の方が円安のメリットよりも大きいのです。

日本政府もダマスゴミも、ウソをついていることがわかります。

*日本の経済構造 その1 日本は製造業の国で輸出立国なのか?
http://ameblo.jp/ruroibrown/entry-11550746627.html

*日本の経済構造 その2 円高で日本経済は崩壊するのか?
http://ameblo.jp/ruroibrown/entry-11550751654.html

*日本経済の構造 その3 円安は日本経済を救うのか?
http://ameblo.jp/ruroibrown/entry-11551527780.html

第二の海外にある連結対象会社の円建て評価に与える影響ですが、これがクセものなんです。

これについては、ほとんど知られていないと思います。

企業はそれぞれ様々な子会社や関係会社を抱えて事業を行っています。

特に巨大企業グループだと何百社も子会社があって、親会社の業績だけでは、全体像が把握できないため、連結ベース(企業グループの合計)で業績を発表しています。

海外にある子会社もこの連結ベースの業績を算出するときに合算しますが、その業績(売上高や損益)は当然、現地の通貨で計算・決算されています。

したがって、日本の本社が連結ベースの業績を算出するときには、円建て評価を行って(現地通貨での業績を日本円に置き換えて)合算しています。

この日本円に置き換えるレートは、決算期末日の実レートを使用しています。

ということで、連結決算での海外子会社の業績は、そのときの為替レートで大きく変動することになってしまいます。

下記に単純化した例を示します。

・日本の親会社の売上高:100,000円、当期利益:10,000円
・海外の子会社の売上高:    100ドル、当期利益:  10ドル
の場合

(例1)1ドル=100円のとき
・日本の親会社の売上高:100,000円、当期利益:10,000円
・海外の子会社の売上高: 10,000円、当期利益: 1,000円
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  ◆連結業績 売上高:110,000円、当期利益:11,000円 
  
(例2)1ドル=80円のとき
・日本の親会社の売上高:100,000円、当期利益:10,000円
・海外の子会社の売上高:  8,000円、当期利益:   800円
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  ◆連結業績 売上高:108,000円、当期利益:10,800円 

つまり、海外子会社の業績は全く変わらないのに、決算期末日の実レートがいくらになるかだけで、これだけ業績が変わってしまうのです。

しかも、決算期末日というたった1日だけの最終レートで1年間の海外子会社の売上高を計算してしまうという乱暴きわまりないやり方になっています。

日本企業の場合、決算期末日は3月31日になっているところが多いので、3月31日のたった1日だけ為替操作で円安に持っていけば連結業績を良く見せかけることができますね。

第一の輸出入取引金額については、実際に確定したレートで、入金したり、支払ったりするので、実体があるのですが、この海外にある連結対象会社の円建て評価については、ただ、日本円に換算して合算しているだけの実体がない架空の金額と言っても過言でないものです。

海外にグループ会社を多く持ち、その売上高・利益が巨額な場合は、この影響も巨額になります。

こんな計算方法で算出した業績に対して、「トヨタが円高で1兆円も減益!!」とか報道しているダマスゴミです。

ちゃんと報道するなら、円安/円高の影響を、輸出入取引でいくら、海外連結対象会社の円建て評価でいくらと報道すべきでしょう。ねえ、日本「経済」新聞さん。
まあ、できないでしょうがね。