虚無感と並んで。 | H2のブログ

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眠るという状態を忘れてしまったかのよう。



ほぼ毎日0時前後に寝床に潜り込む。


胸が痛むから真っ直ぐに横になれず

枕を二つ重ねて少し上体を起こす。


右向きに屈むことはできるけど

左向きは動悸が苦しいから続かない。


服が胸に触ると気持ちが悪いから

布団の中でモゾモゾと裾をたくしあげて

右手は胸の真ん中に

左手は腹の真ん中に置いて

目を閉じる。


少しの明かりでも気が削がれるから

アイマスクをつける。



眠れない長い長い時間が続く。



だいたいいつも2時頃に意識が冴えて

居た堪れなくなって

玄関先に座り込んで

星空か薄い雲を見上げながら

タバコを吸う。


4時を過ぎるとやっと

少しふらふらとした感覚が生まれて

寝床に入るとやっと

少し朦朧とした自分を感じ始められる。



明け方から早朝頃に

近所に配達に来た新聞配達の音や

家族が起き出してくる音がどこか聞こえる。


静かになったようなと感じて

家族みんなが家を出て行ったとわかって

そんな頃にたぶん意識がなくなる。



12時前後で意識が戻ると

せめてもう少しよく眠りたいと

朦朧としながら布団のより奥に潜り込む。


14時頃にいろいろな記憶や思考が

湧いてきて

横になっていることが辛くなってきて

起き出す。



朝に妻が干してくれた洗濯物をとりこみ、

風呂を洗い

掃除機をかけ

買い物に行こうかどうか迷い決めて

それがすめば

あまりにも時間のかかる

YouTubeに倣いながらの夕食作りを始める。



もう半年以上夕食を作ってきたのに

レシピはひとつも覚えられず、

スマホがシャットダウンすれば

まるで途方に暮れる。


記憶や思考が必要なことはとても難しい

というかできない。



わずかな家事にもかかわらず

休み休みで青空や曇天、雨をぼーっと

眺めながら玄関先に座り込んで

鳥の声や虫の音を聞きながら

タバコを吸う日中。



まともな眠りの感覚って

どういうものだったのかなと

思い出そうとしてもよくわからず、

午前中に見ただろう

やたらとリアルなのに非現実的な夢は

いったい何だったんだろうと、

時にその内容に心を痛めたり

時にわずかな面白さを感じたりしながら

まともに眠れていない証拠だろうなと、

でもそこにいる自分は意識も感覚も感情も

まともなように感じるのは何故だろうと、

ぽつぽつと思う。



何の意味のないそんな昼間も夜中、

陽射しや月明かりや街灯の間接光に

照らされながら、



私は私の透明な影のような

等身大の虚無感と二人並んで

玄関先にうずくまりながら、


ずっとこの得体の知れない

虚無感をなくしたいと

何かで埋めたいと消えてしまえと

足掻き続けてきたんだなと思った。

抗い続けてきたんだなと思う。



今はただ二人並んでる。


可笑しいけど、

1年前の今頃はその影に飲み込まれつつあって

年明けに死の淵に追いやられた、

あの状況よりは穏やかだ。



その虚無の私から見た私は

そこに在るんだろうなと思う時、

虚無の私は

目を落としながらも

穏やかに微笑んでいるように感じる。