変身願望 1
それでも、ルピーは欠かすことなく毎日海岸にやってきて、同じようにジュディの名を呼び続けた。が、何度呼んでもジュディがルピーの前に姿を現すことはなかった。
<いったいどうしちゃったんだろう……?ジュディの身に何かあったんだろうか……!?>
ルピーは悲しみに暮れた。
悲しみと不安で、今にも胸がはち切れそうだった。耐えかねてルピーは、仲間のところへいって胸の内を打ち明けた。
すると仲間のイルカは、とんでもないことをいってルピーを混乱させた。
「そんなの決まってるじゃないか。要するにお前は、その子にふられたんだよ!」
「ふ、ふられたって……!?ボ、ボクが何をしたって言うんだい……!?ボクはジュディに嫌われるようなことは何もしてないつもりだけど……?!?」
「そんなこと知らないよ。なんてったって人間の女の子は飽きっぽいっていうからな。それより何より、人間の女の子は強い生き物が好きなんだよ。所詮、オレたちみたいにか弱い生き物じゃ駄目なんだよ……!」
「つ、強い生き物って……?たとえば……?!?」
「たとえば、サメとかさ……」
「サ、サメだって……!?」
「ああ、サメさ。お前も知ってるだろう。とにかくヤツらときたら、したたかで残虐で、あきれるほど強いんだから。オレたちだって何度アイツらに殺られそうになったことか。だから、あのくらい強くなれば、きっとジュディだってまたお前を見直して戻ってきてくれるよ。所詮人間の女の子なんてそんなもんさ」
根がピュアで、人、いやイルカを疑うことを知らないルピーは、ついそんないい加減な話を信じてしまう。
「そ、そうかぁ……!?人間の女の子は強い生き物が好きなのかぁ。でも、ボクはサメみたいに鋭い歯はもってないしなぁ。どうやったら強くなれるんだろう?」
仲間が、さらにとんでもないことを言った。
「方法がないわけではない……」
「ええっ!方法があるの!?強くなる方法があるの……!?」
とたんにルピーは声を弾ませる。
「強くなると言うよりもだな、要するにお前がサメになっちゃえばいいんだよ。それが一番手っ取り早い方法だよ」
「ええっ!ボ、ボクがサメに!?いったい、どうやって……?」
「神様だよ。海の神様に頼むんだよ」
「海の神様?何、それ。そんな人どこにいるの!?」
「人じゃないよ。神様だよ」
「ふ~ん。で、その神様に会うのにはどうすればいいの……?」
「これは死んだじいちゃんから聞いた話なんだけどな、なんでも満月の夜に海に出て待ってると、運がよけりゃ神様が現れるってことさ」
「……!?……!?」
「現れたらそこで神様に頼み込むのさ。どうかボクをサメにしてください!ってな……」
「そんなことで神様はいう事を聞いてくれるの!?」
「ああ、多分。なんてったって全知全能の神様だからな。ただし、それ以前に神様にうまく出会えるかどうかが問題だけどな」
「……!?……!?」