神様の怒り 3
「最近海岸に巨大クジラが現れる!」
そんな情報をキャッチした捕鯨船が、どこからともなくやってきてルピーを捕えようとしたのだった。
この時点でルピーははっきりと人間の悪意を自覚した。
<や、やっぱり、間違いじゃなかったんだ!人間たちはボクを狙ってるんだ!>
ルピーはあわてた。あわてて昨日と同じように、全速力で沖に向かって逃げた。
人間を心底信じていただけに、裏切られたような気がしてショックだった。哀しかった。悔しかった。
が、そんな感傷に浸っている場合ではない。クジラは人間に攻撃される!ということがはっきりわかった以上、このままクジラでいるわけにはいかないのだ。
どこか遠いところへ逃げ出すか、あるいは何らかの手を打って人間の攻撃から身を守らなければならない。しかし今のルピーには、どう考えてもそんな能力はない。
ここでルピーは、再びクジラになったことを後悔する。
<や、やっぱり!クジラになんかなるんじゃなかった。このままじゃ、いずれボクは殺されちゃう……!?>
こうなって初めてルピーは、イルカ時代自分がどんなに幸せだったかを痛感したのだった。
とたんに後悔の念が頭をもたげる。
<何でボクはサメなんかになったんだろう!?何でクジラなんかになりたいなんて思ったんだろう!?あぁ、できることなら、イルカに戻りたい……。イルカに戻ってもう1度やり直したい……。ジュディだってやっぱりイルカのボクが1番好きなはずだ!あんなやヤツの甘言にまんまと乗せられちゃって、本当に、本当にボクがバカだった……!>
迷いに迷った末、ルピーは決意する。
「こうなったら、もう1度神様にお願いしてイルカに戻してもらうしかない!」
神様に「いい加減にしろ!」と怒鳴られるのは目に見えていたが、背に腹はかえられなかった。
さて、案の定というか、やっぱりというか、今回は神様はなかなか現れてくれなかった。1回、2回、3回とすべて空振りだった。
さらに4回、5回、6回と回を重ねたが、それでも神様は現れなかった。段々不安になってくる。
<やっぱり神様、怒ってるんだ。それで出てきてくれないんだ。?
だからといって、このままあきらめるわけにもいかない。
とにかく、1日も早くクジラを脱してイルカに戻らないと、命が危ないのだ。
ルピーは恐怖と不安で押しつぶされそうになった。大声で叫んだ。
<か、 神様!お願いです。ボクです。ルピーです。どうか出てきてくださ~い!>
その叫びが功を奏したのか、7回目の満月の夜、ようやく神様が現れた。
つづきを読む 最初から読む