神様の怒り 1
「ヤッホー!やはり思ったとおりだ!ボクの周りにこんなにたくさんの魚が集まってくる!」
再び念願かなってクジラとなったルピーは、自分の考えが正しかったことを知って喜んだ。
確かにクジラに変身したとたん、ルピーの周りにはたくさんの魚たちが集まってきた
「やあ、クジラさん、こんにちは」
魚たちは、そういって、ルピーの身体にまとわりついた。
実は魚たちは、ルピーの身体に付着したプランクトンや藻などを食べに来ていたのだが、それをルピーは自分が好かれているとカン違いしてひとり悦に入っていた。
<クジラになって、自分はみんなから好かれるようになったんだ。ようし、この分だといけるぞ!海岸まで1直線だ!それっ!>
自信を持ったルピーは、早速巨体を動かして、ジュディの待つ海岸へと急いだ。
海岸まで3百メートルのところまできたところで、ルピーはハッとした。
海岸に、人間が陸続と集まってきたからだ。
遠くから見た時はそれほどでもなかったが、近づくに連れて、段々人が増えてくる。
百メートルまで近づいた時には、すでに海岸は黒山の人だかりだった。
<やっぱり……!やっぱりボクは人間にも人気があるんだ!よかった。クジラになってホントによかった!>
その直後、ルピーはさらに驚かされることになる。
なんとよく見ると、その人だかりの中に憧れのジュディがいたからだった。
ジュディはみんなに混じって、ルピーのほうをジッと見つめている。
あまりの早い出逢いに、ルピーは狂喜した。
「ヤッホー!ジュディだ!ジュディがボクを迎えに来てくれたんだ!やっぱりボクの思った通りだ!」
ルピーは尾ひれを1段と激しく振ってジュディにアピールする。
ところが、この先は浅瀬だったから、これ以上前へは進めない。
無理にこのまま進めば、おそらく身体の大きなルピーは座礁して身動きできなくなってしまう。
<な、なんてことだ!せっかくジュディを見つけたって言うのに……!>
ルピーは地団駄ならぬ水団駄を踏んで悔しがった。
やむなくルピーは、その場でジュディに向かって大声で叫んだ。
自分の存在を鳴き声でジュディに知らせようとしたのだ。
「ビービー!ビービー」(ジュディ、ボクだよ。ここにいるよ~!)
しかし距離が百メートル以上もあり、ジュディに届きそうもなかった。
案の定、ジュディはポカンとしていて気づいた様子はまったくない。
さらにルピーは大声で叫ぶ。
「ビービー!ビービー!」(早く気づいて。ボクだよ。ルピーだよ)
やはり無駄だった。そうこうしているうちに、段々辺りが暗くなってきた。興奮して激しく動いたせいか、体力がかなり消耗している。
やむなくルピーは、その日はあきらめていったん沖に戻った。