【第3回】

 

前回までのあらすじ

死ぬほど頑張って練習メニューをこなしたと思ったが、それはなんとただのウォーミングアップだったのでした。

 

異次元の世界に飛び込んでしまった。まさかウォーミングアップにもついていけないとは。

 

先輩たちは何事もなかったかのようにペース走を始める。

 

仕方なしに後ろからついて行く。しかしやはり2周しか付いていけない。

 

残りの38週はずっと一人で走り続けるというなんとも辛い練習となった。

 

先輩たちには10回は軽く追い越された。

 

練習メニューの名目は「ペース走」であり、設定されたペースを刻み、だんだん速度を上げていき、最後の1~2キロは全力で走るというものであった。

 

しかし最初の一番遅いペースにすら付いていけないのだから、ペース走でもなんでもない。ただのジョギングである。デブがブヒブヒ走っているだけだ。

 

そうしてようやく気が付いた。「俺に陸上の才能はないのではないか」と。

 

辺りが暗くなってきた頃、ようやく練習は終わった。この先練習を続けていく自信は全くなかった。

 

まだ入部届けを出していないから、「辞める」ということにもならない。このままフェードアウトしてしまおうか。そんなことを考えながら家に帰った。

 

部屋に入ると、机の上に見覚えのない靴が。ランニングシューズだった。

 

親が陸上を始める俺のために買ってきてくれていたのだった。

 

嬉しさ、有難さよりも心に出てきたのは「なんて事をしてくれたんだ・・・」という感情だった。

 

仕方なく明日も練習へ行くことにした。

 

続く