陸上部が一番輝く学校行事、それは運動会。
しかしそれは実力のある陸上部員に限る。
実力のない陸上部員にとってはむしろ恥を振りまく結果になる嫌なイベントである。
つまり俺にとっては嫌なイベントである。
中学からはこのイベントに1500メートルという種目が加わる。
この種目はよほど自信がある者意外は、基本的に誰も出たがらないものである。
じゃあ誰が出る?あんたでろよ、いやあんたが出なさいよ、
そうなってくると必ずこの悪魔のような言葉が出てくる。
「陸上部が走れよ」
とても合理的な意見である。
クラスに陸上部はいたが、長距離は俺だけだった。
クラスの視線が俺に集まる。担任の先生も俺を見ている。
何か言わないといけない。
「俺は…」
走ると言え!走ると言え!そんな空気が流れる中俺はうつろな声で言った。
「俺は速いから陸上部に入ったんじゃないんだ、遅いのを速くしたいから入ったんだ…毎日練習にも全くついていけてないんだよ。俺が出てもビリ確定だよ」
クラスにはスポーツテストの1500の結果が置いてあったが、そのランキングで俺はクラスでビリから3番目だった。
あまりにかわいそうだと思ったのか、その後俺に走れと言う者はいなかった。
全く、情けなくて泣きたくなる出来事である。なんとか速くなりたい!と思い始めるきっかけだった。
代わりに走ることになったのは野球部の宮田であった。野球部は1年生に球拾いと走り込みしかさせないから、陸上部並みに走りこんでいるのだ。
宮田は前回登場したゴリラの三原と小学校時代はソフトボールをしていた仲であり、この後陸上部に大きな混乱を与えるのでした。
続く