『勝手エイド』
にて、3杯目となる泡の出る飲み物とおでんを頂く。富士五湖でビールとおでんなんて最高の組み合わせだ…。
「いやあ、このエイド最高!」
お礼を言い、目指すは野鳥の森エイド。
この区間は本栖湖を目指す後続ランナーとすれ違いゾーン。懸命に頑張るみんなを手を叩き鼓舞するデビル。これも富士五湖の風物詩となってきた感があるが、初めてウルトラ走った時は俺もこんな感じだったんだろうなとすれ違う人を見てしみじみ思う。
この時間帯は関門突破ギリギリだ。
「ファイト!もう少しだぞ!」
己のテンションもアゲアゲでこのまま西湖に続く上り坂も一気に駆け上がる。本栖湖で抜かれた分を取り戻すように力走すると、再び我がTBRCエイドのある野鳥の森まで辿り着いた…。
「す、すいませんがビールはないですか?」
「ビールは無いよ~。来年用意しておくね(はぁと)」
厳しくなってきている制限時間に挑むように己に叱咤激励をするように、そして諦めかけて心折れそうな周りのランナーに聞こえるようにデビルは声を発する。
「残りはハーフマラソン一本分。時間は十分に逝けるだろ!」
再び走り出すが、上がったテンションは下がるもの。西湖周回道路で遂に凶悪なデーモンに掴まった…。
(ふふふ、デビルマン…。小江戸大江戸デーモンにやられた足首周辺の痛みはまだ癒えていないんだよな…。俺はラシュワンみたいにフェアじゃないからそこは狙い撃ちだ!)
ぐっ…。
どんなに痛くても力王ファイターの名にかけて、歩きはしない。例え歩くのと変わらぬ速度でも走り続ける以外にゴールに辿り着く術はないのだ。
見渡す先を延々と続く道を行くランナー達。ここは先をみれば心折れる地点だとわかっているからこそ自分に言い聞かせる。
(俺のゴールは見えないところにあるからこそ、そこに辿り着く価値があるのだ…。見えるところは近いから見えるんだ!)
ひたすら我慢の時を過ごし、西湖デーモンを何とか撃破すると、再び西浜小学校のビッグエイドに到達した。前回完走時よりも明らかに遅れての到達であった…。
《続く》

にほんブログ村