そんな事を考えながら最後尾のKブロックに到着すると、独り寂しくスパイダーが歩道に腰掛けていた。
「お~!久しぶり!」
東京マラソン以来の再会に喜び合う二人。ただ、スパイダーはここのところ調整不足なので一抹の不安が残る。

(oyaniniスポーツ)
足元のルナサンダルにかけても木更津サリーと房総連合の血で血を洗う抗争は止めねばならぬ…。
記念撮影大会と化したKブロックに、新たなヒーローも参戦する。
アンパンマ…もといサイボーグ009だ!
加速装置を搭載したこのヒーローがタイガーマスクと同じ会社と聞いて、世も末だとデビルは思う。どうやらくびきので白い人にも言われたらしく、思考回路が同じかと考えてしまうが一般人なデビルでは到底あちらの世界にはいけないなと思い直す。
「あ、そうだ。今日はデビルスピーカーを付けてきてたんだ!」
あれは誰だ?誰だ?誰だ?あれはデビル、デビルマ~ン、デビルマン…。
大音量で水木兄貴が歌うデビルマンのテーマソングが流れ出せば、ランナー限定エリアのこの地点も阿鼻叫喚5割増しくらいの地獄絵図が展開される。そして大規模大会らしくその音をかき消すように上空をヘリが飛んで行く…。
やがて…。
気が付くとスタート時間の10時。
セレモニーもカウントダウンも号砲も全く聴こえず、闘いの火蓋は切られた。先頭は知らぬが最後尾はウルトラのスタート以上にのどかだ。スタートしたことすら知らない人が続出だ!
「ランナーが全員スタートするまでは20分を想定しているよ。」
前日、運営に携わっている叔父から聞いた話では、スタート後の道路が狭いため、東京マラソンよりも人数が少ないにも関わらず同じくらい時間がかかり渋滞するだろうとの事前情報を得ていたデビルマンは焦ることもなく、スタート時間が過ぎてからもピクリとも動かないKブロックに佇んでいた…。
《続く》

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